差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年11月7日日曜日 0:51
宛先: 銭湯ML
件名: 大黒湯(横浜市中区本牧元町)

ナカムラです。

今日(11/6)は、「大黒湯(横浜市中区本牧元町)」に行ってきました。

まず、馬車道のBankART1929で、写真家石内都のレクチャー。
ビールを飲みながら聞くという、大人の雰囲気も良かった。

石内都は、1970年代の後半、「横須賀絶唱ストーリー」、「アパートメント」、「連夜の街」の連作で、多感な頃の小生の心を揺さぶった女性写真家。
特に「連夜の街」は、旧遊郭やカフェーを追ったもので、今の自分が惹かれるモチーフでもある。
会場は、旧安田銀行横浜支店(1929年)旧第一銀行横浜支店(1929年)。近代建築愛好者?としては訪れなければならないと思っていた。
特に、古い旧安田銀行横浜支店での、BankART1929の活動は12月で終了する。

当時30歳だった石内氏も50歳代半ば。
さっき、美術界のオリンピックであるベネチアビエンナーレに、篠山紀信に次いで日本人で2人目の個展出品に招かれることが決まったと、少し興奮気味だった。
彼女の最近の仕事は、意義を認めつつも好きになれないけど、世界的に評価されているようだ。

さて、大黒湯へ。
桜木町始発の8系統のバス(本牧車庫行)に、馬車道近くの「本町4丁目」から乗り、「本牧大里町」下車、3分程度。
桜木町からだと、バスに30分ほど揺られなければならない。
少し行き難い銭湯ではある。

入口棟、脱衣所棟ともに破風屋根。
入口棟は黒瓦。脱衣所棟は、きれいに赤いペンキが塗られている。
牛乳石鹸の大きな暖簾をくぐると、正面番台裏には大黒様。
下足箱の錠はカナリア。

戸を開けると木組みの低い番台がある。
見事な脱衣所。
幅は2間半、奥行3間。天井は折り上げ格子天井。

島ロッカーが1つと、外壁側には「FUJI」と「TOKYO」錠混成のオール木製ロッカーが9個ほど。
その手前には脱衣籠を載せる棚が現役で残っている。

同湯の経営者は、4代目で、経営を引き継いで35年になると。
前の経営者は隣地にお住まいで、この建物で20年から25年くらいはやっていたと。
この建物は、恐らく、戦後すぐに建てられたものなのだろう。

男女境もウッディーなもので、今は使われないタオルと石鹸箱を預かる、10センチ四方くらいの棚が残っている。
女湯には桶を預かる棚があるけど、男湯にはないから、桶は持参したのかなと。

木製の桟のガラス戸の外に壊れたアナログ体重計があった。
「大平館(「太」ではなかった)」と書いてあったので、由来を聞くと、大倉山の「太平館」は義姉の、保土ヶ谷の「太平館」は義兄の経営とのこと。
そこからのものらしい。
脱衣所には、それとは別のTANAKAのアナログ体重計。

浴室も見所が多かった。
幅2間半、奥行3間半の中型銭湯。天井は2段型。幅1間半のウィング部は均等なカーブを描いている。
島カランは、鏡すらないプレーンなもの。カラン数は7・6・6・7。センターにのみシャワーが付いている。カランのメーカーは判らなかったけど温泉マークがついたもの。

床のタイルは正六角形の亀甲形タイルが平滑に張られている。
入口は小さな黄緑の正方形タイルと八角形タイルの組み合わせ。
これらは、いつ見てもいい。

浴槽は深浅2槽と釜場への通路を隔てて、センター側に白濁した薬湯。エッキスなのかな。そんな感じのもの。
浅槽は赤外ランプ付のバイブラで42度くらい。
深槽は緩やかに気泡が立ち上るもの。やはり温度は42度くらい。

ビジュアルは、奥壁が早川師の陸中海岸。平成10年7月2日に書かれたもので、独特の波しぶきが描かれている。
男女境には、銘はないものの4枚のタイル絵、龍宮城から亀に乗って去る浦島太郎、洋風の高峰、松・島・帆掛舟、富士山という絵柄。

帰り際に番台裏の大黒様の撮影許可を請うと、浴室のも取りなさいと。
挙句の果ては、女湯はアタシが撮影してあげると、番台で靴下を脱ぎ出した。
女湯は一寸法師とのこと。

撮ってもらった写真の隅には、鏡越しに、女湯の客が写っている。
はっきりはしていないが・・・。

同湯のコインランドリーは、「コインランドリー キヨ」という。
どうも、この明るい女将の名前のようだ。

帰りは、また8系統のバスで戻り、中華街で途中下車。
19:00。メイン通りはごったがえしていた。

中華街も店をちょっと選ぶと、本格的なものが、街の中華屋の値段で食べられる。
しかし、一人では、リーズナブルなコース料理受けてくれない。
まわりを見渡したら二人ずれのみ!!!。

結局、海老チャーハンの大盛りと紹興酒。
なんのことはない。いつもの中華屋と同じものを食べただけだった。

帰りに地味な食材店で415円の紹興酒を1本調達。
さっきの店で1800円で出ていたもの。
すでに、これを書きながら半分消費中。









オール木製ロッカー 富士錠


浦島太郎


恐らく、女将の名前