日の出湯（中央区佃）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2008年5月18日日曜日 10:13
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 日の出湯（中央区佃）

ナカムラです。

今日（5/14）は、「日の出湯（中央区佃）」に行ってきました。月島駅(東京メトロ有楽町線)から、0.4キロ、5分くらいです。

隣駅の豊洲の機械メーカーでのミーティングを終え、日の出湯に向かう。

同湯はそのロケーションが極めて由緒正しい。それは「佃島」に残る唯一の銭湯だからだ。佃島は徳川家康が関西から漁師を呼び寄せて作った集落。現在はその地域が「佃一丁目」となって佃小橋を経由して歩いてアクセスできるけど、かつては漁師が住む島だった。一辺が数十メートルしかない小さなエリアだ。

同湯は「佃島」の中にある「日の出湯　大栄マンション」一階の一部を占めるビル銭湯。

この「島」に来るのは２０数年近く振り。その時からこのビル銭湯はあったと思うけど記憶にはない。記憶にある佃島の風景も大分変っていた。周辺部は「湾岸戦争」といわれるくらいタワーマンションの建設と販売競争が熾烈。どっちの方角を向いても高層マンションが視界に入ってくる。

昭和４０年代に建てられたとおぼしき古いビル銭湯。５階の建物ながらこの当たりの元祖高層マンションと言っていい。訪れた時には、たまたま黒煙が出たので、薪焚きの銭湯のようだ。

浮世絵にも描かれている住吉神社。その参道にも通じる道で同湯の写真を撮影していると、本当に細い路地から、湯桶を抱えたご婦人が現れては同湯に入っていく。そういう時間だからかも知れないけど、銭湯が根ざしている土地柄を感じさせる。

ボロいビル銭につき、ボロい自動ドア。入ると靴脱ぎは驚くほど狭い。そして、自動ドアの傍らに旧型さくら錠の下足箱、銭湯料金の券売機、そして番台をひっくり返した方式のフロントが混然一体と並ぶ。

同湯はサウナ代込みで６００円。丁度の金額を投入したけど、５００円玉は使えないらしい。便利なのか不便なのか分からない設備だ。出てきたプラスチックの茶色の札をフロント氏に差し出すと、サウナ証として下足札の２．５倍はある木札を渡される。マジックペンで「サウナ札⑱」と手書きされている。紐がついている訳ではないので首に掛けることもできない。もっとも掛けたら肩が凝りそうな代物ではある。フロント氏に使い方を尋ねると、帰りに帰してくれればいいという。さすがに、浴室まで携行しなくてもいいようだ。

脱衣所は幅２間と１／３、奥行２間半ほど。天井は普通の住宅と同じくらいしかない。しかし、狭いうえに雑然としている・・・。

ロッカーは男女境側と外壁側にある。錠はSakuraⅢ錠。男女境のロッカーの上には古い家庭用扇風機と「雑誌の化石」と呼ぶのが相応しい不思議な感じに膨らんだ古そうな雑誌が積まれている。小生、触る勇気は無かった。

外壁側ロッカーの上方には男女境の鏡と同じようように、でも頭上という高い位置に横長の鏡が傾きを付けて設置されている。目的が姿身なのか、フロントから死角の男女境側を映す防犯用なのか判断し兼ねるものだ。

天井板の表紙は破れが目立っているし、どことなく埃っぽい。旧型マッサージ機やデジタル体重計は理解できるけど、小型冷蔵庫の上に電子レンジ、トースターが順に積まれている。冷蔵庫も販売用の飲料が入っているという感じでもない。この狭く埃っぽい脱衣所は時に何かの合宿所にでもなるのだろうか。何れにしても、この生活家電のラインナップは不思議だ。

浴室は、幅２間と１／３、奥行は３間程度。天井高は１間半弱でプラ板張り。やや脱衣所で面食らったけど、案外に清潔でいい感じ。

しかし、すれ違いで、上ったと思った爺がくわえタバコで再び浴室に戻ってきた。湯気が立ち込める浴室で、浴室内の普及椅子に座って、プカプカとやっている。健康増進法とやらで銭湯は禁煙になったのではなかったか。まぁ、そういった規制の前から、湯気立ち込める閉鎖空間の浴室で喫煙する輩には遭遇したことはない。タバコの煙って、湯気に吸着されないんだと科学的なことを考えたりする。この爺は漁師か・・・。徳川家康が作った場所。伊達じゃない。

浴槽は男女境に接して縦長に並ぶ。手前から電気風呂、「ぬるい」とある８点座ジェット×２、「あつい」とあるバイブラ崩れ（稼働していない）、水風呂。そして、その奥に６、７人は入れる余裕あるサウナ室が並ぶ。カランは外壁側に櫛型に３列で計１６個ほど。

水風呂は循環による冷却もなく、水栓の取っ手も取り外されている。温度計を見れば３０度近い。これだけは、不気味な水風呂だった。

ビジュアルはない。そして飲料の販売もなく表の自販機のみ。

上がりは、すぐ近くの佃屋酒店でプレミアムモルツ250円を調達。由緒正しそうな店なので伺うと、やはり創業は分らないくらい古いらしい。４代目なので１００年以上は続いていると軽く仰っていた。

のどの渇きが一服したので、次は月島のもんじゃ焼き屋が尽きた辺りにある「岸田屋」でアルコールを注入・・・。居酒屋通に知らない者がいない有名店。暖簾にはただ「酒」とだけある。看板メニューの煮込みは品切れとのことで、燗酒２合にらっきょ、きんめの煮付けを頂く。レトロ極まりない居酒屋だけど、もんじゃ焼で観光地化した土地柄か、若い二人連れが多い。大将が亡くなって店側も女所帯だ。女将は母のような年齢だけど、２人のスタッフは若くて美人。小生が行くタイプの店では異色かも知れない。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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路地に打ち水がされている。
岸田屋