差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2014年1月19日日曜日 7:17
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 重兵衛湯(前橋市城東町)

ナカムラです。

今日(11/3)は、「重兵衛湯(前橋市城東町)」に行ってきました。 前橋駅(両毛線)から、1.5キロ、15分くらいです。

昨日、前橋にやって来て、銭湯のつなぎ歩き。同湯にもやって来た。すると、朝5時半から、それ も通し営業であるのを知る。念のため女将さんに確認して、翌日の朝風呂の予定を組んだ。

安ホテルで朝食を取り、前日に確認した道を重兵衛湯に向かう。三連休の中日の日曜日。前橋に朝 風呂文化があるのかは分からないけど、男湯にも女湯にも、ご年輩だけではない客が出入りしてい る。

ファッサードには「重兵衛湯」と大きく書かれ、その下にやや小さく「ときわ湯」とある。昭和28 年あるいは29年頃に、味噌・醤油醸造を営んでいた、初代の前橋の大立者だった“重兵衛”さんが、 味噌屋から転業して始めた銭湯がこの「ときわ湯」。しかし、有名だった重兵衛さんの銭湯というこ とで、正式名称よりも通称である「重兵衛湯」で知られるようになっている。

使われていない油井型の後方に、軍事要塞にあるような四角く高い煙突が威容を放つ。煤がこびり 付いるので不気味な印象すらある。味噌・醤油蔵があっただけに、同湯の敷地は銭湯に似つかわし くないほど広い。奥に積まれた材木の量も半端な量ではない。

そして、この広い敷地に、犬と猫だけでなく、放し飼いにされたニワトリが一般道の歩道すら自由 に行き交っている。前は大間々に通じるかなり交通量の多い道路だけど”事故”などはないらしい。

建物の脱衣所部分は創業当初からのオリジナル。かなりラフに手が入り、それがかなり草臥れた感 じになっている。その後方には、改築されたものだろうけど、コンクリ造の浴舎が風雨で草臥れた 感じになって連なる。

しかし、内部にはサウナ、家族風呂に始まり、果ては淡い褐色の井戸水を湛えた温水プールまでが 備わっている。健康ランドあるいはスーパー銭湯的な需要を担った時代もあるようだ。

オリジナル暖簾を潜りアルミサッシのドアを開ければ、正面と左右の3方に松竹錠の下足箱。靴脱 ぎのスペースは、意外にも畳1畳もなくかなり狭い。

前橋の銭湯は360円。目隠しのカーテンをかき分けて番台のある脱衣所に進む。使われていない番 台側面には松竹錠アルミ板鍵の脱衣ロッカーが4つ。地方の古銭湯に行くと、ここに下足箱や下足 棚というケースはあるけど、ロッカーは初めての遭遇。

脱衣所の広さは、幅2間半、奥行3間ほど。細い板を並べた古そうな天井は高さ1間と2/3くらい。 淡い緑色のペンキが塗られている。床は北関東銭湯でよくあるカーペットとゴザが併せて敷かれて いる。

ロッカーは、3方に松竹アルミ板鍵のもの。その他、“赤城山麓牛乳”の冷蔵庫、ヘルスメーター、 男女境上のテレビなどがある。

さらに、同湯には別室の増設の休憩室がある。低い天井の一部は抜け、壁という壁は陽に焼けて全 てが黄色く干からびている。紺地の「家族風呂」という暖簾が建物の側面に掛かり、この休憩室の 後ろあたりにあると思うけど、良く分からなかった。

浴室は、幅2間半、奥行3間をベースに、外壁側に半間、2/3間と段階的に増築がなされている。 天井はM字型。辛子色の壁は本来の凹凸のある素材に複雑に汚れや黴が付いてややオドロオドロし くなっている。しかし、朝風呂なので陽光が差し込み大きく演歌も流れている。実に平和で穏やか な雰囲気が満ちている。

島カランは1列で、カラン数はセンターから6・5・5・5・0。伊勢崎の寿美の湯もそうだったけど、 この辺りの銭湯の島カランのシャワー付の鏡はカラン毎に独立した凝った方式だ。

浴槽は、奥壁側に沿ってハップ湯の“別府温泉”と、横ジェット&岩盤浴泉の「玉川温泉」。双方と も深く、ハップ湯は42.5度、白湯の主浴槽は43.5度とやや熱い。

さらに、外壁側に34度と温めの「延命湯」という富山の薬湯槽。実母散のような淡い色が付いてい るけど、温水プールの水の色と同じなので、だだの井戸水の温湯(バイブラ設備は非稼働)なのか も知れない。

そして、水風呂とサウナ。この水風呂がワイルドで、工事現場の排水ポンプのホースが天井から降 りていて、これでドボドボと注がれている。

さらに外側に、淡い茶褐色の水が溜められている温水プール。プールは、川崎の浅田湯、アクア東 中野、そしがや温泉21で経験したけど、地方都市の前橋で遭遇するのもまた感慨深い。水着を付け ず裸で泳ぐ感覚は独特のものがある。プールは数多くあれど、そういった意味でかなり稀少なプー ルではある。

ビジュアルは、各浴槽の周りに溶岩を配し、銭湯の庭の趣となっている。さらに、奥壁や外壁側に は鑑賞魚の水槽がはめ込まれていたと見て取れる跡が残る。計4つほどの“窓”。これらを通して、 金魚あるいは熱帯魚を眺めることができたのだろう。

上がりは瓶牛乳100円。昨日の千歳湯もそうだったけど、東京では120円あるいは130円する牛乳 が100円で提供されている。ご常連に優しい感じがする。

日曜日の9:15から10:00に滞在。朝風呂としては遅い時間だけど、老若男女、客の出入は多い。重 兵衛氏が心血を注いで築いた銭湯。かなりボロくはなってはいるけど、数多くある新参の温泉施設 と競合しながらも頑張っている。昨日、今日とお話させて頂いた女将さんには「またいらしてくだ さいね」と言われるものの、ちょっと来るには遠い、演歌流れるディープないい銭湯だった。

昨日は歩く人が極端に少なかった町に、各地から集まったちんどん屋が何組も流している。前橋ち んどん祭り。シャッター街のアーケードにも久々の賑わいがあった。

※前橋 〜都市風景論

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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