朝日湯（中野区野方）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年10月20日水曜日 21:56
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件名: 朝日湯（中野区野方）

ナカムラです。

今日（10/15）は、「朝日湯（中野区野方）」に行ってきました。野方駅（西武新宿線）から、0.3キロ、3分くらいです。

銭湯のフリーペーパー『１０１０』が、2000年記念に出した特別編集に『銭湯物語』というのがある。同誌で、昭和30年代の終わりか40年代の始め頃の、朝日湯の様子が紙数を割いて紹介されていた。

見込まれて、東浴信用組合勤務の金融マンから、朝日湯の二代目に入った大将のいなせな姿がある。若く気合いが入っているが故に、尖った眼をしている。そんな若き大将が薪をくべたり、環状七号線を廃材満載のリヤカーを引いている姿などが、特に印象に残っていた。

同湯は、環七に面し、前に「野方駅北口」のバス停がある。コンクリの煙突と夢殿のごとく正八角形の湯気抜きがある。建物は環七と平行に建てられ、入口は歩道から小道を進んだ奥にある。裏道からも同じようにアプローチできる。門前仲町・第二和泉湯と同様の珍しい構造だ。

土間あるいは通り庭のような靴脱ぎ場は広く、正面と左右とを合わせれば、おしどり錠の下足箱は軽く150個は超える。奥に連なる脱衣所棟は、外装が深緑色のタイル張り、コンクリ造の大きなものだ。

バスで到着した連れと落ち合って、男女それぞれの扉を開ける。女将がフラットで左右の視界を遮った番台風に収まっている。一人当りサウナ代込みの850円を払い、大小のタオルを受け取った。くだんの大将ではないのが少し残念だった。そして、サウナも少々お高い。。。

広い脱衣所だ。幅は4間、奥行は3間半ほど。天井は伝統的銭湯に引けを取らないくらいに高く、広い空間が広がる。ただ、つり下げられた昭和中期的な照明器には明かりは点っておらず、天井と壁の白いクロスも少々くすみが目立っている。建物は主とともに歳を取って行く。築40 年は超えているだろう。そんなことを思っていた。

ロッカーは、島ロッカーが1つと、男女境下と入口側の壁にある。オリジナルは、筆記体で「Oshidori」と刻印がある小さなアルミ板鍵をロータリー式に使うもの。しかし、大半が同じブロック形状ながら、通常のロータリー鍵に更新されている。

その他、テーブルセット、HOKUTOWのアナログ体重計、マッサージ機などがある。広い脱衣所につき、これらのものが置かれても、まだまだ広々としている。

浴室も、4間四方と広い。天井は緩やかに弧を描くドーム型で中央に正八角形の湯気抜きがある。一辺が1間はあろうかという大きなものだ。

大将が若かりし頃、あふれる風呂銭の勘定が追い付かず、番台でそれを踏みつけて仕事をしていた時代があったという。そんな夢の時代に造られた大型の浴室だ。コンクリ造のようにも見えるがどうなんだろうか。

島カランは2列で、カラン数はセンターから7・5・5・5・5・4。壁のタイルは大振りのものに所々に牡丹の花がデザインされている。床は星形。カラン周りはサワーピンクの大理石紋様のもの。昭和後期に中普請を受けただろう内装だ。そして、カランは白くくすんでいるなど、必ずしも磨き込まれているわけではない。

浴槽は、奥壁に接して大型ながら深浅2槽というシンプルさ。しかも、浅槽はジェットのみで、バイブラは壊れているのか電気代を賄えないのか非稼働。深槽は湯面静かな何らの設備も無い古風なもの。お湯は意外に熱く、43度と45度くらいだった。

ビジュアルは、大きな奥壁に切り絵調のモザイクタイル絵。鮮やかなブルーに大小の惑星を描いた宇宙の図になっている。

サウナは、浴室からはアクセスできず、脱衣所の傍らにある。広い庭だったろう部分が、コインランドリーと、このサウナ室になっている。カラン2機の洗い場と奥に2､3人は入れる水風呂がある。料金が高いからだろうか、サウナは室内の温度計が120度を指しているくらいに熱いものだった。銭湯としてはかなり高温の部類に入る。

しばらくサウナと水風呂を往復してから、浴室に戻る。こんな広い浴室に相客は1人だけ。すると、釜場から大将が出てきて、相客のご常連に話かけていた。

ステテコ姿。少し腰が曲がっている感じがした。何れにしても昔の眼光はなく、柔和で優しい感じの方だった。小生の首に石鹸が残っているのを、本当に優しい感じで教えてくれた。

上がりは牛乳120円を頂く。

金曜日の20:30から21:30に滞在。相客は数人のみ。「銭湯物語」で同湯の歴史を読んでいたせいもあるけど、銭湯やご主人の栄枯盛衰など、いろんなことを感じさせてくれる銭湯だった。

そして、必ずも整備が行き届いてはいないけど、いい銭湯だった。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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