差出人: Masayuki Nakamura [masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2009年2月8日日曜日 12:56
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 小平浴場(小平市津田町)

ナカムラです。

今日(2/7)は、「小平浴場(小平市津田町)」に行ってきました。 一橋学園駅(西武多摩湖線)から、0.9キロ、12分くらいです。

夕方に中野での飲み会があり、ついでとばかりに神奈川方面からは行き辛い中央線沿線方向の 銭湯に出かける。

その大きさで話題になる「藤の湯」か、レトロさが気なっている「小平浴場」か迷った後、国 分寺駅で西武多摩湖線に乗り換え、北上、一橋学園駅で降りた。

駅から西に向かって進み、一橋大学の小平キャンパスを過ぎた所にある。さらに先に進むと津 田塾大学や武蔵野美術大学もあるそんな文教地域だ。ただ、一橋大学の教養課程は国立に移っ て学生はいない。そして、商店街には学生街の特有の活気はなくなった。 (同湯のある「津田町」というのは、ひょとすると津田梅子の津田塾大学からきているのか・・・。)

さて、小平浴場。立派な千鳥破風の入り口がある昭和28年築のレトロな湯だ。見た感じでは もっと古い建物に見える。浴槽を一度作り替えシャワーと超音波を入れた以外は、ほとんど手 が入っていない。外観についてもオリジナルな姿が今も残っている貴重な銭湯だ。

「銭湯マップ」では15:45となっているけど、昼頃に電話をすると16:00開店という。見計 らって15:40に到着、母屋を訪ね営業前の写真撮影についての交渉をする。すると大将は「も う開けたよ」「開けても誰も来やしないから番台に聞いてくれ」と笑われてしまった。帰り際に釜場へ赴 き再びご挨拶すると写真に理解と興味のある方だった。ご親戚はみな、新小岩、錦糸町、西横 浜などで銭湯を経営あるいは経営されていた方々ようだ。

松竹錠の下足箱に靴を預け店に足を踏み入れる。脱衣所は、幅3間半、奥行3間ほど。イニシ エのレトロワールドが広がっている。天井は一部破れていたり、ワックスが抜け干からびては いるものの由緒正しい折上げ格天井。高窓もオリジナルで、桟には細かな意匠があり、使われ ている硝子も古い模様ガラスだ。

ロッカーは古い島ロッカーが2列。最下段には古くて小さなキング錠、その他はTOKYO錠、 板鍵の松竹錠で、それら不秩序な混成になっている。

木製建具のガラス戸の外には庭があって苔むしている。その真ん中にコンクリで作られた庭池 の跡がある。放置されているだけの庭なんだろうけど、構造物と苔とはいえ自生の植物。見入 らされる不思議な趣がある。

その他、精工舎の現役黒柱時計、下がっている寒暖計は提供者の住所墨田区の「区」が旧字体 だったりと、いつの時代のものなのかと思わせるものが並んでいる。そして、TANAKAの アナログ体重計、150円を番台に払う式の家庭用の洗濯機での「コインランドリー」。

浴室は、幅3間半、奥行4間と大型だ。床は3センチ角の白タイル。島カランは2列で、カラ ン数はセンターから5・4・4・4・4・5。日の丸扇の刻印がある古いカラン。鍍金が剥げ 地金真鍮の鈍い光沢のみになっている。古い男女境に直接設置された古いシャワー。当初から のものではないらしいけど、古い時期からシャワーが設置されていたことが窺われる。

浴槽は、奥壁に接する深浅2槽。深槽がバイブラ、かなり横幅のある浅槽は2穴ジェットが3 つほど。井戸水を薪で沸かしたお湯はなかなか肌触りがいい。湯温はいずれも42度程度であ まり高くはない。そしてアクリル板に描かれた木村質店と「村さ来」の広告看板がある。「150 人」「コンパ」などの文字があった。この町に学生が大勢いたころのものだろう。黄色の湯桶も ケロリン提供ではなく、ほとんど剥げているけどパチンコ店提供のようだった。現在、小平市 に「村さ来」の店舗はないようだ。そして、このパチンコ店も言わずもがなかな。

ビジュアルは、丸山師の瀬戸内海のペンキ絵で19.11.26.に描かれたもの。その下には、 池で白鳥が遊ぶ絵柄のモザイクタイル絵。また、男女境は大判の白タイルが斜めに張られたシ ンプルなものだけど、その上部にはアクセントとしてマジョリカタイルが使われている。緑の ひし形の中にピンクで薔薇をデザインしたもの。色合いはマジョリカタイル独特の風合いでこ の手のものとしては相応に凝ったものだ。シンプルな中にも拘りを持った浴室だ。

土曜日の開店時刻から30分ほど滞在。なかなかに印象的な銭湯だった。もう何年続けられる かわからないし雨漏りの修理すらままならないという。

時間が押していたので中野駅に急ぐ。建築探訪チームの飲み会。創作料理のダイニングと居酒 屋をハシゴ。3軒目の良さ気なBARが非常に気になったけど、東海道線の終電時刻へのカ ウントダウンが始まっている頃で立ち寄ることができなかった・・・。

久しぶりの中野の飲み屋街。昔はこんなに人が歩いていたかなぁ・・・。何軒か店を断られる など活況だった。最近の日経新聞は広告が減って薄い。確かに不景気なんだろうけど、地域、 年代、階層でその影響度合いが大きく異なっていると考えている。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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国分寺駅