第二かねき湯（渋谷区本町）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2006年5月21日日曜日 14:10
宛先: 銭湯ＭＬ
件名: 第二かねき湯（渋谷区本町）

ナカムラです。

今日（5/6）は、「第二かねき湯（渋谷区本町）」に行ってきました。
初台駅（京王新線）から、０．６キロ、１０分くらいです。

京王新線の地下駅から地上に上がると、傍らにオペラシティの高層ビルが建っている。かつては、洋風のファッサードに特徴があった東京工業試験所があった場所だ。

同湯は、水道道路をアンダーパス「本村ずい道」という特徴的なトンネルの傍らにあるマンション下駄履き銭湯。

エントランス部は植栽で隠されてはいるけどグレーの硝子張り。入口部の壁は、煉瓦積みで｢湯屋／ＫＡＮＥＫＩ｣と書かれている。一見して拘りが感じられる造り込みがなされている。

自動ドアを入ると入浴券の自販機と思いきや、タバコの自販機だ。その隣から、壁側に松竹錠の下足箱が整然と並んでいる。

フロントスペースは黒色で統一されている。黒色のソファ、大型テレビ、冷蔵庫、アイスボックスなど一通りのものがある。しかし、清潔感がいまいちに感じる。清掃はきちんとしているんだろうけど、黒色ビロードのソファのメンテナンスは、それ以上に難しいと思う。明るい銭湯には不向きなものだと思う。

広いフロントスペースに、ちょこんと小さくある、フロントで４００円とサウナ代３００円を払う。バスタオルとサウナ証として赤のリストバンドを渡される。

脱衣所に進むと、ベースは３間四方の籐敷きの脱衣所がある。ビル銭ながら、天井高はそこそこあり圧迫感はない。しかし、サウナ室と２機の立ちシャワーブースがフルに脱衣所に食い込んでいるので、多少の狭さを感じる。

脱衣所の最大の特徴は、センターに立つガス燈、黒板塀を模した壁、窓は旧型の木製の硝子窓を黒色にして用いてることだろう。電灯もアルミ傘に白熱灯のものがアクセントで使われている。脱衣所全体が、レトロに丁寧に演出されている。

その他、Ｋｅｉｈｏｋｕのアナログ体重計、ミネラルウォーを中心とした自販機が置かれている。浴室に飲料を持ち込むのは保健所の通達で禁止されているらしいけど、サウナに入るので、水を買って、ペットボトルを持ち込む。

浴室も相当の拘りがある。壁・男女境はレンガが積まれている。規格からすれば本物のレンガではないようだけど、レンガ風のタイルというチャチなものでもない。小振りながら本当のレンガだ。

天井は、最高部が２間で、外壁側に緩くカーブして高さを落としている。白いペンキが塗られている。しかし、よく見ると・・・、この天井は恐らく木製の板を組んだもの。なかなかな拘りが、ここにもある。

床は、オフホワイト、濃い緑、淡い緑のタイルによる市松模様。それぞれの色のタイルが、６×６の小さいタイルで市松模様を構成している。

島カランは１列で、白煉瓦で組んだ、幅０．５メートルはある大きさと重量感があるもので、上部には鉢を入れるスペースがある。カラン数は、センターから、６・５・５・６。両サイドのカラン周りも白レンガが積まれていて、カラン廻りの照明も半間接照明と凝っている。

浴槽は、主浴槽が２穴ジェト×２。もう一方がデンキ風呂になっている。
サウナは、５人くらいが入れるシンプルなもので、静かに演歌が流れている。サウナ室の時計が１０分程進んでいて、夕方の予定が控えていたので少し慌てる。プラス３００円のサウナなのに、水風呂がないのが寂しい。しかし、新宿周辺はサウナが高目なので、これが相場なのかな。

奥壁は緑がかった土色のタイルが貼られている。レンガの壁と合わせ独特の雰囲気を醸し出している。いわゆるビジュアルはない。しかし、湯船に浸かって、脱衣所方に目をやっていると、レトロに演出された脱衣所がビジュアルなのかなと感じる。

浴室と脱衣所の仕切りは、全て曇りひとつない透明な硝子になっている。それを通して、湯船からは、黒板塀をバックにガス燈や硝子窓が見渡せる。まさに、レトロな街の風景が見渡される。

上がりにビールを探すが、意外にもビールの販売はなかった。

なかなか、渋味の利いたマンション銭湯で、その拘りに共感した。

〔渋谷区本町〕

昭和７年に、旧代々幡町の大字となっていた幡ヶ谷のうち、字本村・下町、三谷などが合併して幡ヶ谷本町として成立しました。幡ヶ谷の地の古くからの中心地であったために「本村」であったことでこの町名になりました。昭和３５年に住居表示により「幡ヶ谷」を省いて現在の町名になっています。

幡ヶ谷は、後三年の役の後、源義家が上洛し、その途上、白旗を洗ったという「旗洗池」に由来します。この池は、昭和38年に埋め立てられ、その旗は金王八幡宮の社宝となっています。

本村ずい道