差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2005年7月24日日曜日 15:32
宛先: 銭湯ML
件名: 不動浴場(目黒区下目黒)

ナカムラです。

今日(7/17)は、「不動浴場(目黒区下目黒)」に行ってきました。
目黒駅(JR山手線)から、1.2キロ、15分くらいです。

目黒一帯は、都心でも湧水の豊富な地帯。
この付近では、氷川神社の懸泉(品川区西五反田)、中目黒八幡神社の神水(目黒区中目黒)、そして不動浴場のすぐ隣の目黒不動龍御神水。
それぞれ、水質的にもそのまま飲用することができる。

小生は、勤務地が近かったこともあって、昼休みに中目黒八幡神社の神水を飲んだり、氷川神社の懸泉を持ち帰ってコーヒーを沸かしたりした。
ミネラルウォーター一般の性質だけど、コーヒーのとげとげしさが緩和され甘い味になる。

さて、不動浴場。
水垢離(みずごり)の修行道場でもある目黒不動の「独鈷の滝」はだいぶ細くなってしまったけど、屋号からも判るように同湯はそのすぐ近くにある。
聞くと、やはり井戸水。期待出来る。いまでもそのまま飲んでいるとのこと。

建物もなななか。都内有数の古刹である目黒不動に影響を受けたのは明らか。
黒瓦の脱衣所棟の上には、何と瓦の鯱が載っている。初めての遭遇。
千鳥破風のエントランス棟も華麗で、頂部の鬼瓦は重厚で縦書きで「不動」と彫られている。ゴージャス。

下足箱の錠はカナリア。靴箱の奥に傘を差し込む穴があって、筒が仕組まれている。(池側から見た光景は異様なものがある。)
都内の銭湯ではあまりお目にかからないのではないか。

木目調のいい風合いの戸を開けると木組みの重厚な番台。割烹着を着た女将に400円を渡す。
脱衣所の広さは、幅3間、奥行2間半。天井は折り上げ格天井。古色蒼然とした木造ワールドがある。
ただ、床は板の間ながら、近年張り替えられたものだった。

ロッカーは、片側の島ロッカーが入口部からL字型に2つ、浴室への入口脇に1つ置かれている。
外壁側にMON錠がついた古い木製ロッカーがあるけど、上からポスターが貼られ、使用されていない。
ロッカーの上には、女将が丹精込めて世話をしている鉢植えがある。それも、背丈がかなりある観葉植物が複数。
何故かゴジラの模型があったり、すでに雑然としている中に、さらに鬱蒼さを醸し出している。悪くない。

その他、コインランドリーがないから3台もの洗濯機、Keihokuのアナログ体重計、座り心地のいい木製の縁台なんかがある。
木製の建具の外には池があって鯉が泳いでいる。狭いけど、いい庭だ。

脱衣所は雑然とはしているけど、居心地はいい。

浴室は3間四方。天井は3間はある2段型。高天井部には大きく井桁のマークがあしらわれている。
島カランは2列。センターから、0・4・4・4・4・5。センターに立ちシャワーブースが3つもありカランはない。

浴槽は深浅2槽。深槽は座ジェット×2。浅槽はバイブラバス。温度はどちらも42度くらい。
なるほど、さわやかな感じがするいいお湯だ。
気持ちがいいので、井戸水で冷たいシャワーと湯船を何往復もする。

ビジュアルは、奥壁に中島師の富士山のペンキ絵。
男女境には九谷・鈴榮堂のタイル絵。谷中の光月湯以来の塚本暁舟の絵によるもの。花や鳥が大振りに描かれている。
シャワーブースで細切れになってはいるが、貴重なものだと思う。
建物の正確な築年は聞けなかったけど、女将は昭和20年代のものと言っていた。

日曜日の16:00から16:45に滞在。
初めは一番風呂勢が残っていて混んでた。その後も来る客はパラパラと途絶えない。
地元に支持されたいい銭湯だった。
水質は折り紙付きだろうし、なによりさわやかな湯だった。

これから新宿に出て飲み会。
新宿三丁目の「雪園」という湖南料理を謳う中華料理。
無論、小生がいつも食べている中華屋の味とは違うし、よく接する普通の中華料理とも違ってあっさりとしたものだった。

銭湯の話は話題に出来たけど、その前に行った、同湯への道すがらにある「目黒寄生虫館」の話は出来なかった。
昔、ギョウ虫検査ってのがあったけど、あんなモンが身体の中に棲んでいたら大変だ。



男女別の入口の真中に古風なベンチがある。


狭いながらも池があり庭がある。





下駄箱から傘入れの筒が延びる。