差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2014年11月30日日曜日 7:30
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 江古田湯(中野区江古田)

ナカムラです。

今日(8/29)は、「江古田湯(中野区江古田)」に行ってきました。新江古田駅(都営大江戸線)から、1.0キロ、12分くらいです。

初めて降りる大江戸線の新江古田駅。少し北に西武池袋線の江古田駅があるので「新」が付いている。読みは西武線が「えこだ」駅で、大江戸線は地名の読みに合わせ新「えごた」駅と濁音になっている。

少し離れて2つの「江古田」があるのは、元々、中野区の江古田村が源流で、少し北に離れた練馬区旭丘町(旧板橋区江古田町)などに江古田村の新田(分村)が拓かれたのが理由のようだ。読みが異なる理由は定かではない。

そして、「新田」由来の江古田駅(西武池袋線)を挟み、南北に2軒の「江古田湯」がある。北側の練馬区旭町の銭湯は江古田(えこた)湯。南側の中野区江古田(えごた)町の同湯は江古田(えごた)湯と呼ぶ。

近所に住んで徒歩で通う人には余計なお世話だけど、電車で行こうとすると煩わしく、ちょっと注意が要る。

さて、江古田湯。すぐ近くに1993年まで結核療養所だった国立療養所中野病院(現江古田の森公園)があって、洋風下見板張りの古い病棟の写真を撮りに訪れたことがある。昭和22年の航空写真を見ると、病院がある他は原っぱが広がっていて、原っぱの中に伝統的木造銭湯の建物を見ることができる。旧野方浴泉。おそらく戦前派。この地が”郊外”だった時代に創業した、かなり歴史のある銭湯のようだ。

昭和40年代の建物だろうか、今は古いマンションの地下に入るビル銭湯に建替わっている。江古田三丁目商店街の盟主と言っていい位置や、長い花道の入口にある祠と枝垂れ柳、花道の奥の堂々とした建物を見ると、歴史ある伝統的木造銭湯の面影がオーバーラップする思いがする。

花道の一部が10段余りの屋外の階段になっていて、地下1階ながらオープンな入口からアクセスする。中に入れば、広い靴脱ぎ場と上がりかまち。L字型に傘ロッカーと下足箱が並ぶ。

自動ドアを通るとゆったりとしたロビーにフロント。建てられた時は番台だっただろうけど、どのように改装して現在の姿になったのか想像し辛い。

相方が2人分の風呂銭を声が大きくめちゃめちゃ明るい女将さんに手渡す。聞けば、ビルに替った後の昭和50年代に、ご本家の沼袋・一の湯が経営を引き継いだという。

脱衣所は、幅3間、奥行4間くらい。但し、広いロビーにスペースが侵食されている。天井高さは1間と1/3と低く、天井に近い所に地平があり僅かな高さの明かり取りの窓がある。特に銭湯空間の確保のために地下を深く掘り下げることはせず、普通のビルの地下スペースに銭湯を押し込んだという程度の空間だ。

ロッカーは、脱衣所側に松竹シリンダー錠のものが並ぶ。その他、新旧マッサージが3機、木製のテーブルにベンチが2つ。籐敷きの空間に最小限度のものだけが置かれている。

やや小振りのTANAKAのアナログ体重計があって、「多田建設/和光商事」と記されていた。このビル銭湯を建てたゼネコンだろうか。バブル後、リーマンショック後、さらにその後にもう1回。計3回も会社更正法が適用された稀有なゼネコンだ。まぁ、2回も娑婆に帰ってきた不死身な会社だ。

浴室の広さは、幅3間、奥行4間ほど。天井はオールフラットで高さは1間と1/3。低いだけに構造材剥き出しで、その間にプラ板が張られている。

天井がこれほど低い地下銭湯は珍しい。それだからだろう、白色のタイルを基調とした浴室には、男湯だけで20本もの昼光色の蛍光灯が煌々と点っている。これほどに光輝くまばゆい浴室に遭遇したことはない。

島カランは2列で、カラン数はセンターから9・6・6・4・0・2と立ちシャワーも3機並んでいる。床のタイルはユリ模様の白色でパールの光沢がある。男女境や外壁のタイルは、大判の純白で何枚かに葡萄のような大きな絵が描かれている。

浴槽は奥壁から外壁側にL字型に延び、先端はバイブラの円形浴槽。角は打たせ湯。その他、電気、冷えた水枕付の7点座ジェット×2からなっている。飲用にお墨付きという井戸水をガスで沸かしたお湯はやや温め。41度強位か、ゆっくりと寛ぐことが出来る。

ビジュアルは、海に沈む夕日とそれを囲むカモメとヨット。奥壁の白いタイルに溝が彫られ、その中にパステル調の材料が重ねられ、夕日を表している。濃い青で描かれた空を飛ぶカモメと海を走るヨットがそれを囲む。簡潔だけど明るく、純白の浴室に似合う佳作だと思う。

金曜日の20:30から21:20に滞在。相客は4人ほど。強烈に明るい地下の静かな浴室、温めの柔らかなお湯、声が大きい陽気な女将さんが印象に残った。

上がりの一杯は、地元近くの初めて入るイタリアンレストラン。実家近くの有名なカジュアル店の支店だった。白州のハイボールとピザなど。予想外に美味しかったこともあって、少々食べ過ぎてしまった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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  正面の階段とは別に、裏から回っても半地下に下る階段がある





                               同湯の直ぐ裏辺り




         新江古田駅から同湯に向かう途中の江川町の商店街。鋸刃のように連なる店舗長屋がある




                        鋸刃のように連なる店舗長屋の向かい側




                                  同湯前の三叉路




                              都営大江戸線・新江古田駅

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