差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2010年8月3日火曜日 23:46
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 大黒湯(文京区大塚)

ナカムラです。

今日(7/30)は、「大黒湯(文京区大塚)」に行ってきました。茗荷谷駅(東京メトロ)から、0.5キロ、5分くらいです。

茗荷谷駅から同湯への地図をプリントしたら、駅前に牛丼の吉野家を見つけた。折しも各牛丼チェーンが叩き合いの消耗戦を行っている最中。今だけは吉野家が270円という昔の値段で食べられる。

今日は、吉野家で牛丼を喰らって、大黒湯に入るか・・・。そんなこと考えながら、少し繁忙な仕事をうっちゃって20:00に会社を出た。しかし、何と茗荷谷駅前に吉野家は無かった。空店舗の向かいには「牛丼太郎」「松屋」「なか卯」が並んでいる。なかなかタフな消耗戦のなか、我らの吉野家は斃れたようだ・・・。

意気消沈、松屋でカレーを食べ、春日通りを北上する。かつて同潤会大塚アパートがあった場所は何年も更地のまま。保存運動が高まる前に、開発計画もないままに壊したためだろう。都バスの大塚営業支所の建物は趣あるものだ。特に奥のコンクリの車庫が気になる。

そして、同湯のある一角は昭和20年3月10日の東京大空襲の火災を免れている。看板建築の鳥獣剥製製造店や漢方薬店など、営業はしていない感じながら目を引く建物が残っている。同湯の左右や裏のの建物も戦前からの建物とおぼしき古い建物だった。

さて、大黒湯。同湯は昭和5年の創業。昭和22年と昭和38年の航空写真を見ると戦火を潜った黒瓦の先代の建物を見ることができる。しかし、先代建物は昭和38年に現在の建物に建て替えられている。もうすぐ50年を迎える現在の建物はコンクリ煙突を従えたモルタルの建物。数年前まではトタン張りだったようなので、外装は何回か変わっているのかも知れない。

先代建物の時代のものか、古い感じの2段ほどの階段を昇って、洗い晒された屋号染め抜きの紺地の暖簾を潜れば、左右に松竹錠の下足箱が並んでいる。

自動ドアを入れば、休憩スペースとフロント。脱衣所の手前をパーティションで三分割したささやかな休憩スペース。ご主人に風呂銭とサウナ代100円を払い、下足札と引き替えにサウナ証の黄色いプラスチック札を受け取る。

脱衣所は、オリジナルは3間四方。休憩スペースに一部が侵食されてL字型になっている。天井は横長に3本程度の桟があって、それ以外のスペースは壁とともに白いクロス張り。入口方には木製建具とその外側に濡れ縁があるものの、かつて庭があった場所はコインランドリーになっている。

ロッカーは、ブロック型の錠が付いたもの。その他、TANAKAにしては大柄のアナログ体重計なんかがある。クーラーが効いた明るく快適な脱衣所。31日の日曜日は「桃の葉湯」として、数に限りがあるとのことだけど、桃が配られるようだ。8月15日も。。。

浴室は、幅3間、奥行4間半。天井は緩いカーブのカマボコ型で、その中央に正八角形の大きな湯気抜きがある。カマボコ部分の最高部が3間ほど、さらに塔屋のような湯気抜きが2間ほどの高さがある。かなりダイナミックな浴室だ。ただ、天井全体がプラ板張りというのがチト惜しい。。。

島カランは1列で、カラン数はセンターから4・6・6・8。中央に2機のシャワーブース。ブース内の角っこに小さなボウル型の洗面台が取り付けてある。初めての遭遇だ。

浴槽は奥壁から外壁に沿ってL字型に、薬湯、主浴槽、水風呂と並んでいる。やや温目の薬湯は酵素ぶろなる紫系の透明な香り高いもの。主浴槽は横置きの4点座ジェット1機にバイブラで泡がかなり少ない仕様。お湯は井戸と水道水のブレンドをほほ薪で沸かしたもの。水風呂だけは井戸水100%なのか24度くらいのあまり冷たくないものでそこそこ黄色い色付きがあった。

大女将の「今はほぼ薪」という言葉に、高くなった石油は焚けないというニュアンスを感じた。手間のかかる薪で全てのお湯をまかなうのは大変なことだと思う。

スチームサウナは、男女境方、脱衣所に食い込む形で設置されている。花崗岩の座面を洗うスプリンクラーが稼働していないのと、スチームが立ち込めていないので、最初はハコはそのままで乾式に変ったのかなと思った。しばらくしたら、サウナ石にシャワーが注がれ湯気が満ちてきた。臭いもなく清潔にメンテされているけど、設備の老朽化は目立つ。相客は少なくない。ただ、サウナを使う客は小生のみだった。

このマイルドなスチームサウナと、やや色付きのある水風呂を行ったり来たり。チープな極楽。。。

ビジュアルは、男女境や浴槽の後方立ち上がりのブルーのタイルに、外国のヨットハーバーのプリント絵柄。それ以外、奥壁の大きなスペースや外壁も天井まで白色のタイルが張られている。地震は大丈夫なのかなと思うとともに、やはりペンキ絵などがないのが寂しい。。。

金曜日の21:30から22:30に滞在。相客は10数人。爺さんだけでなく若い客もそこそこ多かった。

新大塚駅で飲み処を探すが適当な店がなく、十条駅近くの店も仕舞い始めている。結局、氷結を買って大人しく帰館。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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一角には戦災を免れた古い家が残る


看板建築の漢方薬店