差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年5月8日土曜日 8:12
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: あずま湯(川口市芝西町)

ナカムラです。

今日(5/4)は、「あずま湯(川口市芝西町)」に行ってきました。 蕨駅(京浜東北線)から、1.1キロ、12分くらいです。

駅から、歩いていてあまり楽しくない線路沿いの道を南に戻って、少し入った所にある。

昭和36年築。千鳥破風妻入りの脱衣所棟に堂々とした唐破風のエントランスがある。いずれも 白塗り。塀の向こうにある庭木も手入れが行き届き、堂々さだけでなく気品ある銭湯でもある。

暖簾を潜ったエントランスホールも広い。正面の番台の背に当たる部分には、恐らく九谷・鈴 栄堂、宝船のタイル絵があるけど、残念ながら植木鉢に隠れてほんの一部分しか見えない。

松竹錠の下足箱に靴を放り込み、夏日、開け放たれた扉を通る。天候不順でつい10日前くらい 前はコートを着用していたのに、いきなり夏の風情になっている。

立派な銭湯につき、番台は木組みのどっしりとしたもの。建設作業員風の出で立ちのご主人と 少し話した後、脱衣所に進む。幅3間半、奥行4間ほどの広さ。天井は激渋の折上げ格天井。 これに呼応するように、やや照度が足りない感じの陰影を感じさせる照明になっている。

縁側の向こうから流れ入る夜風が心地いい。木製の縁側や木製建具のガラス戸。庭池はないも のの正統的な銭湯空間が広がる。傍らにある便所は、今時この地において、なお非水洗。匂い を含めて郷愁を感じないわけにはいかない。

広い脱衣所ながら、ロッカーは、半身の島ロッカーが横置きに1つと外壁側の一部にあるだけ。 脱衣かごも現役のようだ。

その他に、天明元年から昭和60年までの毎年の玄米一俵の価格と社会情勢を墨書で認めた大き な額やあたかもペンキ絵のような「富士山と駿河湾フェリー」の絵、MUSASHI SCALEのアナロ グ体重計、寝る式のマッサージ機などがある。

浴室にも銭湯の原風景が広がる。幅3間半、奥行4間半。天井は2段型の大きな空間。床には3 センチ角の白タイルが、多少のくすみという年輪をまといながら、一面に広がっている。

幅広い深浅2槽の後方には岩風呂のように溶岩をめぐらせてある。その上に大きな中島さんの 手による富士山のペンキ絵。さらに、釜場への戸板には、やはり中島さんの日光・華厳ノ滝だ ろうか、小さなペンキ絵がある。釜場への扉のペンキ絵は初めての遭遇かも知れない。男女境 にも海原を中心に船、海鳥、洋館を描いたモザイクタイル絵がある。

浴槽には表の看板にあるように「二股カルシウム温泉」の湯が満たされている。それにしても コーナーに大型の装置がある。同じ装置を神田・江戸遊や板橋区役所前・さくら湯でも見てい るけど、同湯のそれは見上げるほどに大きい。多少の白濁のあるいいお湯だ。ただ、井戸水を 重油で沸かしたお湯は43.5度ほどとやや熱めだ。深槽は薬湯「クール」とあるけど、浅槽とは 下部で大きく繋がっているので、浅槽と同じ湯としか感じなかった。

上がりは瓶入りの明治牛乳130円を頂いた。かなり立派な銭湯だけど、ご主人によれば傾いて いるという。連休中日の21:10から22:00に滞在。優れた郷愁銭湯だった。しかし、連休の閉 店前だったからも知れないけど、この大きな銭湯に相客は3人ほどと寂しかった。

上がりの一杯は、駅近くの「とり善」で、レモンサワーで串焼きの盛り合わせなどを頂く。店 内にはギターなんかが多くぶら下がっていて、音楽をやっている人達が集って飲んでいた。カ ウンターの椅子など有り合わせの木板で補修されていたりと、なりふり構わない店だけど、味 はまぁまぁ、勘定はかなり安かった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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