差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2006年2月19日日曜日 1:51
宛先: 銭湯ML
件名: 日の出湯(横浜市鶴見区尻手)

ナカムラです。

今日(2/10)は、「日の出湯(横浜市鶴見区尻手)」に行ってきました。
尻手駅(JR南武線)から、0.6キロ、6分程度です。

住所的には横浜市だけど、ここ尻手駅から浜川崎駅までの南武線支線の沿線が、小生の「川崎」のイメージにぴったりの、濃い〜地域だと思う。

駅前の自販機コナーには、ダミーだろうけど「販売者常駐室」という扉があって、ご丁寧に監視カメラの模型まで付いている。自販機を叩き壊されて、売上金か、酒を持って行かれるということだろう。「川崎」的な光景だ。

かつて浅野系の私鉄だった旧南武鉄道が造った尻手駅のガードも、良く見ればアールデコ的な装飾がある。無機質な、現代の鉄道建築とは異なっている。同湯への道すがらには小さな飲み屋街があって、なかなかいい雰囲気の居酒屋もある。

その傍らには「尻手浴場」があって、コンクリの煙突が見える。尻手浴場は、また今度にして、駅から遠い日の出湯に向かうことにする。

第二京浜(国道1号線)を渡ると、小さなお稲荷さんと、また、今度は寂れた飲み屋街があって、同湯はその中にある。
入口脇には一階がコインランドリーのモルタルの建物。反対側には、今では少なくなってきた緑色の公衆電話と自販機が並んでいる。暗くてよく判らないけど、後方には油井型の煙突がうっすらと見える。

暖簾上のシャッターのケースに、墨書体で「日の出湯」と力強く書かれてている。昭和28年築、入口周りは改装されているけど、後方を眺めれば
入口の下足箱の錠はSakuraG錠だけど、プラスチック札ではなく、木札だ。

自動ドアを通ると、幅1間ほどの、節電して暗い、フロントスペースがある。
フロントには誰も居ない。呼んでも誰も出てこない。男女の脱衣所にも誰もいないようだ。
地方でだけど、常連客に断って、後払いで湯に浸かったことは何回かある。ここは都会だけど、初めて、何の断りもなく湯に浸かることにする。

フロントも脱衣所も誰も居ない。節電のため、どことなく暗い。静かに演歌が流れている。不思議な感覚だ。
天井、壁はクロスに張りかえられている。昭和の最後ごろに改装されているようだ。ロッカーはSakuraVのシリンダ錠。旧型マッサージ機、Yamatoのアナログ体重計がある。

入口方には縁側があって、表通りのコインランドリーとの境に小さいながら、池跡がある。
本当に水を張った池を見なくなった・・・。

浴室は、幅3間、奥行4間。天井はウィングがやや幅広い2段型。内側にはプラ板が張られている。島カランは1列で、カラン数は、センターから4・5・5・7。いくつかのシャワーから雫が落ちているのが見える。カランは日の丸扇の取っ手がモスグリーンのもの。シャワーとともに、整備不良のものがいくつかある。

男女境の上には、須田病院、歯科医、質店、パーマ屋の現役広告がある。水色のペンキに塗られた大黒柱には、やはり水色に塗られたホーン型のスピーカーがあり、渋い演歌が静かに静かに流れている。「小樽の人よ」、西崎みどりの「旅愁」・・・。有線放送なんだろうけど、あまりにもこの寂れた浴室の雰囲気にマッチし過ぎている。どこか、遠く旅に出て、そこで出会った光景と錯覚する感じだ。こういう遭遇はたまらない。

主浴槽は内側にブルーのタイルが張られ、2穴ジェット×2、赤・青の赤外線ランプ。温度は恐らく41度ないくらい。寒空を歩いて来た身でもぬるさを感じる。深槽は、ガラスケースで覆われたラドン熱気浴槽。バイブラバスで、格子が嵌められた炊き出し口には岩石が設えられている。

ビジュアルは、中島師のペンキ絵。砂浜の向こうに小振りの富士山が描かれている。熱気浴室が邪魔していて、変則的な形と、大きさだ。

初めは相客がひとり入っていたけど、程なくして、小生のみ。整備不良の設備もあり、必ずしも清潔でない部分もある。しかし、入りながら、この雰囲気に胸を突かれた。

上がると女将が居た。400円を払う。払わずに入った非礼を詫びると、いいんです、いいんですよと・・・。

上がりは、ビールがないので、コーラを頂く。横にあった、使っていない大型のアイスクリームのケースが、なんか空虚だった。

いい銭湯ではないのかも知れない。でも満足だった。まぁ、常人には分かってもらえないだろうけど・・・。






鶴見区尻手(しって)一丁目 [昭和43年7月1日設置、住居表示]

町名の由来
 昭和43年の住居表示施行に伴い、市場町・矢向町の一部から新設された町です。

地元の通称を町名に採りました。
地名研究で「シッテ」とは「ある地域の後方にある土地」の意味といいます。

一丁目の南側を東海道本線、京浜東北線が通り、一丁目から三丁目の南東側を南武線が通っています。なお、南武線の尻手駅は川崎市側にあります。二丁目と三丁目の間を第二京浜(国道1号)が通っています。

「横浜の町名」(横浜市市民局)より