差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2004年7月4日日曜日 0:34
宛先: 銭湯ML
件名: 快哉湯(台東区入谷)

ナカムラです。

今日(7/2)は、「快哉湯(台東区入谷)」に行って来ました。
入谷駅(メトロ東京)から1分程度です。

「銭湯マップ」では3分となっているので、思わず行き過ぎてしまいました。
ほとんど、駅(地下ですが・・・)のすぐ脇といったところです。

同湯は、昭和3年築の木造銭湯。
正面に3つの千鳥破風という稀有なファッサードを有する。
入口の上に1つの千鳥破風。脱衣場棟の屋根に装飾的な小さな2つの千鳥破風が載せられている。

入口には紺地のオリジナル暖簾。白抜きで「快」「哉」「湯」とある。
シンプルで粋な感じがする。
正面には「TOKYO(東京錠前)」の傘を突き差す式の傘入れ。
下足箱の錠はカナリア錠。木札が全て真新しいものに取り替えられている。
床は、たたきに床モドキを置くという構造。

番台への入口は、アルミサッシだけど、中に入ると、木造ワールドが広がっている。
銭湯マップでは、「昭和3年の新築で木のぬくもりを大切にしています」とあるけど、まさしくそんな感じです。
番台は焦げ茶色、木で組まれた四角いもの。
雲形の衝立に簡素は装飾が彫り込まれている。

脱衣所の広さは、2間半四方。
天井は白木の格天井ながら、古い建築だからか、折り上げはない。
今日は、やや涼しい日だけど、レトロな天井扇が現役でブゥーンと回っている。

脱衣所の真中に縦置きに島ロッカー(36個)。
外壁側にもロッカーが30個ほど。何れも「TOKYO」の板鍵が付いている。
それに、現役の脱衣籠が3つ・・・。

ここは、飲み物の販売がない。髭剃り以外の入浴グッズの販売もない。
TNAKAのアナログ体重計の他は余計な物はない。
だから、男女境も大きな鏡のみというシンプルさ。
低い位置から鏡があり、大きな鏡だなぁという印象を受けた。

鏡の横に「取られぬられぬ前の用心」とか古い注意書きがあり、その下に「坂本警察署」「坂本浴場組合」とあった。
「坂本警察署」???。いつの時代のものなのだろう・・・。
坂本警察署は、昭和35年に谷中警察署と合併して今の下谷警察署となっている。

浴室は、幅2間半、奥行3間という中型。
脱衣所との仕切りは更新されているが、木枠のどっしりとした木枠のガラス戸。こだわりが感じられる。

天井は2段型で、高い方は3間四方の正方形になっている。
ウィング部は外壁側が緩やかにカーブしている。

外壁側の窓は木枠にすりガラス。レトロな造りが維持されている。
その窓を支える梁は、既に黒くなっているけど塗装を施していない白木で湯治場的な佇まい。

島カランは1つで鏡のみ。カラン数はセンターから7・5・5・7。
カランは日の丸扇の刻印のある角型が磨きこまれている。シャワーは両サイドのみ。

浴室のタイルは新しいもので古いタイルはない。
古い建物を維持しつつ、清潔で新しい浴室になっている。

浴槽は深浅2槽。浅槽は2穴ジェットが3機と外壁側がバイブラ。
温度は42度くらいと、下町銭湯にしては拍子抜けする温度。
深槽は少し気泡が立ち上っているのみ。
温度は43度くらい。
深浅槽ともに、薄黄の入浴剤が入れられている。

ビジュアルは早川師の西伊豆からの富士山。
タッチに少し荒々しさに欠けるかな・・・。
中型銭湯につき、落ち着いた富士山になっている。

小さいながらも外壁側から入口側に向けてL字型に縁側があり、入口側には溶岩を配した庭と池がある。
瀧まで造られているのに、残念ながら池に水はない。
池に水がない銭湯によく遭遇するけど、池の維持というのはそんなにも費用がかかるものなのかな。

トイレを借りたら、タイルの上に、スリッパではなく鼻緒がない下駄のようなものが置いてあった。
なかなか変った代物だった。
それと、トイレの入口脇におおきな木製の盥が3つ立てかけてあった。
とても懐かしかった。

下町のレトロ銭湯。
建物は丁寧に維持され、風呂自体は綺麗に更新されている。
年配者だけでなく、小生と同じ中年客もいて、客はそこそとという現役系の銭湯だった。