差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年1月6日火曜日 21:46
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 白山湯(兵庫県姫路市鷹匠町)

ナカムラです。

今日(12/16)は、「白山湯(兵庫県姫路市鷹匠町)」に行ってきました。 姫路駅(山陽本線)から、1.0キロ、15分くらいです。

姫路に来たのは初めて。駅前から縦横に広がるアーケード街の大きさに驚く。 兵庫県では、尼崎を抜き、神戸に次ぐ第二の都市のようだ。

同湯は、昼間ならば駅から5分置きにバスが通る交通の要衡にある。そして世界遺産の姫路城 のすぐ傍らにある姫路城に最も近い銭湯だ。お城は2009年秋から5年を要しての大規模改 修に入るという。見学するなら今なのだけど、残っているか分からない遊廓の痕跡を優先して、 どうしても時間を取ることができなかった。国宝の姫路城だけは長年観たいと思っていただけ に無念。。。

油井型の煙突を望みながら、いつものように外で写真を撮っていると女湯から出てきた客がま た中へ戻って行く。良くあることだけど、程なくして出てくる女将さんに事情を説明しなけれ ばならない。お客の手前もあって、暫く外で付き合ってくれた女将さんも面倒になったのか、 雨なので早く閉めるので早く入ってと言い出す始末。

2階建ての町家に黒瓦のエントランス部がある銭湯。外装はトタン板が張られるなどかなり手 が入っている。そんなこんなで暖簾を潜る。エントランススペースの正面には「姫路湯屋組合 之章」なる木製の大きな鑑札。公式のもので「湯屋」と表記しているものに遭遇するのは初め てだ。同湯は大正15年築創業というからその頃のものか。いったい「湯屋組合」なる組織は どんなことをやっていたのだろうか。きっと、ギルド的なものだったんだろうが。

下足箱の錠は、片仮名で「ツルカメ」とある小型のものでアルミの板鍵を使うものだった。案 外に新しいものなのか。これも初めての遭遇だ。戸を開けると新建材を張った番台がある。姫 路の銭湯料金は360円。値上げの申請中とのことで、今年は値上げされていない。

脱衣所の広さは幅2間、奥行き3間半と縦長だ。天井は平格天井のペンキ塗り。窓枠などは木 製のものが残されている。ロッカーは外壁側に並んでいる。その他、アナログ体重計、旧型マ ッサージ機などがある。

壁には映画館「山陽座」のポスターがあった。東京、横浜の銭湯では、かつては当たり前だっ た映画館のポスターを目にすることは稀になった。銭湯での映画館のポスターが、ひどく懐か しいものに見える。

男女境にある天井扇が秀逸だった。三枚の羽根もレトロだけど基部にあるモーターがとても大 きなレトロなものだ。女将は創業当初のものと言うけど、そうだとすれば80年は経過してい る。

浴室の広さは、幅2間半、奥行3間。四角錘の中央に四角い湯気抜きがある。ただ、最低部分 でも2間の高さがあり天井は高いものだ。

外壁の入口方には汲み水槽があって、その次にカランが5つ並んでいる。

この銭湯も床と浴槽は黒御影石による石造りの古風なものだ。石と石の間にはタイルが使われ ているものの全面が石敷になっている。高級感がある石材だ。浴槽も踏み込み段にモスグリー ンのタイルが使われているものの浴槽は高密度の黒御影石だ。恐らく創業以来のものだろう。

湯温は42度弱。大将が亡くなってからは井戸水を薪ではなく重油で焚くようになった。今も 重油はガソリンほどには価格が下がっていない。今年の重油急騰との戦いは続いているのかも 知れない。これで全国で何軒の銭湯が暖簾を畳んだことか。

ビジュアルは、白タイル張りの男女境に小さなタイル絵が2幅。急峻な河を下る舟の図と湖畔 とコテージ、高嶺という洋風の絵。番台裏にもこの手のあまり古くない富士山の絵付けタイル 絵があった。改装した時に付けられたもののようだ。

脱衣所の籐敷きの床には簡素なテーブルとパイプ椅子が4脚置かれている。上がりはそこで明 治の牛乳140円を頂く。牛乳1本が140円。高い牛乳だったのかな・・・。 やはり早仕舞いというのは口実で、後からやってきた常連客である相客2人を受け入れて定時 の22:00までの営業。

店を出たのは時刻22:00に近い頃。この時間にはかなり間隔があく駅までのバスを見送っ て、なお、暖簾が仕舞い込まれて扉半分になった同湯の光景を眼に焼き付けていた。「湯屋」時 代からの生き残り。兵庫県第二の都市、姫路にあって貴重な銭湯だった。

小雨の中、堀に架かる橋を渡り、魚町という歓楽街をやり過ごし駅近くの「神戸ホルモン心」 というホルモン焼きの店に入る。酎ハイを頂きながらホルモンづくし。肉はいいと感じた。し かし、塩味が濃すぎるのと、どこか味に繊細さが欠けたものだった。材料の調達力はあるのだ ろうけど、アルバイトが中心のチェーン店?の限界かなと感じる。価格はリーズナブルだった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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