差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2003年11月22日土曜日 2:29
宛先: 銭湯ML
件名: [sento-freak:04577] 別府温泉(横浜市南区大岡)

ナカムラです。

今日(11/16)は、「別府温泉(横浜市南区)」に行ってきました。
弘明寺駅(横浜市営地下鉄)から10分くらいです。
京急にも同名の弘明寺駅があるのですが、そこからだと15分くらいでしょうか。

旧鎌倉街道は大岡商店街という商店街。
その隣の住宅地を通り抜ける道に面していました。
お屋敷町というほどではないのですが、大きくはないけど昔は立派だったんだろうなという家がいくつも建っていました。

そんな中に別府温泉はあります。
典型的な木造銭湯の入口。「別府温泉」と白抜きのオリジナル暖簾。板塀が珍しい。
それに、なぜか細いしめ縄が張られている。

下足箱は錠までが木製。これははじめての遭遇。
富士錠や旧型のおしどり錠のように、ツメが上下に動く構造のもの。数は68番まで。

番台の背に当たる部分に曲面の鏡みたいのがドーンと置かれている。何だろう・・・。
木枠は相当に古いもののようだ。
この後ろにはタイルが張られているようだった。

エントランスの天井は、薄い板を木の桟で押さえている古い構造。かなり年季が入っている。
番台への戸は、古いながらも自動ドア。

番台は木組の伝統的なもの。彫刻などはないけど、どっしりとしていてなかなかの感じ。
脱衣所は格天井(7×10)。折り上げはなく、天板も白い塗装のどちらかと言えばチープな感じ。
また、古さゆえに多少波打っている。壁は壁紙・・・。
梁は太く風格のあるものだけど、その上に昭和中期的な木目調のグレーの新建材が張られていたりと、補修により多少アンバランスな感じ。

大黒柱に柱時計はなく、首から上の鹿の剥製!!。
湯船への入口はアルミサッシュだけど、その上に、円に3枚の柏葉の家紋が曇りガラスで描かれている。
番台側の梁には旧型の黄色い羽の扇風機。「ズイデン」と書いてあった。

床はビニール製カーペット。これは残念だな。
ロッカーは男女境と壁側。それと番台側が別室のように張り出しているけど、そこにもそれぞれ2段のロッカーがめぐらされている。
この別室のような部分は、天井がエントランスとおなじく古い造り。
この銭湯は昭和13年築とのことだけど、この部分は建築当初の姿なのだと思う。
ここに畳1畳を敷いた長いすがあって、なかなか居心地がいい。

脱衣所の中心には、古い木製のベンチ、丸机、2脚の古い椅子。
無塗装のベンチ以外は、下手なペンキ塗りだけど、この場の雰囲気には合っている。

板塀と脱衣所の間に、間口は広く奥行きは狭い庭がある。
本当に小さいけど、石橋、石灯篭、見たこともないような浅い池、松の木。様式美がある。
しかし、この池にも水が張られていなかった。

さて風呂。
天井は2段型。張り出しているウィングの部分に補強の梁が通っているのは珍しいかな。
夕方の斜めの陽が差し込み、くたびれた重ね塗りのペンキはデコボコしている。

島カランは2つ。モスグリーンのタイルに台は茶の小タイルが張られている。
カラン数は、センターから7・5・5・5・5。外壁側にはカランが無い珍しい構
造。
カランは日の丸扇の刻印のある取っ手に温泉マークがあるもの。太くて丸みがあり愛嬌がある形。
シャワーはセンター側のみ。島カランには鏡もないプレーンな旧型。なかなかレトロでOKである。

桶は白ケロリン。赤いラインがない。旧型なのかな。
椅子は緑椅子だけど、4つしか置いていない。
ピークでも4人しか来ない?
確かに、日曜日の夕方だけど、滞在中には小生を含めピークで4人がだった。

浴槽は深浅2槽。両方とも麦茶よりやや薄い茶色の温泉。底まで見通せるような薄さ。
浅い槽は3点ジェットが2つ。温度は43度くらい。
深い槽は何もなく温度は44度くらいか。
砂が混じるのか蛇口にストッキングが被されている。ひねると茶色の源泉が出る。

浴槽の立ち上がりは菖蒲のモザイクタイル絵。
内側は黒湯の常で、黒いタイルが張られている。

ペンキ絵のあったと思しき所は天井と同様のグレーのペンキで塗りつぶされている。
しかし、この銭湯には浴槽の上に見事な池の鯉・金魚のタイル絵(縦5枚×横27枚)がある。

浴槽の上にある池の鯉のタイル絵は、ペンキ絵の前座と思っていた。しかし、ここのタイル絵はさにあらず。
13匹の大きく悠然と泳ぐ鯉と金魚。なかなかの気品のある絵。また、タイルに艶があり、状態もすこぶるいい。
銘は鈴栄堂○○作と墨書草書体で書かれていて、九谷の小判型の朱印が描かれている。
鈴栄堂が墨書草書体なのは珍しいし、○○の部分は崩れた字なので読めなかった。
「柳之」・・・?。木へんではなく、示すへんのようでもあった・・・。

  (注)ぐっちゃんが「福二」画と書かれていたけど、そうかもしれない。
     今、改めて思い出して、そうかなと思っています。

男女の境の上に珍しい照明器。
ガラスの円筒の中に蛍光灯を通している。
ガラスは厚さが均一でなく不純物も多いもの。
左右と真ん中に真鍮の金具があるけど、緑青を吹き渋い色となっている。
恐らく戦前のもの。

こんな感じの銭湯でした。
横浜の下町。とても静かな温泉銭湯。
居心地がいいので、長居をしてしまいました。

また、長くなってしまいました。