差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2005年8月26日金曜日 23:22
宛先: 銭湯ML
件名: 東湯(福井県大野市高砂町)

ナカムラです。

今日(8/21)は、「東湯(福井県大野市高砂町)」に行ってきました。
越前大野駅(越美北線)から、0.9キロ、10分くらいです。しかし、昨年7月の豪雨で、福井駅から越前大野駅までの鉄道は寸断されたままで、途中は代行バスに乗り換えての到着。いくつかの鉄橋が落ちたまま。護岸工事完成後に鉄道の復旧工事を行うらしく、復旧にはまだ何年もかかるようだ。

昨夏は、富山県の魚津市の豊富な湧水に感銘を受けたので、今回は「日本100名水で銭湯」というコンセプト。

福井県の銭湯はピークで150軒ほど。現在は50軒と3分の1になった。大野市の銭湯も14軒が6軒に減っている。町の中心部にあった銭湯が全て無くなったらしい。越前大野駅に到着したのは、日曜日の14:00ごろ。観光客は誰も歩いていないばかりか、目抜き通りにもほとんど人が歩いていない。昼間ながら、不気味で怖いくらいだった。

同湯の建物は築70年とのことなので昭和初期のもの。入母屋屋根の入口部分にはガラスブロックが増設されているが、風雪により深みを増したファッサードは重厚。一方で、窓枠やガラスを押さえる桟などは繊細な意匠が施されている。すばらしい銭湯だ。

中に入るとコンクリのたたきがあり、右手に六角形の変った番台がある。女将に350円を渡す。背後に下足入れ。錠はなく取っ手のみ。扉が欠落しているものも多い。

脱衣所の広さは、幅2間半、奥行は、たたきの部分を入れて3間くらい。2階が載っているので、天井高は2間まではない。

ロッカーは外壁側に、錠のない取っ手だけのロッカーが並んでいる。ロッカーの中の奥壁に、富山県の置き薬屋ワーム本舗のチラシのような古い広告が貼付されている。ロッカーによって違う製品の広告のようだ。もっとも、ロッカーよりも脱衣籠の方が主力だ。

同湯のアナログ体重計は「NIHONKAI KOKI KOGYO K.K.(日本海衡器工業梶j」と初めて見るものだった。「貫」表示がメインの古めかしいもの。金沢の会社らしい。

浴室はコンクリ製。幅は2間半、奥行きは3間半。天井は高さ2間程度の船底天井にそれなりに大きな長方形の湯気抜きがある。東京銭湯の2段型に少し似ている。

島カランは1つで、カラン数は、センターから4・5・5・6。カランは赤・青のレバー式。外壁の6機にのみシャワーが付いている。

浴槽は、外壁奥に薬湯槽。香りは実母散なんだけど、色は緑色。温度は40度くらいと温く設定されていた。
主浴槽は奥壁からセンターにL字型に置かれている。奥壁に1穴ジェットが2つあるだけのシンプルなもの。L字の角の部分が深くなっていて両サイドは浅くなっている。温度は42度くらい。

同湯の最大の特徴は、浴槽から溢れる湯だろう。誰も入っていない浴槽の湯がジェットに押し出され床を伝ってくる。掛け流しの趣きがある。
それと、カランから勢いよく流れ出す井戸水。冷たくて浴びるにいいし、石鹸箱の蓋に掬って飲むをなるほどやわらかないい水質だ。

大野の町は誰も歩いていないが何軒もの造り酒屋を目にした。いい米もあるんだろうけど、やはりこの水が仕込み水としてもいいんだろう。

ビジュアルは、柱に庭園のシールが貼られているのみ。タイル絵に見えなくもないが、無粋な感じがした。

上がりは、試さなかったけど、古風な冷蔵庫に牛乳などビン飲料が詰まっていていい感じだった。

その後、湧水地の本願清水(ほんがんしょうず)と御清水(おしょうず)と回る。大野の湧水量は魚津に比べるべくもなかった。かつては自噴井戸がいくつもあったようだけど、地下水位の低下でほとんどが枯れたらしい。その点では期待外れだったかな。

それにしても、日曜日の19;00で、営業している居酒屋は無論、中華屋、大衆食堂の類はない。そんなに田舎じゃないと思うんだが・・・。「福そば」というそばの有名店で3種類のおろしそばを食べる。つゆに大根を溶いた珍しい食べ方のそばだった。味は普通だったかな。