差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2011年10月21日金曜日 23:57
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 蓬莱湯(新宿区四谷)

ナカムラです。

今日(10/1)は、「蓬莱湯(新宿区四谷)」に行ってきました。 四谷三丁目駅(丸ノ内線)から、0.4キロ、5分くらいです。

新宿御苑前駅と四谷三丁目駅の中間くらい。新宿で買い物の後、そのまま歩いて行ける距離だ。

レトロな銭湯で、かつて訪れた時に感銘を受けたことを憶えている。相方には風呂のことしか考え ていないと言われるけど、そうなってしまった頃はもう8年も前になってしまった。

大通りから少し入った所にある。昭和30年築。コンクリ煙突に千鳥&唐破風のファッサードの銭湯。 それぞれの破風には、波を描いたのか、こて絵のような簡素なデザインが入っている。

脱衣所は、幅3間弱で奥行3間半ほど。飴色で鈍い光沢を放つ折上げ格天井。壁側にはずらっと旧 型松竹錠板鍵のオール木製ロッカーが並ぶ。ロッカー横の縦に並ぶ3枚の鏡、少し窪んだ位置にあ る白い陶器の古い洗面台やレトロな水栓。。。イニシエ的郷愁に満ちた空間が広がっている。

ただ、初訪の時も感じたけど、やや幅が狭い脱衣所に縦置きの大きな島ロッカーが2つではせっか くの空間をかなり居心地の悪いものにしている。そこがちょっと残念・・・。

改めて訪れて驚いたのは、菓子箱を立てたような大きな”箱”に描かれた中島さんの「石川県見附 島(22.6.25.)」のペンキ絵。釜場への戸よりも1/3間くらい前に迫り出している。他に類を見ない レアな構造だ。

番台の大将に聞けば、迫り出した”箱”に描かれたように見えるペンキ絵の下、白タイルが張られ た”台”にあたる部分は、元々大きな水槽になっていて鯉が泳いでいたという。

奥壁に水槽が仕組んである構造は見たことがあるけど、ここまで大がかりなものは見たことがない。 今は倉庫になっているという。それほどに大きなものだ。

円弧を描き手前に張り出した深浅2槽の浴槽の形やタイル使いも古風だ。井戸水に含まれるミネラ ルが沈着して多少黒ずんでいる。お湯は42度くらい。入り易い温度になっている。

この立地で古風な番台で営業しているというのも驚きだ。番台の大将も、色艶もいい男盛り。若い 女性はかなり抵抗があるのではないだろうか。それを押して、昔のスタイルでやっているという所 に何か拘りを感じた。

土曜日の夕飯時。相客は最初1人だけだったけど、どんどんと客が入って来て、7、8人になった。

新宿に来る用事の前後に立ち寄ってもいいかなと、改めて同湯の良さを感じた。古い銭湯の定石の すべてが揃っている感じがする。優れた郷愁銭湯だった。

《前回訪問:2003.8.30.》

*************************************************
ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ (風呂屋の煙突)
*************************************************



   同湯の裏側の小道もイニシエの風情が残っている