蛇骨湯（台東区浅草）

差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年6月8日月曜日 22:50
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 蛇骨湯（台東区浅草）

ナカムラです。

今日（6/6）は、「蛇骨湯（台東区浅草）」に行ってきました。浅草駅（東京メトロ）から、0.5キロ、6分くらいです。

先週に引き続き世田谷美術館主催の「TOKYOパノラマウォーク」。「写真家と歩く昭和/其之弐」で、今日は飯田鉄さんと上野から浅草までの路地裏をジグザグと歩く。

集合場所は「上野公園内『西郷隆盛』像の前周辺」。ありそうで、実際にはなかなかない集合地点だった。このあたりも世田美の学芸員S氏の遊び心なんだと感じ入る。

集合前にアメ横の昭和レトロな「純喫茶/丘」でナポリタンとコーヒーで腹を落ち着かせた。今では軽食やビールも出すので、少し「不純」になってしまったけど、ここは昭和３９年創業でビル地下１、２階に入るイニシエの「純喫茶」。今日のテーマ「昭和」の空気がそのまま残っている。昭和巡りの助走としてはいい店だ。

新宿経由で通学した高校生と大学生時代、新宿ニコンサロン、ミノルタフォトスペース、ペンタックスフォーラム、オリンパスギャラリー、コニカプラザなど、かなりの頻度で新宿の写真展会場に足を運んだ。お目にかかるのは初めてだけど、ニコンサロンだったかな、飯田さんのモノクロ写真と「飯田鉄」という名前が印象に残っている。琴線に触れる写真だったということだと思う。

氏は、後にカメラやレンズに精通する写真家としても知られているようになっていた。話して、そんな飯田さんの仕事カメラの３番機（ニコンＤ７００、ライカM8の次）として、小生も使い込む一眼レフの入門機、PENTAX/K-mの名が上がったことが嬉しかった。カメラ達人と同じチョイス。。。

深い感慨があったので、前置きが長くなってしまった。イカン、イカン、済みません。。。

さて、３時間で５、６キロの路地裏散策をこなし、アフターはアサヒビールのビアホールで飲んだくれ。本当は本所吾妻橋・墨田湯をイメージしていたけど、歩くのが億劫になり蛇骨湯にした。建替えのため休んでいると思っていたけど、解体工事は数ヶ月延期になったということで営業していた。

浅草六区に近い路地裏にあるビル銭湯。ビル銭ながら創業は江戸時代に遡る。紺地に白抜きで右書きで屋号が記されている。サウナは、プラス２８０円でアルミ板鍵の下足鍵と引き替えに、サウナ証として緑のリストバンのみが渡される。バスタオルが付かないのが割高かな。

脱衣所は、センターがサウナ室に浸食されているけど、外壁側が拡張されているという変則的な広がり。露天スペースに近いスペースは排煙装置がある喫煙スペースになっている。変則的ではあるけど狭くはない。

浴室は、幅３間、奥行４間ほど。天井はビル銭湯ながら、木造の２段型を模したコンクリ造タイル張りのウィングがある。５年振りの再訪にして類例がない造りということを知る。

東屋風に仕上げられた黒湯露天風呂の配置は独創的なものだ。外壁側脱衣所方に幅１間、奥行１間半ほどの露天スペース。壁を内側に食い込ませて設置し、露天風呂を「外」にしている。

そして、石張りの「縁側」があって庭池に対峙している。池の向こうには築山。最近はめったにお目にかかれない、枯れ山水ではない「現役の滝」がある。貴重だ。

肝心の湯は、ウーロン茶程度の色付きのある冷鉱泉を沸かした温泉。屋内の浴槽だけでなく、露天風呂、その横にある水風呂にもこの源泉を使っている。驚くべきことに、池の水も茶色の源泉。池の水が茶色というのはかなり微妙だけど、カランの水を含め同湯の湯水は全てこの源泉が使われている。ただ、湯船では気が付かないけど、源泉水風呂とカランの湯は微かにドブ臭が匂う。恐らくは浅い井戸なのだろう。

ビジュアルは奥壁にある夕暮れ時の富士山のを描いた巨大な絵付けタイル絵。ペンキ絵にはかなわないけど、なかなか趣がある絵だ。

上がりは、ビール類はないので、クリスタルガイザー。それを飲みながらフロントでまったりしていた。すると、近くのストリップ劇場の女将とおぼしき方が話をされていた。昔は毎日通っていたけど、何年かか振りという。女将の小屋は、昨日今日と、覚醒剤で逮捕され、新聞・テレビのワイドショーを賑わせた元グラビアアイドルのストリップ出演差し止め問題で劇場前が騒然としていた。恐らく、そんな騒動の疲れが女将の足を久しぶりの銭湯に向けさせたのかも知れない。

ある人に「本物もきれいなの」と問われた老女興業師は、ぼそっと「おっぱいがデカイのよねぇ～」と、質問の答えになっているのかいないのか、含蓄のある言葉だった。さすが浅草で長年色を売って来た婆さんだ。なかなかハラが据わった感じで迫力があった。

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