差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年4月29日水曜日 21:49
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 富士見湯(文京区白山)

ナカムラです。

今日(4/28)は、「富士見湯(文京区白山)」に行ってきました。 春日駅(都営三田線)から、0.6キロ、6分くらいです。

いつから「みどりの日」が「昭和の日」に変わったのだろうか。明日の昭和の日から、ゴール デンウィーク8連休という人も多いらしい。小生はカレンダー通りの5連休。不勉強だし、特 にやることもないので、青森・下北半島の遊廓の痕跡をたどりながら、本州最北端の銭湯(菊 の湯/青森県下北郡佐井村)に入りに行く予定。酔狂を通り越して、やや狂っている領域かも知 れない・・・。

明日は会社がないので、兎にも角にも仕事を振り切り、山の手の代表的な花街だった旧白山花 街《旧指ヶ谷町》近くの富士見湯に向かう。同湯は創業70余年。唐破風のエントランスで、 千鳥破風脱衣所を有する現在の建物は昭和31年に建てられたものだ。新興だった白山花街の 銭湯として華やかな時代があったと思う。

煙突は都心の銭湯では少数派の油井型。エントランス左右の塀からは庭石として置かれている 溶岩石が豪快に顔を出している。樋口一葉終焉の旧丸山福山町あたり。由緒と風情がある銭湯 だ。

暖簾を潜れば、番台裏には九谷鈴栄堂の孔雀のタイル絵。その上にあるガラス戸の木桟の意匠 はどことなく繊細だ。そしてタイル絵の前には花が飾られている。掃き清められ、磨かれた緊 張感のあるエントランスといっていい。

脱衣所へ入ると、番台は木組みのしっかりとしたもの。タラップのような「階段」が接続され ている。レトロで伝統的な脱衣所の広さは、幅3間、奥行4間ほど。天井は簡素な材ながら折 上げ格天井になっている。

島ロッカー、アナログ体重計、木製ベンチがある典型的東京銭湯。溶岩石を配した立派な庭に は、手抜かりなく水が張られ鯉が泳いでいる。当たり前だった庭池の光景は、最近、維持でき ないのか当たり前ではなくなっている。

さて浴室。幅3間、奥行4間ほどの広さ。天井は白にブルーのペンキで縁取りがなされた2段 型。島カランは1列で、カラン数はセンターから7・5・5・3。左右に立ちシャワーが1機 づつあって使いやすい配置だ。タイル類も床がグレー厚手の足触りのいいもので、カラン台な どは大理石調のシックなもので統一されている。浴室内部は伝統的木造銭湯の雰囲気を残しな がら、完璧に更新されている。

浴槽は奥壁から外壁に沿って広めの浴槽が「薬湯(実母散)」、「高温」、主浴槽の「低温」、「水 風呂」と広めの浴槽がL字型に並んでいる。薬湯が高温槽と同じく44度くらいと高めなのと サウナ室がないのに水風呂があるのが変わっている。サウナがあっても水風呂が無い銭湯も多 い。サウナ室が無いのに水風呂がある。有りそうでなかなか無い、でも、銭湯好きには、堪え られないサービスだと思う。水風呂と熱めの薬湯を行ったり来たり。休日前の極楽といってい い。

ビジュアルは奥壁にチップタイル絵。絵柄は男女境に富士山を置いた、入り江、帆掛け舟の図。 タイルの目地にくすみがあることで渋みが増している。恐らく、中普請以前のもの。昭和31 年に同湯が改築された頃のものだろう。

祝日前日の20:50から21:30に滞在。隣の菊水湯ほど学生は多くないようだけど、銭湯一般 のイメージと比べると年齢層が若く、客も多い。もともと活気があるのか、銭湯が減ったので 残存者メリットを享受しているのか・・・。そんなことを考えていた。


※昼間の写真は、2009.02.14.撮影。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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