差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年2月2日土曜日 8:37
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: だるま湯（福岡県飯塚市本町）

ナカムラです。

今日（12/20）は、「だるま湯（福岡県飯塚市本町）」に行ってきました。 新飯塚駅（筑豊本線等）から、1.2キロ、15分くらいです。

羽田発朝9:20の便で空路福岡入り。冠雪の富士山がきれいに眺められた。そして、新飯塚駅から遠 賀川を渡り、”筑豊”の中心地の1つ、長崎街道の宿場町時代から栄えた飯塚の市街に入った。飯塚 は20数年振り。当地は、石炭で成り上がった地方財閥の麻生グループの拠点。今でも麻生副総理の 地盤になっていて、町のあちこちで”麻生”の文字を見かける。

飯塚では、アーケードが連なる寂れた商店街、西町の旧赤線跡、昭和6年築の木造の大劇場の嘉穂 劇場などを見ながら石炭による繁栄と衰退を感じる。

全く知らなかったけど、全国的に有名な吉野堂の”銘菓ひよこ”と、”チロリアン”や”千鳥饅頭” の千鳥屋がそれぞれ、寂れた飯塚の商店街に本店を構えていた。特に、”東京銘菓”として東京に進 出したらしい”ひよこ”は、東京のお菓子だと思い込んでいた。

さて、福岡や北九州は日本海側なので冬は寒い。特に、今日はこの冬一番という冷え込みになって いる。石炭で栄え、ボタ山に囲まれた飯塚の町にはかつて15軒ほどの銭湯があったというが、現在 は”だるま湯”1軒だけになっている。

だるま湯は、町外れの旧西町の赤線跡と商店街の中間くらいの所にある。基部が煉瓦積みになって いる煙突を有する昭和3年築の古銭湯。かつては当然だけど、筑豊の石炭でお湯を沸かしていた銭 湯だ。

細い路地にある門柱を入れば、切妻の脱衣所棟に男女別の入口。その入口を、黒瓦を載せた入母屋 屋根の玄関ポーチが覆っている。

藁をＬ字型に編んだ縁起物だろうか、軒に飾りが下がっている。入口扉の周囲や番台裏は白いタイ ルと緑のアクセントが入ったマジョリカタイル。おらく、創建当初からのオリジナルだろう。

名古屋銭湯のように敷地内の外便所方式だったようだけど、今は脱衣所からアクセスするように改 造されている。

ドアを入ればコンクリのタタキと、その傍らに椅子を載せた番台。下足箱は昔の小学校にあったよ うな扉を手前に持ち上げるもの。錠はない。ドクター中松似の大将に、相方が2人分の風呂銭800 円を払う。

脱衣所の広さは、幅2間半、奥行は広いたたきを含めて3間強。天井は2間弱くらいだろうか。天 井は素っ気ない白い天板。壁も床も新建材に置き変わっている。ただ、残念な感じはしない。それ は、たとえ新建材であっても、きちんと磨き込まれているからだと思う。そういった姿勢は同湯の 隅々で感じることができる。優れた銭湯だ。

ロッカーは漢数字が書かれたオール木製。丸籠も活躍する。アナログ体重計はFUKUOKA。男女境に は昭和30年代のものだろうか、”テレビは東芝のユニカラー”と記された大きな鏡が残る。

浴室は、脱衣所から1段ほど下がった位置にある。しかし、これが地面の位置なのかも知れない。 だとすれば、東京銭湯などの浴室の床は、地面よりも高い位置にあることになる。あまり考えたこ とがなかったけど。

広さは、幅2間半、奥行3間ほど。天井は、周囲に一段あるものの平らで、中央に湯気抜きがある。 中央奥に大きな張り出しがあって、上部が群青色のマジョリカタイルで装飾されている。石炭を焚 いた昔の釜は大きく、釜場に収まり切らず、このような張り出したという。

カランは上部が模様ガラスが使われている男女境に6機のみ。島カランはもちろん、外壁側にもカ ランはない。

浴槽はセンターに直径1と1/3間くらいの円形浴槽が1つ。今は水道水をA重油で沸かしている。 42度くらいの清澄なお湯が満たされている。昔は足を屈めて使ったんだろう。相客と2人だけ。し かし、足を伸ばすと、どちらかが気を使わなければならない。

上がりは瓶入りのグリコ牛乳130円。グリコは大阪の会社。グリコの牛乳を関東の銭湯で見たこと はない。

木曜日の17:35から18:40に滞在。相客は3人。筑豊炭田で栄えた飯塚に残る最後の一軒。古さを 残しながらも、隅々まで磨き込まれた、優れた郷愁銭湯だった。

帰りは、飯塚バスセンターから天神行の直通バスが多く出ている。しかし、老朽化したバスセンタ ーの時刻表ボードはホワイトスペースが多い。飯塚の地盤沈下や周辺の過疎化が進んで、多くのバ ス路線が廃止されたのだろう。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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　　　　　　　　　　　　　　西町の旧遊郭に残る、妓楼と思われる焼けた建物





























　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　遠賀川。飯塚はボタ山に囲まれている。