差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2005年8月6日土曜日 11:17
宛先: 銭湯ML
件名: 一の湯(大田区西六郷)

ナカムラです。

今日(8/5)は、「一の湯(大田区西六郷)」に行ってきました。
蒲田駅(JR京浜東北線)から、1.5キロ、15分くらいです。

松本清張の小説「砂の器」は、国電蒲田操車場で男の死体が発見され事件が始まる。
そのJR蒲田操車場が至近にある。
「砂の器」は昭和49年(1974年) に丹波哲郎、加藤剛、森田健作で映画化され、現在、デジタルリマスター版が公開されている(〜8/12。築地・東劇)。

さて一の湯。蒲田駅と六郷土手を結ぶバス通りに面している。後ろにコンクリの煙突。
材の華麗さはないけど、入口は破風造り、その上にも千鳥破風が載って堂々としている。
借家での経営者は、築年は判らないとのことだったけど、脱衣所に昭和27年の「入浴者心得」があったから、その辺りの建物なのかも知れない。

今日は、隣の「秀の湯(新蒲田3丁目)」と「第一相模湯(西六郷2丁目)」が揃って定休日。なので、浴場もコインランドリーも人の出入が多い。
1999年版の地図を眺めていると、近くに、今は無い「山楽湯」「龍の湯」「第三相模湯」などが載っている。
銭湯大国の大田区・蒲田周辺もだいぶ銭湯が減っているようだ。

女将の趣味か、暖簾をくぐると、目に鮮やかな緑が飛び込んでくる。
単なる鉢植えとは違う、淡い緑が特徴のプランタ群・・・。
下足箱の錠は旧型のさくら。

木製建具のガラス戸を開けると番台。番台だけど、金属製かと思うような事務機材的な材で作られている。
型も逆ハの字型に開いていて、ちょと変っている。

脱衣所の広さは基本的には2間半四方。
天井は折上げ格天井。高さ2間はさほど高くない。折上げ部のオリジナルの材もさほどのものではなと感じるけど、天板がさらにチープなものに置き換わっている。

しかしこの脱衣所は、中型というサイズもあるんだろうけど、すごぶる雰囲気&居心地がいい。
レトロなんだけど、とても照明が明るく、緑の電照栽培?、水槽、淡い緑の鉢が並んでいる。それに清潔。
その他、EIKOのアナログ体重計、冷蔵庫、レトロな感じの丸時計なんかがある。
なかなかいい銭湯だと実感する。

浴室へは自動ドア。広さは幅2間半、奥行3間半程度。天井は、ウィング幅1間の2段型の天井。
窓枠はサッシに置き換わってるけど、その周りは白木で維持されている。
脱衣所と同様で、とても明るい浴室で、気持ちがいい。

鏡のみの島カランは1列で、カラン数はセンターから7・6・6・6。両サイドにのみシャワー。立ちシャワーが無いのは珍しいかな。
5年前に配管を入れ替える中普請をしているので、床、カラン周りに古いタイル類はない。しかし、湯・水の出はすこぶるいい。
金曜日の21:20から22:00に滞在。隣湯2つが休みということもあって、相客は延べ20人くらいとまずまず。

浴槽は深浅2槽。
浅槽がジェットで42度弱。
深槽が淡い床からの気泡風呂で43度弱くらい。後ろに薬湯の看板があるけど、白湯だった。
地震の時の対応と寒い日の風呂の入り方のイラストが浴槽の後ろに架かっている。古めかしいもので懐かしい感じがした。

ビジュアルは奥壁にペンキ絵。額のように上部に装飾があるのが珍しい。中島師の富士山。少し、平板な感じがする富士山だった。
センターにはモザイクタイル絵。
釜場への入口の周りも4枚の柏葉をクロスさせたような緑色の小タイルによるタイル巻きになっている。

女将に富士山のペンキ絵を撮影させてほしいと申し出ると、真顔で「富士山だったっけ」と。
ここで35年目になる銭湯の女将にとっては、「壁紙」のように、意識されないものになっているのかと驚いた。

上がりはカルピスウォーター100円。
「安いんですね」と言うと、女将は「ウチは他にサービスするものがないからね」と。

帰りは、コンビにで赤ラベルを買って、すぐ目の前のバス停(西六郷1丁目)から、蒲田駅行のバスに乗る。
バスなのに「空車」でやってきて、終点まで小生だけだった。夜のバス、こういうシチュエーションは悪くない。
しかし、やはりカルピスウォーターの後の発泡酒は不味く、気分はイマイチだった。





入口側のロッカーの後ろは、かつての庭を潰してのコインランドリー。女湯の庭は健在なのかも知れない。浴室の入口脇にも大きな水槽があって脱衣場を演出している。


中島師の富士山。やや平板な感じを受けた。

昭和27年の「入浴者心得」


蒲田駅前