差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年4月17日土曜日 11:34
宛先: 銭湯ML
件名: 朝日湯(品川区東大井)

ナカムラです。

今日(4/16)は、「朝日湯(品川区東大井)」に行ってきました。
大井町駅(京浜東北線)から、0.2キロ、3分程度です。

20年ほど前、駅前の丸井のある辺り、再開発される前はかなりディープだった。
「時代屋の女房」では、夏目雅子が歩く姿とともに街が映し出されているけど、戦後の趣が濃かった。
朝日湯へ行く途中の飲食店街に少しだけそんな名残が残っている。
ギターを抱えた「流し」が歩いてたり、女性を斡旋する遣り手婆さん?が店先で辺りを見渡していたりと・・・。

茅場町で一杯飲んで、22:15に現着。朝日湯のコインランドリーは明かりが消えている。
正面入口は、傾斜が急で細い千鳥破風の黒瓦。脱衣所棟にも小さな三角屋根が付いている。そして浴室棟にも。
小さいながら、三角が三つ重なっている。
3回改装したらしいけど同湯の建物は昭和7年築。傾斜が急な細い千鳥破風にそんな面影が残っている。

「朝日湯」と書いてある行灯型照明の下に「牛乳石鹸」の暖簾。それをくぐると正面に傘を突き差す式の松竹錠が付いた傘入れ。
男湯は右手。下足箱は松竹錠がついていて80個ほど。
アルミサッシの自動ドアを通ると番台。80歳は超えてるかな、前面がカーブした合板木目調の番台に女将は座っている。なかなか明るいいい声で迎えてくれる。
第一印象は、明るい銭湯だなぁというもの。

脱衣所の天井は格天井(6×9)と変則的な広さ。幅は2間半、奥行は3間。
折上げではないけど、天板は塗料やニスを塗っていない欅の素の板。素材の美しさが異を放っている。
床はニスが塗られ、ピカピカに磨き込まれている。清潔度が高い。
落ち着いたもので余り違和感がないのが救いだけど、壁は残念ながら壁紙が貼られている。
天井からは天井扇風機のポールが伸びている。羽根は外され、スーパーのレジ袋が被されている。

ロッカーは、島ロッカー(20個)と外壁側に30個のロッカー。錠はゴツイ外付けのロータリー錠。
その他には、ケイホクのアナログ体重計。ベンチ、テーブル、旧型マッサージ機、冷蔵庫、テレビなどがある。
島ロッカーの上に「1010」の4月号があり、ゲット・・・。

浴室は、やはり縦長で、幅2間半ながら奥行は4間半もある。
天井は2段型ながら、上の天井の回りには構造的な装飾がある。
低い方の天井の付け根には、古い照明器を下げていた痕がある。白熱灯系の暖かい灯りだったんだろうな。
今は梁に蛍光灯が這わせてあって、床の3センチ角の旧型の白タイルとともに、この銭湯の清潔感と明るさを演出している。

島カランは1列で、カランはセンターから8・7・7・8。両サイドのみシャワーが付いている。
カランはWaguriの取っ手が茶色の5角形。
男女境の4枚全ての鏡には、すぐ近所の「出世鮨」のコマーシャルが繰り返し並んでいる。
なかなか凄い屋号だけど、東大井町の路地裏の寿司屋として、強いメッセージが感じられるし、銭湯の広告としてマッチしている。

時刻が遅いからかな、それとも地域柄か、客層が若いく年配者がいない。
40分くらい滞在してたけど、大方20歳台か30歳台といった感じ。珍しい客構成で印象的だった。

浴槽は深浅2槽。浅槽は2穴ジェットが3機。温度は43度くらい。赤外線ランプ2つは点灯していなかった。
深槽は弱い泡が立ち上っていて、温度は44度くらい。ちょっと熱めの温度設定になっている。

ここのポイントは、男女境の富士山のタイル絵かな。
縦8枚×横65枚の広大な鈴栄堂の章仙画。松林はだいぶ色褪せてしまっているけど、海に浮かぶ富士山はオリジナルを保っている。
それに、外壁側のシャワーと梁の間がガラスブロックで組まれていて、所々に黄色や赤色のガラスブロックが嵌められていて、アクセントを付けている。
昼に来ると、ここから外光が入り、違った印象があるかも知れない。

奥壁には中嶋盛夫師の海の図。女湯には秀麗な富士山が見える。
下に4〜5枚の広告が掛っていて、ペンキ絵を引き立たせている。

昭和7年築。女将はもう限界と言っていたが、明るく清潔な路地裏の中型銭湯。
駅からも近いし、週末のひと時、なかなか良かった。


H17.1.8撮影 〜萬年湯(品川区中延)に行った帰路途中で


駅を出るといきなりディープな街がある





電気が点いていない店も多い


朝日湯


色付きのガラスブロックはあまり見ない感じがする








浴場広告(鏡)を多く出していた隣の寿司屋