差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2012年7月21日土曜日 0:18
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 第二宝湯(杉並区本天沼)

ナカムラです。

今日(7/14)は、「第二宝湯(杉並区本天沼)」に行ってきました。荻窪駅(中央本線)から、1.2キロ、14分くらいです。

浅草の長谷川商店に行き、台と鼻緒を別々に選び、下駄を新調する。アール・デコ調の松屋浅草店(昭和6年築/久野節設計)が、外装のパネルを外し、建設当時の姿に戻っている。しかし、4〜7階および、日本で最も歴史ある屋上遊園を閉鎖している。今後は”東京スカイツリー線”の始発ターミナル駅。観光客向けのビルとして、再起を図るのだろうか。。。

慶応年間に建てられた蔵のギャラリーを有するカフェ「エフ」で休憩。その後、今年は2週間ほど後ろ倒しされた新宿の夏のバーゲンで、夏物を補充した後、喫茶ピースで”銭湯検討会議”、新宿から丸ノ内線で、荻窪駅に向かう。

バス通りから少し奥に入った、コンクリ煙突を持つ古いビル銭湯。創業は昭和24年で、昭和52年に現在の3階建てのビルに替っている。天沼3丁目に伝統的木造銭湯の「第一宝湯」があったけど、「全国浴場銘鑑」を見ると、第一と第二が逆で、同湯が第二を冠さない「宝湯」を号している。かつては、こっちが本家筋だったのかも知れない。

ファッサードは、扇形で3センチ角の古びたタイル張り。見たこともない珍しい外観だ。中に入れば、小さな靴脱ぎスペースがあって、Sakura-K錠の下足箱。さらに自動ドアを入れば、そこそこ広いロビースペースになっている。誇らし気に”今年収穫されたラベンダー”が入った箱が置かれてある。咲いている所を見たことはあるけど、ハーブとしてのラベンダーそのものを見たのは初めて。鑑賞用にも耐える鮮やかな紫色が残っていた。

脱衣所は、男湯と女湯が左右並びではなく、L字型にレイアウトされている。男湯の広さは、幅3間、奥行2間半ほど。男女境の上に桃色に塗られたオブジェがある他、Sakura-3錠のロッカーが、積木を積み重ねたような見たこともない独特の形をしている。

内外装とも一風変わった設計とデザイン。”デザイナーズ銭湯”といってもいいだろう。そんな中で、「宝湯」と記されたメーカー不詳の古いアナログ体重計があって、唯一、この建物よりもずっと古い物だった。

浴室は、幅3間、奥行3間半。天井は、男湯だけで1つのカマボコ型を構成するもので、綺麗に白いペンキが塗られているものの、木板張りなのか、コンクリなのか判断が付かなかった。

島カランは1列で、カラン数はセンターから5・6・6・6。タイルは6センチ角くらいの足触りのいいクリーム色のタイル。

浴槽は、奥壁に接して、センターから水風呂、電気、7点座ジェット×2、主浴槽のバイブラ。お湯は42度強で、白い細かな泡が立つ入浴剤が投入されている。

同湯では、180メートルの深井戸から汲み上げた水を、重油で沸かしている。戦前に掘られた、東京衛生病院の井戸には及ばないものの、旧荻窪組合の銭湯の中では、最も古い井戸だという。

男女境は、ファッサードと同様のデザインのモザイクタイル。手前から、立ちシャワー、サウナ室、水風呂がジグザグに並ぶ。プラス300円(大タオル付)のサウナには、ロビーに陳列された天然のラベンダーが、枕大の袋に詰められて2つ置かれていた。ヒノキに似た、精神を安息させてくれる、いい香りだ。

中規模のビル銭湯ながら、奥壁には、山上からの富士山を描いたペンキ絵(24.6.29.)がある。奥壁、コーナーの柱を経て、外壁に延びる凸凹した場所に描かれ、”四曲一双”の屏風絵のようだ。描かれてから2週間余り、懐かしいペンキの匂いが微かに残る。南大菩薩辺りだろうか、かつて眺めたことがあるような、懐かしい風景を想いながら、湯船からぼーっとペンキ絵を眺めていた。

3連休初日の土曜日。18:45から19:45に滞在。最初は、浴室で1人になる時間もあったものの、どんとんど客が入ってきて、相客は都合10人を超えた。

ロビーのテレビに向かって、いちいちコメントを入れるような気さくな親爺がいる、ちょっと風変わりな、印象に残るビル銭湯だった。

上がりの一杯は、荻窪駅前の、そこだけバラックが残っている荻窪駅北口駅前通商店街の台湾料理屋へ。安かったけど、盛りがぞんざいで、味付けがやたら濃いものだった。アジア的な雰囲気は満載だけど、帰路、のどが乾いて困った。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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                     第二宝湯


          藤乃湯(定休日)。看板に”ファミカ風呂”とあった。
    隣は”セルシャワー”。少し、見たこともない奇妙な用語が並んでいる。