差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年5月17日日曜日 14:30
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 菊之湯(青森県下北郡佐井村大字佐井字糠森)

ナカムラです。

今日(5/3)は、「菊之湯(青森県下北郡佐井村大字佐井字糠森)」に行ってきました。 下北駅からレンタカーを走らせ、60キロ、1時間30分くらいです。

本州最北端の大間では、3年ほど前に廃業した中島湯が「本日休業」の木札を下げ奥に暖簾が 仕舞われたまま、表戸のガラスが割れ、廃墟になりかかろうとしていた。

本州最北端の銭湯だった中島湯がなくなった後は、大間から西南に10キロほど南西に下った 佐井村の菊之湯が最北端の銭湯だろう。

今回の下北半島ツアーの重要なミッションは、「本州最北端の銭湯につかる」である。

佐井村には、青森港から船で2時間30分で行くコースと、大湊線と車でアプローチするコース があるが、いずれにしても遙々としたアプローチだ。距離や行き難さを勘案すれば、小生が入 った銭湯の中で、最も「遠い」銭湯かもしれない。

同湯は、佐井の港に注ぐ大佐井川を少し遡って、その畔にある。赤いペンキ屋根の切妻の建物。 飛び交う海猫が、時折、屋根に降りてくる。張り出したエントランス屋根などもなく、屋号を 朱で記した暖簾がかかる入口がある。その素っ気無さは小学校の体育館の入口のようだ。

16:00の開店。しばらく本州最北端銭湯の外観を眺めながら感慨に浸っていると、バイク でリヤカーを引いた女将がやってきた。そして、雨中に薪の木っ端を釜場に引き入れている。 着ている花柄の作業着は泥泥。これほどに孤軍奮闘している女将を見たことはない。これもイ ニシエの日本の風景だ。。。

釜場での作業が続くようなので、外で女将に風呂銭420円を払う。泥泥の服のポケットから 取り出した釣り銭をくれた。 問うたもののこの銭湯の創業時期などは知らないという。ただ、自分が三代目の経営者である ことを教えてくれた。

潮風に晒されカリカリになった紺地の暖簾をかき分けて入り口に入る。すると、狭いスペース に男女の扉がある。この狭いスペースがエントランス部分というよりは、寒冷地ゆえの二重構 造なのだろう。脇にはスノータイヤが積まれていたりと、タイヤ経ほどの狭いスペースが物置 きのようになっている。

男湯の扉を開ければコンクリのタタキに番台。下足棚はあるものの下足箱はない。脱衣所の広 さは幅2間、タタキを含めた奥行きが3間ほど。天井は普通の住宅よりも少しだけ高いくらい。

ビニールのゴザが敷かれた脱衣所スペースにはロッカーというものはなく、円形の脱衣籠があ るのみ。天気が悪い夕方前で暗い脱衣所に小生ただ一人。本州最北端というロケーションでな くても、ただただ寂しい光景だ。若乃花と貴乃花が仲睦まじく並んで写っている何かのポスタ ーが張られていた。

浴室の広さは、幅2間、奥行3間ほど。天井はへの字型でさらに中央に四角錘の湯気抜きがあ る。ビジュアルなんてものはない。

島カランは1列で、カラン数はセンターから5・3・3・4。島カランには小判型緑色の湯桶 や椅子が積まれ物置きスペースになっている。田舎の銭湯ではままある光景だ。

浴槽は奥壁に接するかたちで深浅2槽。浅槽はジェットで42度くらいの柔らかいお湯が満た されている。深槽も温度は同じくらい。何の仕掛けもなく底が見通せる。小生の前に客はあっ たのだろうか、あくまでも湯は清澄だ。

浴室のタイルはあまり古いものは無いけど、床のそここが鉄錆の赤で染まっている。かなり鉄 分がある井戸水のようだ。

結局、建物の中に女将が現れることはなかった。上がって、外に出ると、またバイクで木っ端 を積んだリヤカーを引いて川に架かる橋の方から女将がやって来るところだった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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春に移転した元消防署