一乃湯（伊賀市上野西日南町)・旧三効湯・旧桑町温泉・旧電気湯・旧池田湯・池澤湯・旭湯

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2010年10月5日火曜日 23:49
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 一乃湯（伊賀市上野西日南町)

ナカムラです。

今日（9/17）は、「一乃湯（伊賀市上野西日南町)」に行ってきました。上野市駅（伊賀鉄道）から、1.0キロ、10分くらいです。

お伊勢参りの精進落としで、宇治山田の三遊廓の中で最も栄えた古市遊廓。昨日はその麻吉旅館に泊まった。創業200年を超える、おかげ参りで栄えた色町。その面影を残すのは同旅館だけとも言われる。

傾斜地に建つ五層の楼閣は見事だ。客は小生たちのみ。通された部屋は、玄関や次の間がある広いもの。そして、部屋にユニットバスがあったのは驚いた。。。

今朝は、宇治山田のもうひとつの遊廓、港町の遊廓として栄えた神社町（かみやしろ）を散歩。旧花街通りで遊廓の面影を感じたり、「新玉（珠）湯」という大正末か昭和初期に建てられた風情ある廃銭湯を眺めたりした。

港町のこの廃銭湯も、冬を越した頃には解体されるという。明治期の創業で先代の建物は港の傍らにあったという。かくいう向かいの理髪店の主も、80歳は優に超えている古老。聞けば四代目という。旧花街の床屋の歴史もまた長い。。。

見事な建築で名高い宇治山田駅（昭和6年）に戻り、伊賀上野へ。

かの高名な激レトロ銭湯だった旧三効湯の建物や煙突をめで、旭湯、旧電気湯（「忍びの館」に転用）、池澤湯（休業中だった）、旧池田湯とまわる。

何度かの聞き込みを経て、苦労してたどり着いた旧愛宕遊廓には煉瓦煙突の桑町温泉の建物がそのままに残っていた。三重県で第三の規模を誇った愛宕遊廓。往時の立派な建物が転業旅館としていくつか残っている。

そして、目的の「一乃湯」へ。古いものだろう、レトロなネオンサインがアーチのように架かる門を入り、庭木が植えられたアプローチを進めば、紺地に「ゆ」と染め抜かれた大きな暖簾が下がっている。むくり破風の建物に緩い曲線の唐破風のエントランス部。2階に洋間を含む4 部屋もの休憩室が残る建物は地方の銭湯としてはかなり大型だ。

暖簾を潜ると、ツルカメ錠の下足箱が三方に置かれ、それぞれの前にスノコが並べられている。外便所も東屋風に母屋と釣り合うくらいに拘った造りになっている。

中に入れば木組みの番台。番台の周りと奥の脱衣所の床の高さが異なっている。おそらく、番台の周りは広いたたきになっていて、下足の棚なども建物の内部に置かれていたのだろう。

2階に上がる階段の手摺りには洋館風の意匠がある。しかし、踊り場の柵には和風の擬宝珠を使っているという破天荒。。。

番台は木組みのどっしりとしたもの。脱衣所への視界は衝立で遮っているので、番台の周りは独立フロント的な感じになっている。

脱衣所の広さは、幅2間半、奥行5間ほど。柱が外壁部分だけでなく、板の間にも数本立っている。2階の構造が重いからなのだろうか。。。

天井は折り上げ格天井。折上げ部の内側には簡素な意匠ながら欄間もある。床は籐敷き。天井には天井扇が回っている。

ロッカーは外壁側と男女境の鏡の下に折鶴錠のもの。その他、旧型マッサージ機、IUCHIのアナログ体重計がある。

この建物と浴舎の間には、京都・船岡温泉などと同様に庭がある。奥行が半間と小さなもの。小さな池に水が溜まっていないのは残念だけどいい庭石が積まれ、庭木の手入れも行き届いている。

浴槽へは奥行半間ほどの緩衝エリアを通って行く。流しはタイル張りではないものの、浴室上にはアーチ型の意匠の中にブロンズだろうか枝状のものが納められている。男女境の上にはテラコッタのやはりデザイン的な細工。何より、浴槽へのドアの周りに石が使われているのが豪華な感じを出している。

浴室は、幅2間半程度、奥行4間くらい。天井は四角錘型で真ん中に正方形の湯気抜き。

浴槽はこの広くはない空間に４槽置かれている。主浴槽は男女境に接するかたちで深槽。特に仕掛けのないもので湯温は41度くらい。清澄なお湯と内部の濃いブルーの丸タイルが印象的。その手前に浅槽が連結されている。

そして、奥壁に接して2槽。外壁側にバスクリン様の入浴剤が投入された40度くらいの浴槽で、寝湯×2、ジェット×1となっている。そして、少しスペースを置いて、男女境側には水風呂が置かれている。

島カランはなく、カランは外壁側に7、脱衣所方壁に2、男女境に3。大理石の湯桶の台がある立派なものだ。

ビジュアルは、外壁の上に富士山の絵柄のモザイクタイル絵がある。

京都というより大阪の銭湯の感じがする浴槽配置になっている。

池澤湯が休業中、隣湯の旭湯が定休日という影響もあるのか、客はひっきりなしに出入りする。駐車場もあるので徒歩以外の人も多いようだ。

2年程前に経営の主軸が三代目に移り、レトロ的なものを飾っている。古いポスターや真空管式ラジオなどが置かれていた。同湯のパンフレットがあって、見て笑ってしまった。同湯の細部までを数多くの写真で紹介している。隅っこに「銭湯マニア対応版Ⅱ」とあった。パンフレットにある陶器製のコンセントを見損なっていた。。。三代目はなかなか分かっていらっやる方のようだ。

地場牛乳はなかったけど、地場の大内山乳業のアップル牛乳があった。味は、まぁ、水っぽくてあんまりだったかな。。。

金曜日の17:35から18:20に滞在。相客は10数人くらいか。なかなかの繁盛店だった。

上がりは近くのラーメン屋・文雅堂で生ビール。。。ラーメンもなかなか美味しかった。

伊賀市駅から京都に向かう。伊賀鉄道はクラブ活動を終えた高校生の集団しか乗っていない凄い状態になっていた。

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ナカムラ　（Masayuki Nakamura）
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	旧三効湯
旧桑町温泉	旧三効湯
旧電気湯	旧愛宕遊廓の一角にある桑町温泉。唯一煉瓦煙突だった。
池澤湯	旭湯
旧池田湯