差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2011年8月4日木曜日 22:48
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 上六温泉(大阪市天王寺区石ケ辻町)

ナカムラです。

今日(7/20)は、「上六温泉(大阪市天王寺区石ケ辻町)」に行ってきました。 上本町駅(近鉄大阪線)から、0.3キロ、3分くらいです。

この上本町は村野村。近鉄大阪線の始発ターミナル上本町駅、近鉄百貨店、シェラトン都ホテル大 阪。そして、駅傍らにある近畿日本鉄道本社の各建物は、近鉄が施主となり建築家・村野藤吾が設 計を手がけている。特に、上本町駅・ホーム、ホテル、百貨店はそれぞれが一体かつ融合した構造 になっている。

同湯はそんな村野村の近鉄本社隣に建つ、駅隣接の古いビル銭湯だ。

同湯がこの地で営業を初めて65年になる。昨晩は村野マニアゆえに都ホテルに泊まり、そして、朝 風呂に入りに出かけた。あいりん地区を若干の例外とすれば、同湯は朝6:00から営業している大阪 でも希有な銭湯だ。朝風呂に入って1日がスタートできるのはいい。

外観はかなりシャビー。築50年は超えているだろうか。屋上に不細工な増築がなされている典型的 な古いビルだ。

暖簾を潜れば、日の出マークがあるおしどり錠の下足箱が並ぶエントランス。410円の券売機でチ ケットを買って、ドアの向こうのカウンターの大将に差し出す。サウナは無料のようだ。

脱衣所は、ロビースペースとカウンターにスペースを取られているものの幅3間、奥行4間と、島 ロッカーなるものがないせいか相応に広い。ビル銭なので木目合板の天井も高くはないものの、さ りとて圧迫感を感じることはない。

ロッカーは壁側に筆記体で「Oshidori」とあるブロック状のアルミ板鍵をシリンダ式に使うもの。

その他、Hokutowのアナログ体重計、マッサージ機が新型と旧型2台と充実しているのが珍しい。

浴室は、幅3間、奥行4間。天井はカマボコ型で男女境の上に四角い湯気抜き。カランは両サイド に7機ずつ。

浴槽は、センターに石造りの小判型。それが深浅2槽に仕切られている。主浴槽の深槽は42度くら いと入りやすい温度。浴槽はさらに奥壁に接して、デンキ、ややぬるめの「炭酸温泉」、水風呂と必 要にして十分なラインナップ。

さらに、男女境に接し脱衣所に食い込む形で「炭酸ミストサウナ」なるものがある。スチームサウ ナだけど、頭上からミストにしては粗い飛沫が降り注ぐ。。。

朝風呂はサッとにしないと疲れてしまうけど、シャビーな外観からは予想できなかった居心地の良 さがある。入ってから出るまで、かつてはブイブイいわせただろう背中の彫り物が鮮やかな初老の 相客とずっと一緒。

上がりは、ロビーで自販機の牛乳を頂いた。

くだんの、元チンピラ風。今日は病院でモーニングだと話していた。なかなか大変だ。歳はとって も、歩いて行く後ろ姿が肩をいからせた、モロチンピラ風なのはおかしくもあり、もの悲しくもあ った。

”階段の魔術師”と呼ばれる村野藤吾の作品には、印象的な螺旋階段が仕組まれている。シェラト ン都ホテル大阪のホテルマンに訪ねると無いという。しかし、よく探すと地上からホテルと駅が繋 がる地下街に降りて行く階段に、小さな螺旋階段があった。地上部には通せん棒が、地下からの昇 り口には土嚢が積まれ、使われていない様子。しかし、優美な曲線を描く紛れもない魔術師の仕事 だった。

昨夜は和歌山などは台風で暴風雨だった。しかし、東の海上を抜けてくれたようだ。台風一過とい うほどではないものの、天気は曇りから晴れに変わるようだ。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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ピンコロ石を扇形に張るのも特徴的な意匠


優美な曲線を描く玄関ポーチ
これも村野藤吾作品の一つの特徴