差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2012年1月17日火曜日 22:47
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 喜楽湯(下関市入江町)

ナカムラです。

今日(12/18)は、「喜楽湯(下関市入江町)」に行ってきました。 下関駅(山陽本線)から、1.4キロ、15分くらいです。

昨日、今日と門司港に宿泊。北九州2日目は、門司の栄町の赤線跡と、すぐ近くの錦町の遊廓跡を 散策。次に小倉に移り、旭遊廓跡を通り、青線地帯の雰囲気を残す京町飲食店街を見る。そして、 小倉の台所の大阪・鶴橋のような雰囲気の旦過市場を散策。

そこまでで、冬至近く、陽が短い夕刻が近づいたので関門海峡を電車で潜って下関へ。

最初の目標地はカルシウム温泉。しかし、灯りが点いていない。煉瓦煙突の建物などはそのままだ けど、入口に記されていた営業時間が塗りつぶされているなど、おやっ、と思う部分もある。近く を通る人に聞くと”しばらく休んでいるみたいですよ”との答えが帰ってきた。

仕方なくセカンド目的地の喜楽湯へ。築100年は越えるだろうライトブルー洋風下見板張りの建物 の港町銭湯。夭折の詩人、金子みすずも入ったという歴史を持つ。

交通量の多い広いバス通りに面しているものの、後方は直ぐに斜面が迫り、張り付くように長屋が 立ち並んでいる。

下関の街を背景に置き、煙突を見下ろすアングルを探すために山岳部出身の不肖・ナカムラ、後方 の斜面に取り付く。道はジグザク、家が跨るガード下のような道もある。夕餉の匂いを嗅ぎながら 進むと、時に人様のお宅の敷地に出たりもする。尾道などで車の入らない斜面の古い家に住むのは 高齢者が多い。ここもおそらく高齢者だろう、尾道などに劣らず大変だ。

寒い中で多少汗ばんだ。冷えないうちにお湯に浸かりたい。

さて、喜楽湯。男・女湯それぞれの入口には、曲面の衝立が建てられている。海峡の街はいつも風 が強い。視界を遮る目的とともに防風の効果もあるのだろう。特に、冬の風は身を切るほどに冷た い。

2階に編物教室の看板なども掛かり、3間程度の貸間になっているようだ。

暖簾を潜るとともに1段階段を降りてサッシの扉を開ければ、コンクリのたたきに出る。そこには、 装飾のある木組みの番台と旧型ちどり錠の下足箱、ロータリー式の傘立てがある。

相方が、ちょっと神経質そうな番台の女将に風呂銭を差し出す。下関の銭湯料金は390円。スチー ムサウナがあるけど無料で使えるようだ。

脱衣所の広さは、幅3間半、奥行4間ほどと広々としている。天井は平格天井。2階が載っている ので1間と2/3くらい、高くはないけど十分にゆったりとした空間がある。

ロッカーは、外壁側に黄緑色の化粧板の扉でKing錠のもの。脱衣所中央には幅広の板張りの縁台が あって、ちょっとした物置きや休憩に使われている。

その他、2枚扉の古い冷蔵庫、Yamatoのアナログ体重計などがある。

浴室の入口に風よけのような凸型の構造物が設えてある。左右に扉はないものの、脱衣所と浴室の 急激な温度差による身体への負担を緩和させる目的で特別に造られたものだ。

浴室は、幅3間半、奥行3間ほど。天井は四角錘型のライトグリーンペンキの木板張りで、真ん中 に更に切妻の船底天井があり、その中央に湯気抜きが開いている。見たことがない3層構造の天井 だ。

床のタイルは足触りのいい濃・淡小豆色の2種類のタイルに更新。島カランは無く、カランは男女 境に5機、外壁側に5機。高級な混合栓のカランが使われている。奥は関西風の小型サイズの白ケ ロリン。白ケロリンにも小型サイズがあるんですね。

浴槽は、奥壁に接してサウナ、水風呂、熱湯(43度)、実母散の薬湯(40度以下)。そして、中央に 小判型の主浴槽(42度)がある。浴槽の縁は、黒御影石調の材料が張られているものの、その下層 に古いコンクリをベースにした材料が覗いている。浴室のほとんどの部分は更新されているけど、 数少ない昔からの生き残りだ。

サウナは、縦に細長いもので3人くらいが定員か。強烈に熱いのが同湯のウリのようだ。

男女境にはスリ硝子に「浴槽でタオルを使わないで下さい」と書かれた古い表示器が残っている。 電気は点いていないけど、スリ硝子の奥には小さな電球が見える。確か、新地の千歳湯にも同じ表 示器があったと思う。

男湯にはなかったけど、女湯には手書きの広告が入った衝立が2幅残っていたと相方が教えてくれ た。「模型のことなら何でも揃うオクムラ」とか「パンのボンジュール」等々。。。

日曜日の17:00から18:00に滞在。家の風呂は寒いからという若者。孫を2人連れているおじいさ ん等々。老いも若きも相客は十数人以上だったと思う。

趣ある外観だけでなく、脱衣所を中心に随所にオリジナルが残る。電球を仕組んだ表示器や、女湯 に残る広告を記した衝立、独特の緩衝地帯の造りなど、何ともレトロだ。ただ、「そういうのはお断 りしています」と、撮影は許可して頂けなかった。。。

上がりは、海峡の寒風が吹き、予報にもない雨にも降られながら旧赤線跡の千歳湯(定休)、旧福富 湯(廃業)、さらに、えびす湯、霧島湯を見て回る。

そして、飲食店が並ぶグリーンモールを歩くけど適当な酒場が見つからない。昨日に続いて、小倉 に出て、小倉再生酒場で一杯。昨日見た武蔵屋が気になったけど、日曜日だからか休みだった。。。

(注)喜楽湯以下、カルシューム温泉(休業)、千歳湯(定休)

(参考)喜楽湯

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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URL: http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/ (風呂屋の煙突)
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旧新富湯


えびす湯


霧島湯