差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年2月1日日曜日 0:34
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 勝どき湯(中央区勝どき町)

ナカムラです。

今日(1/31)は、「勝どき湯(中央区勝どき町)」に行ってきました。
勝どき駅(都営大江戸線)から、0.2キロ、3分くらいです。

今日は、鍋喰らい部の集まりが月島「ほていさん」である。今月の鍋は冬鍋の王者の鮟鱇。それに喰らいつく前に、小生のささやかな恒例として、ひと風呂浴びることにしている。

しかし、月島の銭湯はすべて入っている。今日、再訪したい気分の銭湯もないので、ひと駅手前の築地市場駅で降りて、戦災に遭っていない築地の非焼失地域を散歩して、勝鬨橋の袂の「勝どき湯」に向かった。

住友系の資本が再開発し、一帯には新しい建物群が立ち並ぶ。同湯も地上げによる等価交換だ ったのか、表通りから瀟洒なマンションの地下に移った銭湯だ。以前は屋号「勝どき湯」を名 乗りながら「帝国湯」と刻まれた建物で営業を行っていた。昭和15年架橋の勝鬨橋とどちら が古いのかは分からないけど、いずれにしても戦前からの銭湯であることは間違いないだろう。

建て替えられてから数年は経過しているはずだけど、入り口の自動ドアからして銭湯らしから ぬ斬新な意匠になっている。ただ、そんなドアを出入りしているのはご高齢の方が中心だ。建物の斬新さと少しばかりアンバランスではある。

エレベーターあるいは階段で地階に降りれば、全面がガラスの自動ドアの入り口がある。ここ が実質的な同湯の入り口と言っていい。左右に木札の松竹錠の下足箱。正面にはフロントがあ る。

小雨降る築地の町を探索したので身体は冷えきっている。銭湯代450円にサウナは別途300円を払う。バスタオルが付いていないのがやや割高か。

脱衣所の広さは幅1間半で奥行き2間半ほど。さらにロッカーで脱衣スペースとそれ以外の部 分が仕切られているので、着替えるスペースは狭小だ。でも、必要にして十分な広さと言っていい。体重計もHOKUTOWのアナログというのもいい。

浴室は3間四方。天井は地下の銭湯につき低い。短い島カランが2つで、カラン数はセンター から4・3・3・3・3・立ちシャワー2。

浴槽は奥壁に沿って、主浴槽と水風呂がそれぞれある。奥行きのある広い浴槽だ。また、巾広 の縁には緑色の凝灰岩が使われている。床のタイルも足触りのいいグリーン系のもので高級感 がある。地上げをスムーズに進めることと関係があるのか、この手の再開発系の銭湯のスペッ クはどことなく高規格だ。

主浴槽の湯温は42度弱。薄い濁りとともに黒湯系の香りがある。入浴剤が使われているのか、 あるいはミネラルがとけ込んだ井戸水を使っているのか。。。(入浴剤とのことで、水は水道水を 使用)

サウナは幅1間、奥行き1間半ほどのそれなりに大きいもの。温度が90度とやや低いものの 敷物が清潔に整備された好ましいものだ。水風呂も18度くらいとこの季節にしては丁度いい 温度に設定されている。

ビジュアルは、奥壁に船の窓を模した窓枠が3つあってその中に渋い色調の蓮の花が描かれて いる。隣湯の入船湯の見事なタイル絵には及ばないものの渋い緑色を背景にピンク色の蓮の花 や蕾はなかなかの趣がある。

寒い強風が吹き抜け時折雨が落ちる寒い土曜日の17:15から18:10に滞在。16ある カランの8割くらいは埋まっていた。大半の爺に混じって、築地関係者なのかきりっとした顔 立ちの若い人もいる。子供がいなかったというのはあるけど、銭湯文化が息ついている地域の 銭湯という感じがした。

上がってからも勝どき湯の撮影に粘っていたら部活の集合時刻に10分ほど遅刻してしまった。 今日の鍋喰らい部は総勢7名。女性4人、男性3人で鮟鱇鍋に喰らい付く。実は鮟鱇を美味し いと思ったことはない。しかし、関東地方では冬鍋の王者らしい。鍋喰らい部の部長殿も1シ ーズンに何回か食べるという。きっと、小生が食べてきた鮟鱇は大した鮟鱇ではなかったので はないかという疑念が沸き、参加した。

芸術系を中心としているもののメンバーの職業は様々。たわいない話をしながら何に気を使う こともなく鍋を囲み酒を飲む。公私ともども単独行が多い小生にとっては心癒される場でもあ る。

肝心の鮟鱇は、小生の先入観とは違って美味しいものだった。いわゆるアンキモを出汁に溶 かし込む「どぶ汁」というひどい名前で呼ばれる鍋だったけど、鮟鱇の身は生臭さがなく淡泊 で上品な味。アンキモのスープはうま味に満ちていた。そして、鍋と言えば最後の雑炊。鯨のはりはり鍋には何歩か及ばないもののなかなかだった。

とある女子部員が呟いていた。
「鍋部に参加してから舌が肥えてしまった・・・。」
小生もそう思う。

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勝どき湯


勝鬨橋。珍しい跳開橋。1970年を最後に開いていない。


寺の右側の建物には場外市場の店々が入居している。


築地場外市場。そっちこっちにターレットが停まっている。





場外市場の一角は戦災に遭っていない。
関東大震災後の看板建築がいくつも残っている。