差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2006年6月4日日曜日 8:34
宛先: 銭湯ML
件名: 江川湯(川崎市川崎区江川)

ナカムラです。

今日(6/2)は、「江川湯(川崎市川崎区江川)」に行ってきました。
産業道路駅(京急大師線)から、0.3キロ、4分くらいです。

今日は小生のハッピー・バースデー。同じく独身中年の会社の同僚に、お互いに味気ない人生だよなぁと同意を求めると、「ナカムラさんとは一緒にしないで下さい」とキッパリ・・・。そんなわけで、いつも通り、都会の中での静寂を求めて、とぼとぼと川崎南部へと向かう。

大師線は、工場地帯を走る京浜急行のローカル線の趣きだけど、川崎大師駅の開業は明治32年と古く、京急の発祥の路線でもある。産業道路駅は、まさに主道路である産業道路に面して設置されている。それにしても、バス停みたいな駅名だ・・・。

昔、オートバイで夜中走り回っていた頃、大型トラックに紛れ、この道路でよく東京から横浜方面へ向かった。幅広の道路に突然に現れる踏切が強く印象に残っている。現在、立体交差化の工事が進められている。

同湯は、駅からはさほど遠くはない。しかし、幹線道路から一筋奥の道に入ると、他の街より街灯が少ないのか、闇が濃い感じがする。道の真中に猫の死骸か・・・と思うと、急に起き上がった。夜に初めて訪れる街はどこでもそうだけど、道の真中で寝転ぶ猫といい、どことなく不気味な感じがする。

ほどなくして、江川湯に到着。暗いのでよくわからないけど、油井型の煙突に黒瓦の脱衣所棟のようだ。ただ、大きな看板を掲げて、それを白熱灯で照らしている。また、赤い発光ダイオードの、「サウナ」なんかが表示されるメッセージボードもある。

女将は築30年と言っていたけど、もっと古い感じがする。そんな木造の伝統銭湯を10年前に大改装して、露天、サウナ、タコ焼きほか&生ビールの提供ありという、現在の姿になっている。

脱衣所棟の前面に直方体の建物が増築され、コインランドリーとフロントスペースになっている。
大きな看板の間に「銭湯浪漫」の暖簾。小振りの靴脱ぎスペース。下足箱は白いアクリル扉にアルミ板鍵の松竹錠。自動ドアを通ると女将が座るフロント。400円とサウナ代が200円を払うと、赤いナイロンのリストバンドとバスタオルが貸し出される。

現在21:40と遅いので、仕舞いの時刻を聞く。23:30とのこと。
金曜日の開放感がある夜。そして誕生日の夜。川崎南部の「秘境」で、疲れを癒しながら、ゆっくりと1年間の反省をすることにする。

脱衣所は、幅2間、奥行2間半程度と小振り。壁、天井とも白いクロス張りで、古風な部分は残っていない。男女境も折り畳み式で、男女スペースと一体で使うことが可能な構造になっている。

ロッカーは松竹のシリンダ錠。いくつか脱衣籠も残されている。その他、「尻手浴場」でも見た、小振りでやや不細工な、飲料の自販機などがある。

体重計が変っている。「TERAOKA」のロゴがあるヘルスメーターのお化けみたいなもの。大きさは、例えるならば吉野家の「特盛」のさらに1.5倍。とても食べきれない、いや、初めての遭遇。150キロまで計測可能のようだ。あの「寺岡式」のアナログ体重計も重量感たっぷりの大型だけど、このヘルスメーターも見たこともない大型だ。

浴室は、幅3間、奥行4間の標準サイズ。天井は、ウィング幅1.5間弱の2段型で、プラ板が張られていて趣きは乏しい。島カランは1列で、カラン数は8・5・5。外壁側は奥壁からL字型に張り出した浴槽があって、カランはない。

浴槽は、奥壁から8点座ジェット×1、ボディーマッサージ、ミクロバイブラと続いている。L字型部分の脱衣所方には電気風呂になっている。
釜場への入口周辺が広くなっていて、その分奥壁前の浴槽が小さい設計になっている。
外壁側に多く浴槽スペースが割かれているので、外壁側の浴槽が奥壁まで延びているという方が適切な言い方かも知れない。

全てが一体の浴槽。湯は、外壁のやや高目の焚き出し口から、備長炭を通した湯が落とされ、温度は全て41度くらいとややぬるめの湯。タイルにミネラルが付着しているので井戸水と感じたけど、水道水とのことだった。

金曜日夜の安息の場、今日は1年間の反省会会場でもあるサウナは、8人くらい入れるもの。微かな芳香と静かにJ−POPが流れている。温度は90度くらいでさほど高くはない。肩に刺青のある数少ない相客と、2人では少し窮屈な水風呂を譲り合いながら、サウナと水風呂を何往復もする。

占いでは、昨年当りから運勢が上向くという話しだったけど、その兆しなし。占いが当たれば、占い師は別な仕事をしているだろうと考える人間にとって、占いは意味を持たないだろう。

外壁の外はかつて庭だったんだろう。今はその全てが、露天スペースとサウナ室に充てられている。露天のは日替わりらしく、今日はカモミール。温度は40度強。石張りで幅が1.5メートルほどだけど、奥行きは2間以上はあるなかなか広いもの。浴槽を含め背丈ほどまでの壁が石張りで、その上が竹囲いになっている。屋根はない。

ビジュアルはない。壁は純白の大きめのタイルが貼られ、極一部に浅い模様が彫られたタイルが使われている。その他タイル類も全て10年前の改装時に徹底的に入れ替えがなされているようだ。古いものは微塵もない。

上がりは、生ビール&タコ焼き(4個100円)を頂きたい・・・。しかし、既に22:30を回っているので、小さな小さな厨房は仕舞いになっている。仕方がないので、自販機で「一番搾り」300円。生ビールと競合する故の価格設定だろう。300円はあまり見ない、やや高い価格設定だ。

金曜日の21:40から22:50に滞在。相客は3人だけ。川崎南部の「秘境」といっていい趣だった。
案外の長湯になったのは、居心地が良かったからだと思う。



産業道路駅


構内踏切から産業道路の踏切を臨む。


〔江川町〕
もとは稲荷新田の江川町耕地とよばれていた場所。
多摩川の河口で、入り江に注ぐ川の町ということからこの名がついたといわれる。
昭和40年(1965)の住居表示で稲荷新田の一部を独立し誕生した。