差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2011年2月27日日曜日 1:30
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 日の出湯(米子市立町)

ナカムラです。

今日(2/10)は、「日の出湯(米子市立町)」に行ってきました。 米子駅(山陰本線)から、2.1キロ、25分くらいです。

今日は、このツアーで最も寒い日で、時折雨や雪が降ってきた。

米子駅前の古い旅籠「米五館」を発祥とするホテルに荷物を置き、「だんだんバス」という小さ な循環バスで駅から離れた米子市街に向かう。「だんだん」とは地元の方言で有り難うという感 謝を示す言葉のようだ。

加茂川が米子港に注ぐ灘橋でバスを降りる。ここから、吉祥院隣の弁天湯、旧灘町遊廓、目的 地の日の出湯、朝日町の飲み屋街が近い。

弁天湯は趣ある古い建物が立ち並ぶ吉祥院の隣。モルタルで古い感じの銭湯ではなかった。

灘町遊廓界隈は、定石通りその界隈だけがなぜか道幅が広い、灘町の北側の花園町という所。 日の出湯のほんの裏手にあたる一角で、少なくとも5軒ほどの大楼が残っていて見応えがあっ た。

朝日町の飲み屋街、風俗街もかなりディープな感じがする。気になる中華屋があったものの分 け入る勇気が足りない。

久し振りに白壁土蔵が並ぶ加茂川沿いを歩く。印象が変わったと感じ、20数年前に撮影しweb にアップしている写真と見比べる。川べりの白壁土蔵群に大きな変化は見つけられなかったが、 周囲のいくつかのマンションが川端の景観を大きく変えたようだ。

加茂川近く、同湯に向かう途中、築120年くらいという見事な銅板建築。母娘二代で70数年続 くという懐かしい駄菓子屋でラムネ菓子などを買い求める。下校時刻で、女子児童3人ほどが、 駄菓子屋のおばあちゃんと学校であったことを楽しそうに話している。懐かしい光景だった。

さて、日の出湯。現在の建物は大正10年築。大規模な灘町遊廓にもっとも近い銭湯。廓に登楼 した客も同湯を使うことがあったと想像される。

木造の2階建ての脱衣所棟に、切妻の浴舎が平入りで連結される構造。後方にステーで支えら れたパイプ状の煙突が立っている。

雨混じりの天気だからというわけではない。アルミサッシのドアの内側に暖簾を下げるという のが米子流のようだ。そして同湯で最も特徴的なビジュアルディスプレイ。軒下に扇を1/6程 度開いたかたちの行灯看板があって、そこに屋号が記されている。遊廓の銭湯として艶っぽい 趣がある。

中に入ればコンクリのタタキを挟み、新建材張りの番台とおしどり錠の下足箱。米子の銭湯料 金は350円。東京よりも100円も安い。

脱衣所は、幅1間半、奥行3間と細長い。2階があるので白いパネルの天井高は1間と1/3くら い。さほど高くない。

ロッカーは、外壁側に折鶴錠の白大理石紋様の化粧板が張られたもの。20年くらい前までは漢 数字のオール木製ロッカーが置かれ、今よりはかなりレトロな雰囲気だったそうだ。

その他、Yoshidaというブランドのアナログ体重計、石油ファンヒーター、冷水機などがある。

浴室は、幅1間半、奥行3間と奥に半間四方の張り出しがある。男女境は古い白タイル張り。 小タイルの細い丸柱が四角錘型のセンター湯気抜きのトタンの天井を支えている。

床は御影石を15センチ角くらいに切り出した感じのもの。スレートなのかタイルなのか判断し 難かった。

カランは外壁側に沿って8機が一直線に並ぶ。壁に埋め込まれた配管は用をなさなくなったた め、カラン用や浴槽の循環用の太いパイプが狭い浴室に不粋と思えるほどに走る。カランは壁 ではなく、そのパイプに直付けだ。それにしてもカラン操作を支えるだけあって、太い・・・。

浴槽は、奥壁と男女境に接するかたちで1間×1間強の大きさのものが1つ。2穴ジェット×3。 内部は床と同様の石材(調)で、踏み込み段や浴槽の縁にはイニシエの人造石研ぎ出しという チープな材料が使われている。

お湯は鉄分が多い井戸水をA重油で沸かしている。山陰の銭湯のお湯は熱めで、湯温は43.5度 くらい。冷えた身体を沈めると、何が何だか分からない、灼熱に感じる温度だ。

ビジュアルは、奥壁の一部がくり貫かれる形で「床の間」が設置されている。そこに造花を挿 した花瓶がひとつ。それを左右の蛍光灯が強く照らしている。何とはないものだけど、湯気が 満ちた浴室に光芒を放つ不思議な感じのディスプレイだった。それと、男女境に古い広告が残 っていて、「国鉄米子物資部」だとか「後藤国鉄工場物資部」などの懐かしい名前があった。国 鉄が消滅したのは1987年。もう24年も前のことになる。

雨が降り出す木曜日の夕方。16:30から17:30に滞在。相客は4人ほど。

明るいこの時間に風呂に行くと、どういうわけか、身体に絵を彫り込んだ業界の方と一緒にな ることが多い。料理人のように仕込みを終えて、臨戦態勢への準備ということなのだろうか。 まぁ、朝風呂で一緒になることも多いが・・・。

上がりの一杯は、だんだんバスで米子駅まで戻って、炉端焼きの「旬門」という豪快な店に入 った。直ぐ近くに米子湯がある。あわよくばハシゴしようとも考えていたものの、あまり欲張 るのはやめにして、仕舞の時刻の22:00が近くなった同湯の写真を撮ってホテルに戻った。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ (風呂屋の煙突)
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旧灘町遊廓


旧灘町遊廓


旧灘町遊廓


旧灘町遊廓