差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年5月1日土曜日 7:21
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 千代の湯(荒川区町屋)

ナカムラです。

今日(4/29)は、「千代の湯(荒川区町屋)」に行ってきました。 町屋駅(東京メトロ千代田線他)から、0.3キロ、3分くらいです。

今日の主目的は、陋巷の名も無き建築物を描く画人・大倉ひとみ氏の展覧会を谷中に観に行く こと。その前に、中華屋の最高峰と見ている千駄木の「毛家麺店」で昼食を取ること。さらに 千代の湯訪問などをオプションに付け加えた。

巷は5月の大型連休の初日。谷中・根津・千駄木界隈の人出の多さには驚かされる。記憶にな いほどの雑踏と化していた。昼食時、予定通りに「毛家麺店」に到着するけど、何やら雰囲気 がおかしい。聞けば「ガスが出ない」という。何たる不運・・・。

仕方がないので、路地裏にある談笑禁止の喫茶店「ふるほん結構人ミルクホール」で休憩し、 谷中のステンドグラス工房「nido」へ大倉さんの「Tiny Posters」を見に行く。

陋巷の名も無き建物を描く名手によるイニシエ広告絵ととステンドグラスのコラボ。いくつか迷った末に赤羽の廃業喫茶店をモ チーフにした作品を買い求めた。昨年の個展で、京都・橋本遊廓の洋風の妓楼「京華」を描い た大作に強く惹かれたけど、狭隘な拙宅に飾るのは難しかった。今回は小品なので、玄関にで も飾ろうかと画策している。年に2回ほど作品展を開かれている。先の妓楼の作品は地方の収 集家に買われたという。今後も楽しみな方だ。

ガスは直っただろうか。心配しながら、外壁に毛沢東を大々的に描いている中華屋の最高峰「毛 家麺店」へ。カウンターだけの小店ながら、繰り出される技の数々に驚かされる。今日は蝦そ ば。軽く揚げたエビにレモン風味の透明な塩味のスープ。やはりただの中華屋の味ではない。。。

腹も朽ちたので、谷中から日暮里・諏訪神社の高台を経由して西日暮里へ。そして、千代田線 で町屋へ。

千代の湯は、町屋の路地裏のにある昭和33年築のダブル千鳥破風黒瓦の伝統的木造銭湯。後方 には油井型の煙突が見える。

暖簾を潜れば、正面には傘を突き差す式の傘入れが円弧型に張り出している。扉は青・白・赤 で三色旗のように塗り分けられ、小さなおしどり錠がついている。下足箱もロッカーも基本的 にはこの3色塗りで、おしどり錠が使われている。

番台への戸を潜れば、前面がカーブした新建材張りの番台。奥には3間四方の脱衣所が広がる。 天井はだいぶ草臥れてきてはいるもののニス塗りの折上げ格天井だ。

周囲には同湯の煙突よりも高い建物がいくつもある。建物の陰であることや、目隠し板の設置 で16:00ながら外の陽光が同湯にはない。仕方がないことだけど、庭も日差しもないと、昼間 の入浴の醍醐味としては少々もの足りないかな。

島ロッカーは横置きに1つ。一部の錠が松竹錠アルミ板鍵に置き変わっているものの、使い辛 い下段にはブロック状のOshidori錠で、小さなアルミ板鍵をロータリー式に用いる少々レアな ものが残っている。外壁側にも3色ロッカーがある他、脱衣かごも現役だ。

その他、やや「首」が長い感じがするkeihokuのアナログ体重計やマッサージ機、洗濯機など がある。そして、浴室との間のガラスには、東郷青児風のガラス絵がある。

浴室は、幅3間、奥行4間ほど。天井は2段型。島カランは1列でカラン数はセンターから7・ 6・6・7。床が小石あるいはハマグリ型茶系のレトロなタイルが使われている。洗い湯を流す溝 も厚手のU字型の白タイルという古風な造りだ。カラン台は素っ気ない新しい大判のタイルに 置き換わっているけど、浴室を見るなりグッとくるイニシエの風景がある。

浴室は、奥壁に接する深浅2槽。浅槽は2穴ジェット×2に赤外線ランプ。湯温は42度強くら い。深槽は、好みのじっこうの薬湯ながら、両サイドに電極を設置した電気風呂につきパスす る。

荒川区のほとんどの銭湯は、それぞれに水脈が異なる井戸からの水を沸かしている。同湯も井 戸水特有の析出物が浴槽の内外に付着している。知らなければ単なる汚れに見えるものだけど、 脂質の汚れとは異なるため普通の洗剤では落とせないんだろう。その代わりに、やはり井戸水 の風呂はいい。燃料は薪ではないらしいけど、固い感じはない良いお湯だ。

上がりは、あまり見かけない、瓶のフルーツ牛乳120円があったのでそれを頂く。

祝日の木曜日の16:00から16:45に滞在。相客は4人ほどだった。

明るいうちに風呂に入って、明るいうちにビールが飲みたくなった。この前、満席で入れなか った広島焼の「ひな」に行く。まだ開店準備中という感じだけど入れて頂き、広島焼の「ひな スペシャル」を肴に生ビール、アンズ棒サワーなるゲテモノ系サワーを頂いた。

帰館は都電に揺られて王子駅まで。都電の窓は開いていて、夕方の涼しい風が頬に当たり心地 良かった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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