差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2014年7月3日木曜日 21:29
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 福の湯(八王子市本町)

ナカムラです。

今日(5/17)は、「福の湯(八王子市本町)」に行ってきました。 八王子駅(中央本線)から、1.2キロ、15分くらいです。

競輪場の京王閣で開かれている「東京蚤の市」を冷やかす。過去2回訪れた時と違ってかなりの人 出だった。入場方法のマズさもあったのか、入口までの列は競輪場を1周するくらい、数百メート ルにも及んでいた。さらに、暑いさなか中に入っても飲料の自販機もない。屋台による出店はある ものの、どれも長い時間並ぶ必要があるという過酷な状況だった。

ゆっくりと古道具を眺める余裕もなく、ただただ消耗した後、結婚を控えた友人2人をも引き連れ て八王子まで足を延ばす。

本当は甲州街道の宿場町の八王子の町歩きでも楽しもうと観光地図も携えて来たもののそこまでの 余裕はなかった。

八王子駅から放射状に甲州街道方面に延びる道が商店街になっている。目指す八日町の少し手前、 野猿街道と交差する辺りが中町、南町で、古くからの歓楽街の雰囲気が微かに残っている。

八日町の交差点を北に少し上った辺りに同湯はある。八王子の遊廓は元々は甲州街道沿いの八日町 にあり、後に多摩川に面した正に「田」の字のような形状をした「田町」に移っている。同湯はそ の道すがらに当たっている。

昭和30年築創業。コンクリ煙突を擁し、破風がある平入りの脱衣所棟に、さらに飾りの破風が載る という正統的な伝統的木造銭湯。しかし、正統的でありながらサイズが小振りで地方銭湯の趣が濃 い。数年前に田町の遊廓を訪れた時は木枠の窓だったけど、入口同様に茶色のアルミサッシに変わ って、外観の印象が少し味気なくなったかな。

屋号を白く染め抜く端正な紺地のオリジナル暖簾が掛かる様は、同湯の銭湯に対する衿持と誇りが びしびしと伝わってくる。

暖簾を潜れば、松竹錠アルミ板鍵の下足箱が両サイドに置かれている。正面の自動ドアを入れば、 脱衣所の一部を仕切った狭いロビースペースにフロント。若旦那なのか、中年に差し掛かったくら いの方がフロントに入っていた。

狭い場所に大きなテレビが掛けられ、通常の倍の幅がある2枚扉の冷蔵庫のほかアイスクリームの ケースまでもが置かれている。これだけの瓶飲料が回転していることからすれば、かなりの繁盛銭 湯のようだ。

脱衣所は、オリジナルは2間半四方ながら、一部をロビースペースに取られているので驚くほど狭 い。天井は惚れ惚れするほどの艶のある飴色の折上げ格天井。これほどの艶のある飴色はかなり久々 だ。

ロッカーは、ロビー側には常連の留め桶用のもの、その他、入口方、脱衣所方に松竹錠のシリンダ 式のものが並んでいる。中央に幅広の縁台があるので、通路では相客と交錯しつつすれ違わなけれ ばならないほど。

余計な物が置けるほどのスペースはなく、表示板が膝の辺りに来るISHIDAのアナログ体重計が置か れている程度。

今日は府中競馬の開催があった。外れ馬券が床に散らばっているのが、何となく地域性が感じられ て良かった。レースではオケラかも知れないけど、銭湯に入って憂さを晴らせるほどの小銭は残っ たようだ。

浴室の広さは、幅2間半、奥行3間半ほど。天井は、木板にペンキ塗りの2段型。島カランは1列 で、カラン数はセンターから6・5・5・5。床のタイルは4枚で四角の入れ子模様を構成するやや緑 掛かった白色。カラン台周りはサワーピンクの大理石紋様のものが使われている。

浴槽は、奥壁から外壁側に沿ってL字型に延びる深浅2槽。浅槽にはバイブラ、7点ジェットの寝 湯。深槽は日替わりで供される薬湯で今日は天然というか実際のコーヒー豆による珈琲風呂になっ ている。

主浴槽に「常時40度」と記されているものの42度弱といったところ。八王子まで来れば水質もい いだろう。廃油で沸かすという天然の井戸水は、柔らかでなかなかのものだった。

ビジュアルは、奥壁に丸山さんによる緻密なタッチの「潮岬(25.7.4.)」のペンキ絵。ただ、1年 も経っていないものの、ひび割れと黒ずみが結構目立っている。

上がりは250ミリリットルくらいのあまり見たことがないコカ・コーラの短い缶があったので頂く。 それでもちょっと持て余すほどだった。

土曜日の17:10から18:10に滞在。甲州街道の宿場町だった八王子に残る数少ない銭湯のうちの一 軒。少し小振りながらも正当派の伝統的木造銭湯だった。

上がりの一杯は、中町の熊本料理を出す居酒屋。美味しくて安いいい居酒屋だった。しかし、スタ ッフが少ないのか料理が出てくるのが遅かった。でもそのせいもあって、4人でゆっくり飲み、ゆ っくり食べて、じっくり八王子の夜を堪能することが出来た。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                                   京王閣競輪場





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