差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2007年9月1日土曜日 1:13
宛先: 銭湯ML (sento-freak@kt.rim.or.jp)
件名: 曳舟湯(墨田区京島)

ナカムラです。

今日(8/31)は、「曳舟湯(墨田区京島)」に行ってきました。
京成曳舟駅(京成押上線)から、0.3キロ、3分くらいです。

会社の同僚と連れだって18:00に会社を出る。債券マーケットはサブプライム問題で大荒れだ けど、とりあえず明るいうちに会社を出ることができる幸せ。そんな幸せボケか、京成電鉄の押 上線と本線を間違えて、上野から青砥経由で京成曳舟駅に入ることと相成った。荒川を2回渡 るという、なかなか普通は通らない間抜けなルートだ。

今日は、社食での夕飯は食べていないので、取りあえず「流浪の民」で紹介されていた、曳舟 湯の向いのもつ焼き屋「大力」に入る。昭和36年創業のモツ焼き屋。「元祖酎ハイ」なる琥珀 色のドライな酎ハイや、タン下なるレアな部位。ぐっちゃんがよく食されている「ガツ刺し」なるも のを初体験した。

昭和30年代のこの辺りは、花王石鹸などの石鹸工場と皮革業者が多く、酷い臭いと、酔っ払い と喧嘩が多かったと、女将さんが明るく昔語りをしてくれた。

曳舟湯を含め、この付近一帯は4年後の再開発で無くなるという。まぁ、再開発はスケジュール が狂うのが常だけど、住民説明会が最近行われたようだ。また、近くの「大黒湯(墨田区八広)」 が、あと1月ほどで店を閉めるという情報を頂いた。墨田区の銭湯の減少ペースは際立ってい る感じがする。

曳舟湯は、板塀に入母屋屋根の入口。そして千鳥破風の黒瓦と伝統的な佇まいを残した貴重 な銭湯だ。昭和7年の建物らしい。紺地に「曳舟湯」というのも引き締まっている。薪焚の湯の ようだ、コンクリ煙突からは煙が立ち上っている。

浴室は、幅3間半、奥行4間ほど。天井は2段型で、高天井が格天井になっている。初めての 遭遇かも知れない。湯桶が木製というのも拘りならではだ。

奥壁にペンキ絵の富士山がある。しかし、どことなくインパクトに欠ける富士山だ。中島師の絵 に似てはいるもののヨットが無いし、力強さもない。ご主人に聞いたら、2年前、同湯がハリウッ ド映画「ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT 」の撮影現場に使用された際に、美術の方が描かれたものと のこと。妹尾河童の息子さんらしい。

浴槽は深浅2槽のシンプルなもの。いい銭湯ゆえ、なかなか客も多い。

上がりは、池の傍らの縁側でスーパードライ210円。なかなか、こういったシチュエーションでビ ールを飲める銭湯は少ない。また、利用者へのサービスということだろう、スーパーよりも安い 値段でビール提供している。

扉に「曳舟湯」と朱書きされた、レトロな黒時計も現役。なかなか、いい銭湯だ。

金曜日の20:30から21:30に滞在。相客は20人強。繁盛とまではいかないけど、それなりに 客は入っている。もう長くはないとのことだけど、下町の至宝のような銭湯だ。少しでも、長く湯 を沸かしてほしい。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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