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差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2013年6月8日土曜日 9:15
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 亀の湯(杉並区本天沼)


ナカムラです。

今日(5/17)は、「亀の湯(杉並区本天沼)」に行ってきました。 阿佐ヶ谷駅(中央本線等)から、1.2キロ、15分くらいです。

阿佐ヶ谷駅の北口から、ちょっと気になる店々が並ぶアーケード、商店街と続く、旧中杉通りを北 上する。

古本屋が多い阿佐ヶ谷。途中、気になる古書店もいくつか。ネオ書房という屋号の古本屋に苦笑。 コンコ堂というセレクトショップと言っていい古本屋に驚かされ、貸本屋が営業しているのに、更 にビックリさせられた。

コンコ堂で、西井一夫氏の「写真というメディア(冬樹社)」という本を購入。30年近く前、高校 生から大学生だった頃、西早稲田の古本屋街に通い詰めて大量に写真関係の書籍を購入した中の1 冊でもある。同著を含め書籍のほとんどは手放したものの、優れた日本現代写真史あるいは写真家 論であるこの本をもう1度読みたくなった。

1980年代初頭、結果的にそれから2年ほどで休刊になるのだけど、月刊誌「毎日カメラ」が取り上げる写真 は異彩を放ち、写真家を目指す者を刺激した。最後の編集長だった西井一夫氏セレクトの写真群 とクールな文体を、今もはっきりと憶えている。早速、iPad miniに取り込んで、”体育会写真部” を自認していたあの頃を思い出し、感慨に耽っている。。。

さて、亀の湯。杉並第九小学校の敷地の一角を占めるような三叉路にある。今年米寿になる大女将 の、更に先代からという長い歴史。明治時代の終わりか、大正時代の創業という杉並界隈では屈指 の業歴を誇る。

周囲は非戦災地域らしく、昭和22年の航空写真を見ると黒瓦葺きの伝統的木造銭湯が見える。昔は、 開店時に太鼓を打ち鳴らし知らせたという。その後、建て替えられたかは定かではない。現在はモ ルタルの簡素な外観。2年程前に一族内で経営が替わっている。

夏用なのか淡い空色に屋号を染め抜いた暖簾が下がる。初めて遭遇するタイプの軽やかなデザイン だ。

中に入れば松竹錠の下足箱。さら自動ドアを通れば大きなカラオケセットが置かれたロビーが広が っている。残り2枚、最後の入浴券を気さくな女将さんに渡す。

記憶では煙突が有ったと思い尋ねると、2、3年前からガスで沸かすようになり、コンクリ煙突は解 体したとのことだった。そして、最近、熱い湯で鳴らしたもののお湯の温度を下げたと説明された。 燃料の節約なのだろうか。。。

脱衣所は、幅3間半、奥行3間ほど。天井も壁も木目プリントの合板張り。ここまで徹底して木目 プリント合板に拘った銭湯も珍しい。

ロッカーは外壁側にSakura-3錠のもの。中央に畳張りの縁台とベンチ。その他、Hokutowのアナロ グ体重計、TANITAのデジタル体重計、業務用扇風機がある程度。

浴室は、幅3間半、奥行5間ほど。天井は2段型。島カランは2列で、カラン数はセンターから8・ 6・6・6・6・8。大きな銭湯だ。床のタイルはブルーの入れ子模様。タイル類は更新されているもの の、島カランには面取りのタイルが使われるなど古風な雰囲気が残る。

浴槽は、奥壁に沿って3槽。センターから仕掛けなしの深槽、3点ジェット×2の主浴槽、”泡擁” という名の泡風呂。女将さんが温度を下げ温くないか気にしていた湯温は概ね42.5度。やや高めの 適温といったところで、決して温さを心配する温度ではない。いったい、以前はどれ位の温度だっ たんだろうか。

ビジュアルは、古い銭湯の特徴の1つ、上部に額縁のような装飾のある奥壁に中島さんの男女境を 跨ぐ大きな富士山のペンキ絵。ペンキ絵の下には、いつの間にか、めっきり少なくなった、海中を 熱帯魚が舞う絵柄のモザイクタイル絵がある。さらに、男女境には孔雀と大きな椿の花を描いたか なり幅広のモザイクタイル絵が広がる。あまり見ないややポップな感じの絵。磨き込まれているの か、目地の白さが印象的だった。

上がりは、もの凄く威圧感のある、ひと昔前の巨大なレーザーディスクのカラオケセットに囲まれ ながら瓶牛乳を頂いた。

金曜日の20:10から21:00に滞在。大きな銭湯だけど、相客は数人と寂しかった。しかし、お湯は 清澄というほどではなかったので客は多いのかも知れない。建物の建築年が気になる銭湯だった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
メイン:masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp  
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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                                     阿佐ヶ谷駅前




                貸本屋があることに驚かされる。




       中華屋の親爺さんがカウンターでテレビを観ている。




                                  ”北口アーケード街”




                               気になる酒屋も多い。。。




                           初夏。ブルーの暖簾は爽やかだ。