差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2008年7月24日木曜日 6:21
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 門の湯(新潟市中央区本町十三番町)


ナカムラです。

今日(7/18)は、「門の湯(新潟市中央区本町十三番町)」に行ってきました。 新潟駅(JR信越線)から、2.4キロ、30分くらいです。

新潟の古くからの繁華街は、信濃川を渡った海側の対岸にあって、新潟駅からはだいぶ離れて いる。今でこそ駅近くにも繁華街はあるけど、日本の五大遊廓の一つだった新潟遊廓や、現在 残っている花柳界も「古町(ふるまち)」と呼ばれる地域にある。

夕方、17:00。マイカル以来7年ぶりで、立て続けに起きた今年2件目の社債発行企業の 経営破たんがあった。報告などで、ややバタバタとしたものの18:30には首尾よくオフィ スをズラかる。東京駅のコンビニで、のり弁当とアルコールがたくさん入っている「氷結/ STRONG」を調達して18:52発の新潟行に乗り込む。

新潟県の浴場組合は立派なHPを持っている。そのHPによれば、門の湯は22:30までの営 業。しかし、夕方に電話すると、案の定、閉店の時刻は22:00繰り上がっている。時間も ないので、新潟駅からはタクシーで急行する。

新潟は久し振りだな・・・。かつて「冬の日本海が見たい」という友人と、クルマで新潟港に 降り立ったことがある。20年も前だ。その時は飛騨高山や白川郷に急いだので、新潟の市街 を行くのは初めてだ。

門の湯は、「シモ」と呼ばれる繁華街の海際に近い外れ近くにある。さらにその先は「本町十四 番町」。同湯の前に鉄製の大門があり、五大遊廓だった新潟遊廓の入口だった。

同湯の創業は昭和28年。まだ新潟遊廓が現役だった頃。同湯は「カドの湯」と発音するもの の、屋号は遊廓の大門に因んだものだ。より遊廓に近いというか遊廓内の十四番町に桜湯とい う銭湯があったけど、それはだいぶ前に廃業している。

歩道に木製のアーケードが残る本町の古い商店街。シモのどん詰まりにして遊廓の入口にある。 後方を見れば屋号を記したコンクリ煙突が黒瓦の屋根を突き抜け伸びている。実にいいロケー ションだ・・・。

木製のアーケードには同湯の看板が派手に振ら下がっている。雪深かった頃のなごりなのかな。 そして、歩道からいきなりに、男女別々に暖簾が下がる質素なアルミサッシの入口がある。

入ればコンクリのタタキに番台。女将に390円を払う。下足箱は番台と反対側に旧型のおし どり錠のものがある。この銭湯で古色蒼然としたオリジナル部分が残るのはこれだけかも知れ ない。それ以外はこま目に更新されているのであまり古いという感じの部分はない。

脱衣所は、幅2間、奥行はたたきの部分を合わせて3間ほど。平屋だけど天井は高くない。1 間半くらいだろうか。ロッカーというものが無くて、脱衣籠が、丸いものとと四角のものがそ れぞれ数個ずつ積んである。その他、牛乳とオロナミンCが2本ずつ入った冷蔵庫、ヘルスメ ーター、椅子がある程度だ。

浴室は、幅2間、奥行3間。天井は2段型だ。新潟の銭湯は清潔だという先入観を違えない、 見事に清潔な浴室がある。

新潟の銭湯は清潔との評判。小生は糸魚川・井上浴場、直江津・あづま湯の2つしか経験がな いけど、古いけど清潔という、小生の中では最も上位に来る銭湯だった。同湯もやはり清潔。 しかし、なぜに一様に清潔なのだろうか。県民性なのか、保健所の行政指導の賜物なのか・・・。

同湯には、島カランはなく左右に5機ずつのカランがあるだけ。横須賀的な中型銭湯だ。ただ、 繰り返すけど、横須賀にここまで清潔な銭湯はない。それほどに清潔だ。

浴槽は深浅2槽。真ん中の赤御影石の焚出し口からお湯が注がれている。広くて深い主浴槽の 方が熱い。湯温は44度弱か。浅槽も43度くらいある。新潟の銭湯は意外に熱い湯なのか・・・。 そして、客も少ないこともあって、湯も清澄この上ない。

ビジュアルは、奥壁と男女境にモザイクタイル絵。白樺、花、湖、舟、洋館、高峰が描かれた 定番なものだけど、少し細かい作り込みがされている感じがする。さらに、ビジュアルではな いけど、浴槽の外壁側の壁面がモスグリーンの小タイル張りになっている。釜場への戸もセン ター側ではなく外壁側にある。少しずつ変わった部分がある。

金曜日、22:00の閉店前の最後の30分間。相客は1人だけ、女湯からは2人くらいのお しゃべりが聞こえてくる。言葉で説明するのは難しい。別に特別なものは何もない極めてシン プルな銭湯。しかし、清潔で居心地がいい銭湯だった。

今日は、明治7年の創業で、日本で一番歴史のあるイタリアレストランを発祥とする「イタリ ア軒」に部屋を取っている。今はホテルオークラグループのホテルになっている。残念ながら メインダイニングは21:00までだったので、季節ではないと知りつつも魚が美味しそうな 居酒屋へと古町へと繰り出す。

古町は、割烹料亭とクラブなどが混在している。古い木造建物が建ち並ぶ細い路地をドレスを 着たホステスが頻繁に行き来したりする。少し金沢に似て、でも金沢とも違った独特の雰囲気 がある。

あまり重たいものを食べる時間でもない。迷った末に「旬菜/よだれ三尺」という寿司屋に入 った。先客が席を譲ってくれて、客のおばちゃんがカウンターを片づけてくれる。人懐っこい 笑顔で何所かで会ったことのあるような方。隣の席ではアフターのホステスなのか今年3回も プロポーズされたと相客に話している。

生ビール(小)、燗酒、烏賊納豆、上握りをおまかせで。最後に干瓢巻きと味噌椀をもらって5 000円ほど。

大将は、50歳半ばにして独立。開店1周年近いという。お酒を雪平鍋に注ぎ、直火で燗を付 けていたのには驚かされたけど、寿司の味は良かった。聞けば、古町の中心にある「天狗寿司」 という店で24年働いたという、恐らく、苦労人。

客のみんなが、この大将を応援しているのが分かる。いい店に入ることができた。ちょっとの つもりが午前1時を回っている。歓楽街に居ると時間の感覚がずれてしまう。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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