差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年7月25日土曜日 21:43
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 土橋湯(広島市中区土橋町)

ナカムラです。

今日(7/17)は、「土橋湯(広島市中区土橋町)」に行ってきました。 路面電車・土橋駅(広島電鉄本線)から、0.1キロ、1分くらいです。

今日から3連休なので、少し遠出でもするかと広島市と安芸・宮島の遊廓跡と銭湯ツアーへ。。。

定時17:10に早々と会社をズラかる。東京駅で崎陽軒・横浜チャーハン弁当とビールを調達し、 17:50発の「のぞみ123号」広島行に乗り込む。

この新幹線(N700系)には電源コンセントがあって近い将来には無線LANを経由してネッ トにアクセスも可能になる。撮影旅行にはPC持参が常なので、車内で無線LANが利用でき れば移動時間の使い方が変わるかも知れない。

さて、土橋湯。広島県の浴場組合には銭湯の画像を載せた立派なHPがある。仕舞いが早い広 島市の銭湯にあって、歓楽街薬研堀のオールナイト「音戸温泉」を除けば、同湯は24:00まで の長い営業時間となっている。しかし、念のために電話をすると23:30に閉店時間が繰り上が っている。経営者の高齢化や客の減少で閉店時間は繰り上って行く・・・。

路面電車で広島駅から10分ほど。土橋は、東の弥生、西の土橋と並び称された広島の歓楽街 だった。東遊廓のあった、広島駅に近い弥生町、銀山(かなやま)町、西平塚町、薬研堀町辺 りは今も歓楽街だけど、西遊廓のあった土橋周辺の河原町、小網町、舟入町は、かつて羽田別 荘少女歌劇団をも組織した羽田別荘や、広島券番、数軒のラブホテルと名残はあるものの現在 はひっそりとしている。

昭和27年に経営を引き継いで50年になる。昨今の事情から「土橋湯」と称しているけど、 看板、入口など、昔からの「土橋温泉」のままだ。

ここは川を隔てて平和記念公園のすぐ東側。同湯は、最も爆心地に近い位置にある戦前派の銭 湯だ。この辺りは上方から溶かされるがごとく、瞬時に焼き尽くされた地域。同湯のコンクリ 煙突は、脱衣所と浴室の間、それも男・女湯の中央にあるという構造的にも希有な構造になっ ている。そして、この煙突の基部は被爆しているという。

広島市には「被爆建造物リスト」というものがある。宇品・勝利湯(昭和元年築)のように被 爆していても掲載されていない。ましてや同湯の煙突ように構造物などは掲載されていない・・・。

同湯入口は、「バンビ」という理髪店と「パンダ」という喫茶店に挟まれた20メートル位とや や長い花道の奥にある。男女別々に2房の暖簾が下がるあたりは京都風だ。くだんの煙突は上 半分が鋼鉄製で先端が細くなったものに置き変えられている。

暖簾を潜っての靴脱ぎスペースは、逆U字型の小石型のタイル張り。この辺りも京都風。下足 箱の錠はおしどり。番台へは、やはりタイル張りの階段を昇って行く。広島銭湯の番台は大き く高い。全面がカーブしてタイル張り。跨いで入れる代物ではなく、ガルウィングの車に乗り 込むごとく脇から潜って入って行く。

脱衣所の広さは、幅2間、奥行3間ほど。天井高は2間ほど。壁は木目プリントの新建材、天 井も昭和中期的な天井材が使われている。

浴室との間には奥行1間ほどの緩衝スペースがあって、外壁側半分にはピンクがかった黄土色 を基調としたタイル張りの流しがある。そして、緩衝スペースの反対側。銭湯によっては小さ な庭やサウナ室になっている部分。同湯では、ここに「被爆煙突」が立っている。まさに「銭 湯」の中心。再建建物が後なのだろうけど、ここに煙突を置くというレイアウトに初めて接す る。

ロッカーは、MIYASHITA/おしどり錠のロッカー。外壁側に背の高さよりも高い位置にまでロッ カーが設置されている。その他、デジタル体重計、缶飲料、牛乳の自販機がそれぞれある。

浴室は、幅3間、奥行4間。天井は横カマボコ型でブルーの波板。そこに2筋の湯気抜き。浴 槽は長方形のものがセンターに。奥が浅く小さく区切られたバイブラ槽、手前が「金棒ジェッ ト」とも呼べるセンター浴槽でよく見かけるタイプの独特のジェット。そして、広島銭湯の最 大の特徴、浴槽が2段ではなく3段。1段目に座れば「半身浴」、2段目に座れば椅子に腰掛け るように肩まで湯につかれる。

そして、奥壁に接するようにサウナ室と水風呂。プラス100円のようだけど、閉店まで40 分を少し切っていたからか入れてはもらえなかった。

ビジュアルは、男女境がガラスブロックで、一部に色付きのものが使われていることと、2枚 の富士山の絵付けタイル絵。1つは奥壁で6枚構成の物、外壁には色褪せた12枚物。いずれ も10センチ角のタイルで構成されたこの広い浴室からすれば極小さいものだ。

金曜日の閉店前の22:55から23:30まで滞在。相客は10人位。徐々に消灯されていって、23:30 の完全消灯とともに店外に導かれていた。この辺りの手際は、東京、横浜の銭湯と同じだ。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ (風呂屋の煙突)
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