差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2009年2月5日木曜日 22:45
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: ふれあいの湯(港区芝町)

ナカムラです。

今日(2/4)は、「ふれあいの湯(港区芝)」に行ってきました。浜松町駅から、0.6キロ、6分くらいです。

今日は電機メーカーの第3四半期の決算発表だった。顔見知りの証券会社アナリストたちは顧客向けのレポートをまとめるためタクシーに乗り込みオフィスへ戻って行った。

要因と症状は異なるけど、電機メーカー各社は厳しい状況に置かれている。ある電機大手は世界230の製造拠点を2年で2割閉鎖する方針を発表した。液晶テレビの価格下落が元凶かと想像していたけど、数量もつるべ落としだったようだ。そして時間とともに価値を失っていく製品在庫を抱え呻吟していた。

小生はそんなことは忘れ、「小諸そば」を食べ、同湯の暖簾を潜る。

港区立の公衆浴場である「ふれあいの湯」。この地域の銭湯が絶滅したからか、日本国憲法で保障されている最低限の生活を担保するために設置されたのか、珍しい公設の銭湯だ。

そして、まさにこれぞ「ビル銭」という銭湯。狭隘かつ不正形な敷地に建つ地下1階、5階建ての小さなビル。場末感が漂っている。。。1階にフロントが有り、女湯が2階、男湯が3階、休憩室が4階というあまり他に例を見ない立体的な構造だ。

入り口の自販機でチケットを買って、松竹錠の下足箱に革靴を収納。『1010(銭湯)』の最新号をゲット。まさか役人ではないだろうけど、フロント氏は少しばかり愛想がない。スタンプも2つ飛ばしの変な位置に押して頂いた。ちょっと、おもてなしの心に欠けるかな・・・。

最近はタフな日々が続いている。3階ですらエレベーターがあれば乗ってしまう。。。

脱衣所の入り口には「男湯」という紺の暖簾が下がっているけど、銭湯の雰囲気とはややかい離がある。中に入ってもかなり狭い脱衣所だ。このビルのワンフロアが3間四方くらいしかない。そのうちの1間幅が脱衣所で、残りの2間が浴室になっている。そもそも普通のビルの転用なのか天井も普通のオフィスビル並だ。

浴室は、幅2間、奥行3間弱。ビルの形もあってやや台形のような形状をしている。奥壁側に浴槽が1つ。手前の両サイドに4つずつカランがある。

小さなビルなので、浴室には2方面に窓があるけど不透明なフィルムが張られている。視界を遮るだけならば、もっとマシな材料があるんだろうけど、機能以外は関係ないという感じだ。

こんな銭湯ではあるけど、奥壁にはデザイン的なビジュアルがある。レインボーブリッジを背景として中央に客船飛鳥が走る図。ブルーとイエローで抽象化した絵だ。これがあって何とか「銭湯」と呼べるものになっている。

そして、何と浴室に「寝ないで下さい」的な掲示がある。脱衣所にもあって、それは理解できるものの、浴室にあるのはなかなかに刺激的だ。

確かにスー銭には寝転び湯的なものがあるけど、ここで寝転ぶとはなかなか普通の御仁にはできないだろう。やや排水溝も臭わないこともない。

エレベーターの4階の休憩室の表示にも「仮眠等はできません」と付け加えられている。「等」が何かは気になるものの、客にそここで寝転ばれて困った過去があるということだろう。

上がりは4階の休憩室に上がったものの、なるほど睡眠防止のためか居心地悪いことこの上ない。全面フローリングの部屋に、テレビ、自販機、デジタル血圧計と、背もたれすらない木製の丸椅子があるだけ。とてもくつろぐという雰囲気ではない。

そんな殺風景な場所に、小生と同い年くらいの疲れが見える中年女性がテレビを見ていた。相客の一人だった中学生くらいの息子を待つ母親のようだ。たとえ中学生にまで成長したとしても、上がってきた息子を見つめる表情は、優しい母の顔だったのが印象に残った。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ (風呂屋の煙突)
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