藤の湯（横浜市港北区小机）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2006年7月29日土曜日 10:57
宛先: 銭湯ＭＬ
件名: 藤の湯（横浜市港北区小机）

ナカムラです。

今日（7/28）は、「藤の湯（横浜市港北区小机）」に行ってきました。
小机駅（ＪＲ横浜線）から、０．２キロ、３分くらいです。

今日は、隣駅の新横浜駅で所用。その後、先週来て｢本日休業｣の札が掛かっていていた、同湯へ、再び赴く。

疲れた時、悲しい時、･･･。湯は人を裏切らず、心を癒してくれる。

以前勤めていた会社の後輩のお通夜だった。
３８歳の若さ、学齢に満たない２人の子供、美しい奥様。後輩は、さぞ無念だったろう。彼とは２年程だけど、一緒に企業の財務審査という仕事に携わった。当時は辛かったけど、今思い返すと、今ベースとなっているいろんなものを学んでいた時期だった。その生命保険会社も６年前に経営破綻し、小生を含め、かつての先輩･同僚･後輩は、様々な場所に散っている。でも、会場に行くと、彼の人柄を慕って懐かしい顔ぶれが揃っていた。

残念だけど、こんな時にしか勢揃いはしない。
一献傾けた後、小机に向かった。

入口は、小振りの入母屋屋根の黒瓦。屋号を渋く染め抜いた紺地のオリジナル暖簾が掛かる。
正面には、章仙画のタイル絵で絵柄は宝船。下足の錠は久し振りに出会う、地元横浜製のレトロな｢冨士錠｣だ。

葦の低湿地に出来た新横浜駅は、現在駅ビルの工事中で、第二の創業期といっていい変革期。小机も横浜総合競技場(日産スタジアム)の最寄駅。同湯は、それらの未来的なものとは無縁の、懐かしい田舎の佇まいを残している。恐らく、東海道新幹線が通る前、新横浜駅なんかない時分から、ここで湯を沸かしていたはずだ。

番台への戸は、模様硝子に拙く｢男湯｣とある木製のもの。鈍くさいけど、タイル絵、冨士錠の古い下足箱、懐かしい蛍光灯の照明器、そんな中にあって相応しいデザインに見える。レトロ系のテーマパークでも、この雰囲気は真似ができないだろう。

番台は、側面に白ペンキが塗られてしまっているけど、木組みのしっかりとした正統派。女将は、新聞に目を落とし、身体を女湯の方に傾けている。恐らく小生より少し上くらいか。身体にぴったりとした黒のＴシャツにショートパンツと若々しいいでたちではある。

脱衣所に入っての印象は、｢小振りの銭湯だなぁ｣というもの。
脱衣所の広さは、幅３間弱、奥行３間。天井は、高くはないけど、平格天井。梁や天井が渋い焦げ茶色なので、古色蒼然とした、木造のレトロワールドが広がっている。

ロッカーは、脱衣所の真中に島ロッカーと、外壁側にある。錠は扉にブロック状の塊のシリンダ錠が取り付けられている。

その他、男女境の上にはテレビ、Yamatoのアナログ体重計、２枚扉の冷蔵庫、山口良一の色紙などがある。入口方の硝子戸の外には庭のスペースがあるけど、何もないようだった。

浴室は幅３間弱、奥行３間ほど。天井は２段型。タイル類は中普請で張り替えられているので古いものはない。しかし、小振りで、懐かしい、いにしえの風景を感じる。

島カランは１列で、カラン数はセンターから４･４･４･５。センターに立シャワーが１機。

浴槽は、奥壁の前に深浅２槽。浅槽は２穴ジェット２機で４２度くらい。深槽は、バイブラバスで４３度くらい。どちらも薄いブルー系の入浴剤入りの湯だ。

小さいながらもいい銭湯。仕舞いの２３：００に近いせいもあって静かだ。
そんな中で、Ｓ君と苦闘した１０年ほど前のことが思い出される。当時の指揮官も、健康に優れたスポーツマンだったけど、やはりガンに斃れ、亡くなった。厳しかったけど、部下を思って動く優しい人。いい緊張感が財務審査部を支配していた。故あって、年に二度ほど、花ではなく好きだった日本酒を供えて手を合わせてくる。

時代も変ってしまったけど、なかなか、あの頃の雰囲気を再現させることができない･･･。

ビジュアルは、奥壁に中島師のペンキ絵。湖上に浮ぶ富士山の図。それに、外壁側の透明な硝子窓が磨きこまれていて、その外に１つドライフラワーが飾ってある。低い窓が透明な硝子窓というのも珍しい。アクセントがドライフラワーの花束というのも例がない。印象に残るものだ。あの若作りの女将の差配なのか･･･。

上がりはトマトジュース１２０円を一気に飲む。
外に出た時には、暖簾が取り込まれていた。

８月も間近だというのに、まだ梅雨があけていない。
蒸し暑い中、ウトウトしながら、東神奈川駅、横浜駅で乗り換えて戸塚駅へ。

ここら辺りは、遠くはないけど、乗り換えが多かったり、地下鉄では時間がかかり過ぎたりと、少し遠く感じるエリアだ。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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H18.7.17撮影

港北区小机町（こづくえちょう）［昭和２年４月１日設置］町名の由来昭和２年の横浜市編入の際、橘樹郡(たちばなぐん)城郷村大字小机から新設された町です。古くは橘樹郡(たちばなぐん)小机村といい、明治22年の市町村制施行の際、小机村、鳥山村、岸根村、羽沢村、下菅田村、三枚橋村、片倉村、神大寺村、六角橋村の九か村を合併して、小机村と称し、その大字小机となったが、他の村から村名について不服がでて、協議の結果、明治25年２月９日に「城のあった郷」、即ち城郷(しろさと)村と改称しました。町名は旧村名を採りました。北西側で横浜線と第三京浜が交差し、小机駅があります。町内に小机城址市民の森があり、鳥浜町にまたがり日本最大級の横浜国際総合競技場があります。「横浜の町名」（横浜市市民局）より