差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2012年1月31日火曜日 21:55
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件名: 星谷浴泉(足立区扇)

ナカムラです。

今日(1/27)は、「星谷浴泉(足立区扇)」に行ってきました。 扇大橋駅(日暮里・舎人ラーナー)から、0.6キロ、7分くらいです。

1月もあっという間に終盤に差し掛かる。今期もあれも出来ていない、こっちは遅れていると、期 末に向けて追い込む仕事が多くなってきた。でも、19:30くらいには会社を逃げだして、日暮里駅 経由で日暮里・舎人ライナーに乗り込む。何回か乗っているはずだけど無人運転ということに改め て驚く。

かつて、この辺りに来た時は日暮里駅からバス便だった。夕方だったこともあってそれなりに時間 もかかったのを憶えている。陸の孤島といってもいいくらい。都電の熊野前駅まで1.7キロ、西新 井駅(東武伊勢崎線)まで1.9キロ、町屋(京成本線)まで2.3キロと、どこからもやや遠い。

駅から徒歩で行くことができるけど、同湯までの道のりは迷路のようだ。田んぼか畑の畦道だった んだろうけど、それでもどうしてこんな道になるのかというくらいに複雑怪奇な道の連なり。

少し雪が残る道を大縮尺の地図を見ながら歩いて何とか迷わずに到着する。同湯の周りは商店街で はないものの近くに酒屋や食料品店などのシャッターが閉まっている。

同湯は昭和36年の築創業。屋号はかつてここが星谷と呼ばれていたことによるものだろう。千鳥破 風の脱衣所に黒瓦を載せたエントランスが付く伝統的木造銭湯だ。金星が明るく光る夜空にコンク リ煙突のシルエットが映る。同湯の隣はかなり広い更地。マンションでも建てられるのだろうか。

暖簾を潜れば番台の裏には鈴栄堂福二画の福助のタイル絵が迎えてくれる。端正な感じのエントラ ンスホールだ。床にはいろんな色の小石型のタイルが敷き詰められている。左右には松竹錠の下足 箱が並ぶ。傘立てはなく下足箱の奥に傘を差し込む穴がある古いタイプのものだ。

番台への扉を開ければ、木組のどっしりとした番台。脱衣所全体に言えることだけど、安易に茶色 のペンキが塗られているのが少しばかり惜しい。

脱衣所の広さは幅も奥行も3間を少し割るくらい。天井は端のアールが白く塗られていて平格天井 の変形のように感じ。やや小振りの空間だ。

ロッカーは、松竹錠板鍵の島ロッカーが縦置きに2つ。それと、新しく更新されているSSLOCK錠の ロッカーが壁側にある。大きさは今も現役の丸籠がそのまま収納できる幅と奥行きがあって、高さ がない平べったいもの。元々、ここにはオール木製ロッカーが並んでいたんだろう。ロッカーの上 の部分に幅の狭い古い押縁の天井が残っていた。

手すりのある濡れ縁的なスペースがあって、その向こうには、溶岩を背景とした庭池が正面から側 面の一部にL字型に延びる。しかし、水は張られておらず少々荒れているのが残念。

その他、五十嵐工務店寄贈の黒柱時計、Hokutowのアナログ体重計、丸太を渡した式の男女境など がある。

浴室は、幅3間弱、奥行4間ほど。天井は2段型で、木板白とライトブルーのペンキ塗り。島カラ ンは1列でカラン数はセンターから5・4・4・5。床のタイルは厚手で、滑り止めとして内側に正方 形の突起のあるもの。男女境や壁は、白鳥や水草などをワンポイントであしらった大判のタイルで 更新されている。釜場への戸は古い木戸でその周りには深緑色のタイル。この部分は50年の時を経 て来たオリジナルだろう。

浴槽は、奥壁に接しての深浅2槽。内側から、8点座ジェット、白湯槽、じっこうの薬湯になって いる。井戸水を薪で沸かしたお湯は42.5度。薬湯がそれよりもやや低く設定されている。

ビジュアルは、奥壁に早川さんの「西伊豆(平成二十年四月二十一日)」。男女境の上に富士山を描 き、海蝕のある海岸に波飛沫が白く立ち上がっている。早川さんは、丁度この1年後に亡くなられ たけど、この絵には最晩年近くの衰えはない。ただ、4年を経て傷みが目立っている。

客が多いので湯気が立ちこめ、浴室も温かい。寒い帰り道を思って、主浴槽と薬湯を交互に入って 芯まで身体を温める。金曜日は、明日を思うことなくクタクタになるまで入浴を楽しむ。

金曜日の20:30から21:20に滞在。相客は10数人とそこそこの客の入り。友人と連れだった若者 2人。シャワーで身体を温めながら歯磨きをして携帯電話をいじっている。さすが足立区の辺境、 浴室で携帯を使う光景は見ないでもないけど、これほどに行儀が悪いのも珍しいかな。。。

上がりの一杯は、日暮里当りか十条かで迷って、結局十条駅前の「お功楽屋」で赤貝の刺身やら鱈 の西京焼きなどを肴に焼酎のお湯割を2杯ほど。日付が変わる少し前に帰館。

昨日、今日と東京は今シーズン最も寒い日が続いている。築50年を超える紙と木の古い我が家。石 油ストーブだけではなかなか部屋が暖まらない。湯たんぽに熱湯を注ぎ暖を取ってようやく凌いで いる。。。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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