差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年11月16日月曜日 22:44
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件名: 朝日湯(蕨市中央)

ナカムラです。

今日(11/15)は、「朝日湯(蕨市中央)」に行ってきました。 蕨駅(京浜東北線)から、1キロ、12分くらいです。

蕨駅に降り立つのは初めて。明治26年、地元有志の請願により駅が作られた経緯を記した戦 前の石碑が残っていた。同駅は、中山道・宿場町に開設された東北本線の古くからの駅。しか し、「大宮」「浦和」「川口」などの地名と比べると、日本一小さな市だからか、個人的には馴染 みがない地味な印象を持つ土地だ。

駅から旧中山道へ延びる「中山道商店街」が、本通りのようだ。古くからの呉服店、酒屋、和 菓子屋、薬屋などが約1キロの道すがらに点々と続く。途中、少し道を外れて、亀の湯や藤の 湯の営業を確認する。

商店街が尽き、中山道と交差する辺りに、昭和初期創業の朝日湯はある。建物も昭和5年ある いは8年築という、レトロな伝統的木造銭湯だ。

通りから20メートルくらいの小道を入ると腰高くらいの左右に2本ずつ石柱があって、千鳥 破風黒瓦のエントランス。今は、池のある前庭が、視界をすべて遮る樹脂製の竹塀で囲われて いるけど、かつては生け垣だったのかも知れない。

エントランス左右には、色硝子をはめ込んだ菱形の飾り窓がある。銭湯の入口としては異色。 そして印象的。枯れた風情と非日常性が混在したファッサードになっている。

紺地のパンダ柄のシャワランの暖簾を潜れば、さらに驚かされる。左右に旧型さくらの下足箱。 正面には古い旅館の「電話室」のような「番台室」とも呼べる張り出しがある。どこだったか、 地方の銭湯で見たことはあるけど、首都圏の銭湯では初めて遭遇する凝った造り込みだ。

脱衣所への戸を開ければ、幅2間半、奥行3間、高さ2間ほどの脱衣所空間。天井は平格天井 ながら、中央部分が1尺ほど窪んで、シーリングランプを吊り下げる洋館のような円形の装飾 が見事だ。やはり天井扇ではなく、瀟洒な照明器が下がっていたんだと思う。

ロッカーは縦置きに島ロッカーが1つと壁側。床に置くほどのスペースはないけど脱衣籠も健 在。その他、男女境には見事な厚手の硝子の大きな鏡、埼玉・「武」というトレードマークがあ る地場のMUSASHI SCALEのアナログ体重計、洗濯機・乾燥機×2、ビニールロープで開閉を禁 止されている家庭用冷蔵庫なんかがある。スペースの割にいろんな物があるので、やや雑然と した感じ。それが地方銭湯の趣を高めている。

浴室は幅2間半、奥行3間半ほど。2段型の天井高は3間ほど。中型の銭湯につきやや高さを 感じる天井。この浴室は改築されたものだろうか。脱衣所と比べて直線のみで構成された簡素 なものだ。

島カランは1列で、カラン数はセンターから5・4・4・5。浴槽は奥壁に接するかたちで深 浅2僧。深槽は6点座ジェット×2。浅槽は3点ジェト×2に緑ランプ&バイブラ。湯温は4 2度強。井戸水かは判別が付かなかったものの柔らかい感じのいいお湯だった。

ビジュアルは、奥壁に富士山と白糸の滝の絵柄のモザイクタイル絵。中普請からどれくらいの 月日が経つのか、相応にくすみが目立つものだった。

上がりは女将に牛乳を所望すると、カーテンの向こうから缶入りの牛乳が差し出されてきた。 瓶入りの牛乳をストックするほどの需要がないのだろう。そもそも男湯の冷蔵庫は閉鎖されて いる。

日曜日の17:20から18:10に滞在。相客は10数人。ご常連も、込んでいるなぁと呟くくらい の込みようだった。

そう、くだんのアナログ体重計に乗って驚いた。普段は8時くらいの位置に止まる指針が、1 0時の位置まで跳ね上がる。100キロ計だけど、1周回った位置は80キロで、100キロ はさらに90度先。ブランドだけでなく仕組みもレアなアナログ体重計だった。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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