差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2012年9月23日日曜日 18:32
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 辨天湯（台東区浅草橋）

ナカムラです。

今日（9/14）は、「辨天湯（台東区浅草橋）」に行ってきました。 浅草橋駅（総武本線）から、0.5キロ、6分くらいです。

東京駅の地下ホームから、乗り換えがない総武線快速で馬喰町駅まで。駅から復興建築の「柳橋（昭 和4年）」で神田川を渡り、旧花街を経由して行く。この辺りを歩くのは初めてだ。結構、古い建物 も多く残っている。

同湯は、少なくとも明治37年には営業していたという老舗中の老舗。町内に池があって、お不動の 脇に辨天堂があったことが店名の由来となっている。

道交法の関係から弁天堂が撤去され、その後も幾多の変転を経て、現在はビルの通路脇に小さな辨 天堂のレプリカが置かれている。

表は貸店舗が2軒。銭湯の入口は弁天堂の脇を通った奥にある。ビル銭湯ながら、自動ドアに老舗 の風格を漂わせる紺地の暖簾が下がっている。中に入ればバリアフリーの靴脱ぎ場。下足箱は何と 古いカナリア錠だ。ビル銭湯でこの錠前に遭遇するのは初めてかも知れない。経験則で、カナリア 錠の銭湯はいい銭湯が多い。

1年ほど前から、銭湯としての営業時間の前は、介護老人施設の”健遊館”に貸しているそうだ。 要所要所がバリアフリーに改装されている。

脱衣所は、2間四方余りで天井もかなり低い。浴室側に”温室”が張り出すような、初めて見る構 造だ。改装で浴室を減築し、ロビーを拡張したと想像した。しかし、元々の構造らしい。

車輪が付いた移動可能のロッカーは、ノーブランドのシリンダ式のもの。ご常連桶用のロッカーは、 久し振りに見るTOKYO錠になっている。疲れているのか、隣のあんちゃんがパンツを履いたまま浴 室に向かい、戻って来た。結構キテいる。。。

その他、家庭用の扇風機とTANAKAのアナログ体重計があるくらい。そして、トイレの個室が広いの に驚かされた。バリアフリーにしても大きすぎる。改装する前はサウナ室だったようで、合点が行 く。

浴室は、幅3間、奥行5間ほど。天井は緩やかなプラ板張りの船底天井が高い。しかし、件の脱衣 所の張り出しがあるので、実質的には奥行き3間半ほどのコンパクトな浴室だ。

島カランは、外壁側から内側に延びる櫛形2列で、カラン数は奥壁から5・4・4・4・3。床のタイ ルは星形の緑色。後から滑り止めの塗料を塗ったのかな。中央辺りに左右一対の太い柱もグリーン 系のまだらのタイル。浴槽の縁もそう。ビジュアルはないけど、グリーンを基調とした空間に仕上 げている。

浴槽は、男女境に接して縦置きに2つ。奥の幅1間の浴槽は2穴ジェット×2。主浴槽はバイブラ。 温度は何れも43度弱とやや熱め。しかし、井戸水をヒートポンプで沸かしたお湯は心地いい。タフ だった1週間の疲れにお湯が染みる。

上がりは、四代目から替わった三代目の大将と話しながら瓶牛乳を頂いた。

金曜日の19:55から20:35に滞在。相客は6人ほど。歴史ある銭湯。井戸水をヒートポンプで沸か したお湯は価値のあるものだった。ただ、ビル銭湯だけに何らかのビジュアルは欲しい所だ。殺伐 とはしていなけど、やはり潤いに欠ける。。。

同湯の前にも雰囲気のいいカジュアルなレストランがあった。他にも、浅草橋周辺には入りたくな るような店が多い。しかし、時間がかかりそうな店が多かったので、上がりの一杯は、駅に近い「美 家古鮨」というシャビーな感じの寿司屋に入る。

「美家古鮨」は柳橋の料亭街にある有名な寿司屋で、駅のガード下に「立喰部」があるのは知って いたけど、この支店は知らなかった。店によってグレードと価格は違うようだけど、この店はおま かせで800円という出色の値段。

ビール（中瓶）とおまかせを頼む。シャリは温かく、握りも巻物にも、予め煮切り醤油が塗って出 される。鮨は、江戸時代、天秤棒で担いだ簡素な屋台で供されたのが始まりと聞いていたので、そ んな光景を思い浮かべて頂いた。

もっそりとした大将は、掛かっている調理師の免状を見ると40年近いキャリアがあるようだ。店は かなりボロで、清潔感もイマイチ。しかし、温かいシャリのつけ醤油の江戸鮨は値段以上の価値の あるもので満足だった。

店を出たら、看板に”元祖江戸鮨、美家古鮨”とあった。やはり、江戸時代の屋台の鮨の伝統を引 き継いでいるようだ。

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　　　　　　　　　　　　古レールを再利用した駅は美しい