差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2006年4月22日土曜日 11:48
宛先: 銭湯ML
件名: 久松浴場(川崎市川崎区京町)

ナカムラです。

今日(4/21)は、「久松浴場(川崎市川崎区京町)」に行ってきました。
八丁畷駅(京浜急行&JR南武支線)から、0.9キロ、10分くらいです。

鶴見市場駅(京浜急行)からも川崎新町駅(JR南武支線)からも似たような距離。しかし、南武支線は、都会のローカル線で本数が少なく尻手乗り継ぎでアクセスも悪い。

同湯の位置する川崎区京町は、川崎市の最西端にあり、すぐ隣は横浜市鶴見区平安町になっている。県が異なるけど、「京」「平安」と関連が強い地名が付されている。両方の土地は地図を見ると整然と区画整理がなされていることが判る。

これは、大正5年(1916)に京浜電気鉄道(現京浜急行)が、ここにに運河を掘るために土地の買い、運河完成とともに工場用地として売却する計画を立てていた。しかし、第一次世界大戦後の不況で実現せず、代わりに住宅用地としての分譲となった。大正15年(1926)の区画整理を期に、東京寄りを京町と、横浜寄りを浜町と名づけ、旧浜町は、横浜市に編入されて平安町となっている。なお、八丁畷駅とこの住宅地とを結ぶ6人乗り2台のバスの運行が、京急のバス事業の発祥になっている。現在は、旧鶴見臨港鉄道の鶴見臨港バスが走っているが・・・。

さて、久松浴場。正面に建つと伝統的な木造銭湯。しかし、正面に大きなフロントスペースが増築されるなど、全体が大胆に改造されている。入口は向かって左端にある。円柱とその上になにやらオブジェがあるようだけど、暗いので良く判らない・・・。

自動ドアを入ると靴脱ぎスペースがあって松竹板鍵の下足箱が整然と並んでいる。その反対側に、何と池があって、それなりの大きさの池がある。往時の庭の池が増築により屋内に取り込まれたという趣きがある。屋内のこれほどの池は初めて遭遇だ。

増築されたフロントスペースは広い。かなり大きな庭を持つ銭湯だったんだろう。正面道路側は、一部の壁がガラスになっていてレースのカーテンが架っている。床は絨毯とフローリング。スクリーン型の大型テレビ、大型の食卓にソファー、何だかリビングの趣きがあるフロントだ。

女将に400円を渡し、ロッカーの松竹シリンダ鍵を受け取る。サウナの料金を聞くが、無料とのこと。また、下足の鍵は渡さなくていいようだ。

脱衣所を入るとこれまた変った趣になっている。一言でいうなれば、山荘風。天井や壁の低い部分はロッジ風の板張り、壁の上部はハーフティンバー調でまとめてある。しかし、男女境側に押し込まれているサウナ室の壁は煉瓦風のタイルで、休憩スペースには野点の時に使う大きな傘と和風も取り入れている。照明は、真中に、矢倉を組んでの水銀灯と壁には白熱灯の暖かい光で雰囲気を柔らげている。混沌としている。でも、嫌味じゃない。初めて遭遇する不思議は感じのする空間だ。

浴室がまた変わっている。4間四方くらいの大型の浴室。天井は木目調のプラ板が張られ、しかも、形も山型屋根風に改造されているようだ。2間四方の浴槽がその真中にあって、カランは奥壁に8、男女境に7、奥壁側の浴槽の1辺に6という配置。

壁は花崗岩風のタイルが張られ、石造りの趣き。床のタイルもグレーの重厚なもの。照明も真中にガス燈を模した街灯が1基と、男女境にやはりガス燈を模したものが4つほど並んでいる。どことなく灯りを抑えた感じの照明になっている。妙な例えだけど、釧路・幣舞橋の冬に向かう季節、曇天の風景がある、そんな感じがする。

浴槽の外壁側半分に東屋風の屋根が掛けられ、その下には、日替わり薬湯と7点座ジェット1機。岩風呂風の仕切りの反対側は、縁が檜で組まれ、焚き出し口からは瀧のように湯が落ちてくる岩風呂風主浴槽でゲルマニウム温浴となっている。どちらの浴槽も、床より下に掘り込まれているのが珍しい。

サウナ室は幅半間、奥行1間半と小型で5人くらいが横一列で座るもの。25インチくらいのテレビ付でなかなか快適だ。水風呂はなく、サウナ室入口と並んで、隣に立ちシャワー2機がある。このシャワーブースは脱衣所側に張り出していて、上がガラスで脱衣所の天井が見える。煉瓦色のタイルと相俟って、なかなかのデザインになっている。

同湯では、東屋、街灯風の照明器、ガス燈もビジュアルを構成してるんだとうけど、その他に、外壁側に3間幅に大型のよしずが下がり、その前に石灯籠や竹、庭石が配され和風庭園風になっている。更に、入口の上に申し訳程度だけど、富士山の夕景の写真をプリントしたものが貼られている。

水風呂が無いのが残念だけど。充分に満足行く空間がある。22:10から23:10くらいに滞在。相客は10人くらいか。

上がりは、ビール(270円)、発泡酒(200円)。珍しく酎ハイなんかもある。150円と一番安かった「氷結」にする。サウナ上がりの1本はそれなりに利く。リビング風のフロントには夏目雅子の写真が2枚といわさきちひろの絵が掛けられている。どちらも小生の好みと合っている。

既に、南武支線の終電は終わっている。
八丁畷駅経由で帰館。



京急と平行する駅横の商店街は旧東海道
上は南武支線の八丁畷駅
南武支線はローカルだけど東海道貨物線が通るので高架は高規格になっている