差出人: Masayuki Nakamura
送信日時: 2014年7月3日木曜日 21:28
宛先: 銭湯ML (sento-freak@freeml.com)
件名: 健康浴泉(中野区東中野)

ナカムラです。

今日(5/16)は、「健康浴泉(中野区東中野)」に行ってきました。東中野駅(中央本線等)から、0.4キロ、5分くらいです。

昭和30年に先代が苦労して建てた銭湯を、昭和40年代くらいだろうか、現在のビル銭湯に建替えている。昭和22年、昭和38年の航空写真を見るとコンクリ煙突の伝統的木造銭湯が写っている。同地には戦前から銭湯があったようだ。

入口周りは増築のようだ。前栽を潰してエントランス空間にしたほか、その2階に、浴室とは完全に分離した脱衣所からアクセスするサウナが載せられている。下足箱の錠はおしどり。サウナ料金はプラス400円。

和服姿の女将さんを連れて、よくお出かけする大将は愛妻家。相方を待たせて、小生だけサウナに入ろうとしたら「奥さんを待たせて入るの。止めたら。」と言われる。金曜日のサウナを制されるという初めての経験をする。

脱衣所は、幅3間、奥行3間半ほど。天井は2間弱の高さ。床はクッションフロアと少々味気ない。このように古いビル銭然としているものの、明るく清潔。島ロッカーがないため広々とした空間が広がっている。

ロッカーは、外壁側に松竹シリンダー式のもの。脱衣かごも現役で使われているようだ。真中に2畳ほどの畳敷きの広い縁台があるのがいい。その他、「親戚一同」とあるHOKUTOWのアナログ体重計、洗濯機2台、自販機などが置かれている。

浴室とは反対側に2階に繋がる急な階段がある。昇ってみると樹脂製の浴槽が置かれた小さな洗い場があり、その奥にサウナ室があるのが見える。

壁のそこ此処には、近郊に出かけた時に撮ったとおぼしき和服姿の女将さんの写真や、交遊があった赤塚不二夫氏の絵と色紙などが飾ってある。さらに、浴室の入口の上には、男女湯に跨る「諸国漫遊図」とも呼んだらいいのか、全国図に安芸の宮島や奈良の大仏などを描いた幅6間にも及ぶ絵地図が広がる。

絵の内容からして40年ほど前のものだろう。番台だったその時代、この絵を介して客と望郷の話が弾んだ。日本中が忙しく豊かではなかった時代、故郷は今よりもずっと遠かった。番台がフロントに替わり、同湯からそういった光景は無くなってしまったけど、そんなイニシエの時代を思い出させてくれる、懐かしくて良い絵だ。

浴室は、幅3間、奥行4間ほど。天井は大きく言えば高さ2間弱のM字型。コンクリの構造材が2本走り、その間にプラ板が張られている。

島カランは1列で、カラン数はセンターから8・7・3・0。床のタイルはユリ模様のベージュ色。

男女境には時折見かける緑木をデフォルメしたのか、緑色のそんなデザインが施されている。浴槽の外壁側にはガラスブロックが積まれ、その横にはアクリルの広告板を填め込むガイドレールが残っている。今は奥壁がモザイクタイル絵だけど、昔はペンキ絵が描かれていたのかも知れない。

浴槽は奥壁から立ちシャワーが3機連なる外壁側にまで、L字型に連なっている。センターから、7点座ジェット×2、寝湯、ボディマッサージ、バイブラで、湯温は42度弱くらい。さらに、41度ない位の温湯浴槽で、一部が電気風呂になっている。

壁には古い軟水の効用書があるものの、軟水さは全く感じられなかった。しかし、天然水をガスで沸かした柔らかなお湯はいい。湯温は、お湯自体をじっくり楽しむことができるいい塩梅になっている。

ビジュアルは、奥壁いっぱいに洋館、高嶺、虹、タマネギ屋根のイスラム風の建物群、空には航空機が飛んでいるという、淡い色調で描かれたモザイクタイル絵が大迫力で描かれている。

上がりは、ロビーで牛乳でもと考えていたら、ロビーというか椅子すらもなく、ウロウロしていたら親父に「また来てね」と言われながら外に出てしまった。

金曜日の20:15から21:05に滞在。相客は数人ほど。スペックとしては古いビル銭湯なんだけど、大将の人柄、赤塚不二夫との交遊の証、印象的な”諸国漫遊図”など、諸々な部分が記憶に残る銭湯だった。

上がりは、十番という中華屋がいいと聞いていたけど、外で待つ客もいる状態。結局、東中野ギンザ通りの奥の方にある「串味」という串カツ屋に入る。地元客ばかりなのだろう、時間が遅くなるに従って混んできた。梅干し杯2杯に串カツ少々。カウンターにはゆったりとした時間が流れていた。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
URL: http://furoyanoentotsu.com(風呂屋の煙突)
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