差出人: Masayuki Nakamura 
送信日時: 2015年4月5日日曜日 22:50
宛先: 銭湯ＭＬ (sento-freak@freeml.com)
件名: 第三御殿湯（越谷市赤山町）
ナカムラです。
今日（1/11）は、「第三御殿湯（越谷市赤山町）」に行ってきました。越谷駅（東武伊勢崎線）から、0.6キロ、7分くらいです。
南栗橋の病院までお見舞いに行き、帰りに前から気になっていた越谷の第三御殿湯に寄った。
南栗橋駅（東武日光線）は都心から半蔵門線直通電車の終点になっているので普段よく耳にする駅名だけど、初めて降りると何もなさに驚かされた。錆びた自販機が並んでいるだけ。何とその自販機には雷電神社の「盗賊除け」が”装備”されている。
一方、越谷駅は1920年に開設された東武初の地元請願により設置された歴史ある駅。平成9年に北越谷駅まで複々線化されたようで、ホーム2面と追越し用2線を含む計6線が並ぶ威容に驚かされた。
しかし、さすがに埼玉の郊外。駅のロータリーを離れると街灯は一気に少なくなり、暗い田舎道となる。
程なくして同湯に到着。コンクリ煙突を有する千鳥破風の伝統的木造銭湯。何のためらいもなく煙突からは白煙が濛々と立ち昇っている光景は清々しい。しかし、広かっただろう前栽の部分には、男女湯それぞれにそれなりの大きさの2階建ての建物が増築されている。銭湯の建物はその間に窮屈に収まっている。
暖簾は手作りだろうか、干からびて煤けたものが申し訳程度に下がっている。まだ正月飾りも残っている。
経験則からカナリヤ錠の銭湯はいい銭湯が多い。同湯も左右にそんな下足箱が多数並んでいる。
番台への硝子戸を開けると木組みの番台。側面には新建材が張られている。ほぼ大きな蛍光管1本のみという照明の暗さと、優に4畳程はあろう浜松の「ケンカ凧」が折り上げ格天井に吊されていることに驚く。
広さは、幅3間、奥行きも3間ほど。ロッカーはシリンダー式の錠のものが入口方の壁のみ。島ロッカーはなく、丸籠も現役のようだ。アナログ体重計はHOKUTOWの150キロ計。針は午後6時の位置。体重は人生史上最大だけど、いつも程針が振れないのがいい。
脱衣所のテーブルの上には缶コーヒーの空き缶、食べかけの菓子袋、何故かいくつもの眼鏡などが所狭しと散乱している。濡れ縁を介した庭もまた然り。「ボットン便所なので気をつけて」という便所も久し振りだった。
いろんな所が行き届いていない。しかし、ひとり残された爺の家に遊びに来たような感慨を憶え、嫌な感じはない。客の話相手をしながらも、顔は新聞の競馬欄に一心不乱。飄々としたそんな大将の人柄かも知れない。
浴室の広さは、幅3間、奥行4間。天井は木板にペンキ塗りの2段型。天井高は4間程はあるだろうか。心持ち高い印象を受ける。
島カランは鏡の無いプレーンなものが1列で、カラン数はセンターから7・5・5・6。床のタイルは長方形のタイルが煉瓦積みの意匠で張られている。立ちシャワーすらないシンプルな浴室だ。
浴槽は、奥壁に沿った広い主浴槽が1つのみ。格子が掛けられた焚出し口からはふんだんに湯が注がれている。バイブラは稼働しているものの、2機のジェットは稼働していなかった。薪焚きのお湯は42.5度くらい。すっきりさと柔らかさを兼ね備えた綺麗なお湯だった。
ビジュアルは、センター富士のペンキ絵で、男湯側にはさらに海蝕で洞になった半島を描いたものだった。その下は鯉が泳ぐ池の周りを子鹿、兎、猿が取り囲む子供向けのモザイクタイル絵。さらに男女境には幅4間ものやはりセンター富士と山々を描いたモザイクタイル絵。なにげにビジュアルが豊富だった。
上がりは、いろんな物が収納されている冷蔵庫の最下段の明治牛乳110円。飲んでいる相客が居なければ、瓶牛乳が隠れていることには気づかなかったかも知れない。
日曜日の18:20から19:20に滞在。相客は5人ほど。明日休みなのに大将は客が少ないと話していた。
上がりの一杯は、相方の見立てで同湯の真向かいの「伊豆はる」という釜めしと和食の店。カウンター2席と小あがり2卓だけのささやかな店。小さいながら、刺身から天ぷら、串揚げ、釜飯とメニューは多彩でどれも美味しく、勘定も安かった。店には終始小生たちだけ。いつもは客が居ない店は避けるんだけど、地方に旅行しているみたいなのんびりさがあって、かなり満足度が高かった。
*************************************************
ナカムラ （Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com（風呂屋の煙突）
*************************************************
カナリア錠の銭湯はいい銭湯が多い
伊豆はる
越谷駅
越谷駅前