差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2011年11月26日土曜日 9:32
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 第一富士の湯(葛飾区堀切)

ナカムラです。

今日(11/19)は、「第一富士の湯(葛飾区堀切)」に行ってきました。 堀切菖蒲園駅(京成本線)から、0.4キロ、5分くらいです。

神楽坂での用事を終え、喫茶店で一服して、市ヶ谷駅から、秋葉原駅、日暮里駅経由で京成線の堀 切菖蒲園駅へ。

馴染みが無かった葛飾区エリアだけど、古い銭湯が多く残っているので、堀切菖蒲園駅で降りるの も4度目になる。あと数回は来なければならないだろうか。

今日は、ただ雨が降っているというだけでなく、結構な悪天候。大雨で、風が音を立てて吹いてい る。風に弱い京葉線は運転見合わせになっている。ちょっとした台風といった様相だ。

ラッキー通りの端っこにある同湯の前にたどり着いたのは16:15。日没まで少し時間があるけど、 既に街灯が点り、車が通れないような同湯の路地は暗くなっている。

1カ月前の夜に訪れた時は、堀切地区の浴場組合の研修旅行に当たってしまい臨時休業だった。隣 湯の亀の湯まで足を伸ばし、ようやく臨時休業の理由を知った。堀切までやって来て風呂のお預け を食い、さらに帰路の京成線が事故で不通になっているという散々な日だった。

今日も悪天候。すんなりとは行かないけど、暖簾は掛かっている。黒瓦を載せた平入りの脱衣所棟 に、やはり黒瓦の懸魚もある千鳥破風のエントランス。端正な構えだ。煙突は、後方に1/5くらい に短く切られ、白ペンキで塗られたものがある。

暖簾を潜れば、雨でびしゃびしゃになったエントランス。左右の下足箱は平仮名で”さくら”とあ る旧型のさくら錠。宮古で買ったミツウマのゴム長を下足箱に押し込む。

番台への扉を開ければ前面がカーブした木目プリント合板の番台。パソコンをいじっている少々無 愛想な大将に450円を渡す。聞けば昭和30年代の建物という。

脱衣所の広さは3間四方。天井は折上げ格天井。天板は良く見るとオリジナルではないようだ。大 黒柱はタイル張りだけど、1/3くらいが剥落している。。。

ロッカーは、入口方壁と外壁側にブロック状のゴツいシリンダ式のもの。脱衣籠も数個ほど積まれ ている。島ロッカーがないせいか広々とした空間がある。

外壁側にロッカーが置かれている。そして、その後ろには木製建具のオリジナルのガラス戸が残っ ている。ただ、目に触れているのはロッカーに隠れ、左右に有る濡れ縁に通じる扉だけ。下部には モールガラスが使われている古いガラス戸だった。動かしてみると、カラカラと懐かしい音を立て て、思いのほか軽く動いた。

さらに、入口方のロッカーの横に小さいながらも書院風の床間が設えられてあった。おそらくオリ ジナル。掃除機が押し込まれ、無惨な使われ方だけど初めて遭遇するものだ。

嵐のような風雨なので気が引けたけど、硝子扉を開けて濡れ縁に出てみる。脱衣所から浴室にかけ て、まさに雨に洗われた縁側が延びていて、その向こうには庭池が広がっている。溶岩の庭石など もそこそこ手入れがなされている。

浴室は、幅3間、奥行4間。天井は木板張りの2段型。島カランは1つで、カラン数はセンターか ら7・6・6・5。タイル類は全て更新されている。床は四角に滑り止めの入ったパール色、壁はサワ ーピンク色の大理石紋様のもの。井戸水の水質のせいもあるんだろうけど、カランにはちょっと白 い付着物が多いかなぁ。。。

浴室は奥壁に接した深浅2槽。浅槽は3点ジェット×2、深槽(実は深くない)はバイブラ。コンク リ煙突を短くしたので焚き物は、薪や重油ではなくガスなのだろう。湯温はどちらも42度を少し割 るくらい。当たりの柔らかいお湯だけど、冷たい雨に濡れてやってきて、また帰る身にとって少々 物足りない温度だ。

湯桶は睦和の黄色のオリジナル。水色で屋号とともに波に浮かぶ富士山がデザイン的に描かれてい る。あまり湯桶が気に止まることはないけど、記憶に残るものだった。

浴槽のすぐ後ろには、かつて鑑賞用の岩を置いていたという、蛍光灯がある窪んだスペースが残っ ている。その上には、故早川さんの「伊豆海岸(平成十七年六月十三日)」のペンキ絵。特徴的な波 飛沫がちょっと控えめで、海に落ちる崖に海蝕が描かれているのが珍しい。既に6年が経過、刷毛 捌きの細かな味わいが失われているせいか、どことなく平板に見えてしまう。描いた直後にコレな らば凡作だけど、きっとそうではなかったんだと思う。

大雨の土曜日、16:30から17:00に滞在。相客は3、4人。天気が悪いせいで少し印象も暗い感じ。 風が爽やかな時に、縁側で涼んだりしたならば、印象は違ったのかも知れない。

電車が運転を見合わせていたりする路線もあるので、早々を堀切の地を離れ、王子駅経由でバスで 十条にもどり、久しぶりに”ほり”で飲む。宴会が入っていたせいもあって、まだ宵の口なのに我々 が入ってすぐに満席になった。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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