差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年5月29日土曜日 1:01
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 旭湯(川越市元町)

ナカムラです。

今日(5/22)は、「旭湯(川越市元町)」に行ってきました。 川越市駅(東武東上線)から、1.8キロ、25分くらいです。

川越は、赤線跡が残り、3軒ほど銭湯もあるということで気になっていた。しかし、いつの間 にか銭湯は1軒に減った。「赤線跡を歩く(木村聡著)」の刊行から12年。同著掲載の喜多院裏 の赤線跡も、旧妓楼のいくつかは消失したようだ。

そんなことをつらつらと思いながら川越へ。埼京線・川越駅は、十条駅から直通の快速で40分 余り。往路は、東武東上線・池袋駅から川越市駅経由で市街に向かう。川越の中心地からはい くぶんか離れている。市駅で見かけた下校する高校生の顔がどことなく昔風な感じだった。

蔵が建ち並ぶ川越観光の中心は、西武新宿線終点・本川越駅から北に上がった方角にある。観 光客が向かう道筋を逸れ、第一の目的地である赤線跡に向かう。喜多院という大きな寺の裏手 がその辺り。建物のいくつかは川越市の保存建物のプレートを付けている。観光のメインエリ アからは若干外れ、遊里からの転業旅館としての使命もほとんど終えているようだけど、観光 資源としての目配せは有るようだ。

蔵の喫茶店でビールで水分補給したり、大正浪漫夢通りでは、三層の建物に引き寄せられ、創 業140年らしい「小川菊」で燗酒とうなぎを頂いたり。そして旭湯へ。

元町という地名からして、古くからの中心地だったのかも知れない。市役所や地方銀行旧本店 ビル(埼玉りそな銀行)も近い。

川越には戦前の最盛期に14軒の銭湯があった。同湯がその最後の一軒。後方にコンクリ煙突を 有する現在の建物は昭和33年築。ファッサードはモルタルで妻入り。簡素な地方銭湯。しかし、 脱衣所の高窓からは折上げ格天井がのぞく。付近が低層建物のみというのが理由だけど、脱衣 所の窓に目隠しがないというのは最近では珍しい。脱衣所の窓から空が広がっているのはいい 銭湯だ。

外壁がタイルの小さな直方体のエントランスは後からの改築だろう。のれんをくぐれば、男女 両サイドに松竹錠の下足箱が少な目に並んでいる。

番台への扉を開ければ、木組みのどっしりとした番台。その中に女将さんがどっしり座ってい る。番台に上がる階段が番台に負けず立派だった。頑丈な手摺りまで付いている。番台への上 り下りが難儀になったためと推察されるけど、これほど大がかりな番台階段は初めてかも知れ ない。

脱衣所の広さは幅2間、奥行2間半。奥行半間ほどの小さな前庭だったと想定される部分は、 エントランスと一体で改増築され、コイン式の洗濯機2台が置かれている。天井は外からも確 認した折上げ格天井。中型銭湯ながら、堅牢で本格的な格天井だ。

ロッカーは壁側。中段に棚がある松竹シリンダー錠の使い易いロッカー。脱衣籠も現役で使わ れている。その他、Yamatoのアナログ体重計と中央の小振りの円形テーブルといくつかの丸椅 子。それだけで、もう籐敷きの残りのスペースは多くない。

番台と天井以外はほぼすべて更新されている。レトロな面持ちには欠けるけど、明るい照明の 活気ある脱衣所だ。

浴室は、幅2間、奥行3間。天井は男女境部分が少し低いV字型のプラ板張り。男女境の中央 部に幅半強、長さ2間の3人用のスチームサウナが設置されている。奥壁に近い方が女性用で 手前が男性用と縦置きになっている。有りそうだけど、この部分のサウナ設置は初めての遭遇。 小さなサウナだからできるのだろう。

島カランはなく、カランはセンターのサウナの脇に1+5機と外壁側に7機。カラン周りには肌 色の大理石紋様のタイルが使われるなどタイル類もすべて更新され、清潔に維持されている。

浴槽は奥壁に接する深浅2槽。普通よりやや浅い浅槽はバイブラ。深槽はステンレスの水枕付 きの7点座ジェット×2。薪で沸かした43.5度くらいのやや熱めの湯が満たされている。

ビジュアルは、浴槽のすぐ上から天井近くまで絵付けのタイル絵。絵柄は海中の魚の図で、和 洋の魚がきらびやかに描かれている。川崎・介運湯(廃業)などで2、3回見たことのあるもの。 広くはない浴室に奥行きと広さを与えている。いいタイル絵だと思う。

上がりは興信牛乳120円。大手は180ミリリットルに量目変更したけど、興信は200ミリリッ トルのまま。下板橋・小松湯で飲んだ長野の系列会社のものは美味しくなかったけど、千葉工場のこの牛乳はまぁまぁだった。

土曜日の19:20から20:05に滞在。中型銭湯だけど相客は10数人とかなり繁盛し、活気もあっ た。川越の最後の1軒として、支持され、貴重なインフラにもなっている感じだ。

同湯の後方には、一部が崩れかけたりする妖艶な佇まいのスナック街がある。暗くなってから の姿を、もう一度確認したい思いもあったけど、風呂で一服したら面倒になってしまった。今 頃になって、気になってきた。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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