大黒湯(大久保浴場)(墨田区八広) 2007.9.7

先週訪れた、「曳舟湯」向いのもつ焼き屋「大力」の婆さんに、「大黒湯」廃業を教えられた。台風が過ぎ去ったので、急行する。

昭和29年築・創業の伝統的木造銭湯。今月25日の営業を以て暖簾を畳む。

浴室は簾。脱衣所も冷房などなく、全てが開け放たれて、さらにAsahiの大型扇風機が轟音を立てている。

早川師の大歩危のペンキ絵というのもレアな絵柄かな。郷愁漂ういい銭湯だ。

上がりは、「三祐酒場・八広店」。頼んだ肴が三連続で品切れだったのは少しめげた。しかし、時間が足りなくて試せなかったものの食べてみたいものがいくつも並んでいた。

家に帰ったら、写真集「氷海 山崎猛作品集」が届いていた。1985年に刊行された、当時はとても手が出なかった写真集だ。ネットで検索して古書店から取り寄せた。

9月5日の日本経済新聞の文化欄に、山崎氏が「アルプの精神つなぐ館」というタイトルの文を北のアルプ美術館館長という肩書で書かれていた。この方は斜里町にお住まいのアマチュア写真家の方で、25年前、冬の知床ユースホステルで、後にこの「氷海」としてまとめられる写真を見せて頂いた。




小生は当時18歳。冬なので泊まり客は少ない。そんな相手にわざわざ斜里からやって来てくれて、若い旅行者に知床を、写真を、熱っぽく語ってくれた。カラーながら色彩を抑え、モノクロのように撮影しているという解説を今でも良く覚えている。

後に、旅行会社のポスターの写真などで何度か名前を見ることがあった。
最も強く心に残っている写真家の一人だ。

「アルプ」という山の文芸誌があったのは知っていたけど、この方が私設の「北のアルプ美術館」を建てて15年になるという。
山や写真のバックボーンが、「アルプ」という文化的なものだったようだ。
斜里には銭湯はあるのかな、遠いけど、「北のアルプ美術館」に行って見たくなってきた。たまらなく。


17.7の早川師の大歩危のペンキ絵





8/25で廃業する告知が番台裏に・・・。最終日は無料。





三祐酒場・八広店





轟音を立てるAsahiの扇風機


これほど、ホームの幅が狭い駅も珍しい。