差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2011年10月26日水曜日 20:07
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 星の湯(葛飾区堀切)

ナカムラです。

今日(9/18)は、「星の湯(葛飾区堀切)」に行ってきました。 堀切菖蒲園駅(京成本線)から、0.6キロ、7分くらいです。

表参道での所用を済ませ、半蔵門線で押上へ。そして青砥を経由して、堀切菖蒲園へ。

堀切菖蒲園はレトロ銭湯が密集している。同湯は、以前吉の湯に来た時に外観だけ見たことがある。 荒川河畔に建つものの土手の上に中央環状線の堀切ジャンクションがあり、道路の方が同湯のコン クリ煙突よりもかなり高い所を走る。そんな少しばかり荒涼とした風景の中にある銭湯だ。

戦前からの銭湯という。現在の建物に建て替わってからも半世紀余りが過ぎている。平入りの黒瓦 を載せた脱衣所建物に、やはり黒瓦の千鳥破風のエントランスが付く。

暖簾は紺地に屋号を白で染め抜いたオリジナル。中に入れば平格天井の小振りな空間。正面に傘を 付き差す式の傘入れがあり、左右に松竹錠の下足箱。

番台は意外にも木目プリント合板の前面がカーブしたもので、ふっくらした板垣退助が甚平を着て いるという風の大将が番台に収まっている。

脱衣所の広さは3間四方。天井は折上げ格子天井。さらに、入口方壁が1間の奥行きで増築されテ ーブルとソファが置かれている。

側面から入口方に掛けて、深緑色の小石の濡れ縁と奥行きのある広い庭が広がっている。ガラスの 面積が大きい古い建具を通し、庭からの光が明るい。

広い庭には池は無いけど、三層の灯籠が建っていた。しかし、先の震災で男・女双方とも倒れてし まった。重くて直せないのでそのまま、さも庭石のように転がっている。

ロッカーは、島ロッカーが縦置きに1つと、外壁側浴室方に松竹錠アルミ板鍵のものがある。

その他、「式田建設」から贈られた黒柱時計、Keihokuのアナログ体重計などがある。

浴室は、幅3間、奥行4間。天井は木板張りの2段型で、高窓からさらに高い位置を通る中央環状 線の道路が小さく見える。

島カランは1列で、カラン数はセンターから5・4・4・5。タイル類は新しくはないけど、レトロと いう感じでもない。カラン台は黒に赤ボタン。側面はモスグリーンのタイルが張られている。

浴槽は、奥壁に接する深浅2槽。深槽が気泡風呂で、浅槽が2穴ジェット。湯温はいずれも42度強。 すっきりとしたお湯だ。お湯は井戸水を薪で沸かしており、黒いミネラルが浴槽の内側に付着して いる。

ビジュアルは、奥壁に早川さんの「山梨(20.1.24.)」のペンキ絵。亡くなられる3か月前に描かれ た最晩年の作だ。力ほとばしる早川調の筆致は鳴りを潜めている。迫力の無さから、谷中・初音湯 (廃業)同様、少しばかり痛々しい印象を受ける。

上がりは外光が入る脱衣所でビックル120円を頂いた。東京の銭湯で脱衣所に外光が入る銭湯は貴 重だ。外壁側にロッカーが設置されていたり、前庭を潰したりして、前からも横からも自然光が入 るという銭湯は案外に少ない。

シルバーウィーク後半の三連休の中日。15:45〜16:30に滞在。相客は一番風呂勢の残党を含め7、8 人ほど。この時間で客が居ないとかなり厳しいけど、そこそこ客が入っていた。

帰路に堀切菖蒲園の商店街を散歩していると、丸窓のある古いアパートを発見。これは・・・と思 って写真を撮っていると、”風俗に詳しい人が見れば判るけど”と前置きして、近所の方が遊所跡の 建物だと教えてくれた。近年まで、奥にもう一棟あったらしい。観光地の一つのインフラだったの かも知れない。

堀切煎餅を買い、帰りは千駄木の「毛家麺店」で一杯。谷中の町をそぞろ歩いて、日暮里駅経由で 帰館。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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   堀切菖蒲園への客を当て込んだ遊所跡