差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2011年6月5日日曜日 22:45
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 富士の湯(松本市本庄)

ナカムラです。

今日(5/29)は、「富士の湯(松本市本庄)」に行ってきました。 松本駅(篠ノ井線)から、0.9キロ、9分くらいです。

松本駅は、北アルプスの出入口である上高地などを経由するため何度となく降りている。4年 ほど前にも学生時代の仲間と扉温泉に行き、そして松本城に登った。しかし、未だじっくりと 松本の市街を歩いたことがない。

今回は、クラフトフェア、2軒の銭湯、何カ所かあった遊廓、そして古くからの喫茶店を巡る ことにしている。

先ずは、重要文化財になっている旧制松本高等学校の木造校舎が残る”あがたの森公園”で開 催される「クラフトフェアまつもと」。全国から様々な分野の作家が作品を携え2日間開催され る露天市。実用の食器と電気の笠などを調達する目論見で訪れた。

今日明日と雨の予報だったけど、幸いにして今日は雨降りにはならなかった。4時間ほども混 雑する会場に居ただろうか。家で使うため、大阪の若い作家の渋い皿を2枚買う。ステンドグ ラスのレトロな電笠は高価だったこともあって決断できなかった。(翌日の午後に再度見に行っ て買うのだが。。。)

その後、仲町の蔵の町並みを冷やかし、長野県で一番最初にフランスパンを焼いたという縄手 通りの「スヰト」で休憩し、富士の湯に向かった。

近くに行くと、これぞ銭湯の煙突という油井型の煙突があって引き寄せられた。しかし、たど り着いたのは町工場。すぐ近くの同湯の煙突は、やや太いコンクリの煙突で、東京の銭湯の煙 突よりも短い地味なものだった。

古い住宅がならぶ一角。雨避けのポーチの後ろに青いトタン屋根で千鳥破風のエントランスが ある。懸魚などはないけど破風の先端の鬼瓦に「冨士乃湯」と刻まれている。脱衣所の一部に は古いダイヤ硝子を使っていることが分かる。

この建物は昭和13年築。創業はその2年ほど前の昭和11年頃らしい。

二重扉のサッシを開ければ、正面にタイル張りの番台のセットバックがあって、その前には Taiyo錠の傘立て。左右にはカナリヤ錠の下足箱がある。

番台への扉は古風なモール硝子がはめられたガラス戸。開ければ、脱衣所に大将と女将さんが 揃っていた。松本市の銭湯料金は東京より70円も安い380円。

脱衣所の広さは幅3間、奥行4間ほど。天井はやや低く2間もないくらい。壁は木目プリント の合板。天井はクロス張り。床は花柄のクッションフロアの中央に籐が敷かれている。長野は 確か東京電力管内ではないけど、節電意識が高いのかやや薄暗い。

ロッカーは、外壁側の上段2段にTOKYO錠のもの。それより下段は丸い脱衣籠を収納する棚に なっている。その他、朝日衡機のアナログ体重計などがある。

端っこにぶら下がり健康器やフジの壊れた旧型マッサージ機などが転がって場所を取っている けど、地方にしてはかなり大型の銭湯だ。

浴室は、幅3間、奥行4間。天井はウィング幅が狭い2段型のプラ板張り。高天井は東京では あまり見ない山形になっている。島カランはプレーンなものが1つで、カラン数はセンターか ら7・5・5・7。

浴槽は、奥壁に接して深浅2槽。少し間を開けて外壁側に実母散の薬湯槽がある。

ビジュアルは、長い男女境に広がる絵付けのタイル絵。古いものではないけど、和風とも洋風 ともつかない山や湖を濃い色使いで描いたのもの。なかなか悪くない絵だ。

メインのビジュアルは浴槽の奥に広がる庭だろう。釜場の建物を敢えて後方に離して建て、浴 舎との間に鑑賞用の庭を置いた造り。整備された庭には庭石を配し、サツキが植えられている。 オイルショックの頃までというから30年以上も前だけど、この庭がライトアップされ、コンク リの煙突にはネオンサインがあったという。現在の、暗く枯れた風情からは想像がつかないけ ど、そんな華やかな時代があったようだ。

古い銭湯ながら清潔に維持されている。ご高齢の夫婦が掃除をしているとすれば、この広い浴 室だし、かなりのご苦労だと思う。

本来は21:00までの営業時間が、男女境に当分の間と断り書きがあって20:00閉店と記されて いる。女将さんは「もう、いつやめようかと・・・。そればかり考えている」と言う。

飲料の販売などはない。

それより、上がると大将も女将さんも居なかった。番台に向って古いテレビが夕飯時のニュー スを映している。薄暗い脱衣所には小生のみ。なんか現実離れした風景という印象を受けた。

土曜日の18:45から19:30に滞在。相客は2人だけだった。 薄暗いせいもあって、ただただ終末感が漂っていた。。。

上がりの一杯は駅前に戻り、中華小皿料理居酒屋の「小吃」。 頼むと一瞬にして料理が出てくる。美味しかったし、値段も安かった。 さらに、帰りには1000円分ものクーポン券を渡された。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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