差出人: Masayuki Nakamura 
送信日時: 2014年7月6日日曜日 9:17
宛先: 銭湯ＭＬ (sento-freak@freeml.com)
件名: 九重湯（京都市南区東九条南山王町）
ナカムラです。
今日（5/30）は、「九重湯（京都市南区東九条南山王町）」に行ってきました。 京都駅（東海道本線）から、0.6キロ、6分くらいです。
週末の会議での議論が佳境に入る前に会議室から抜け出し定時退社。弁当を買った相方と落ち合い 18時発の新幹線に乗る。
以前から気になっている京都駅南側至近の九重湯。仕舞いが22:00と少し早い。同湯でゆっくり過 ごすにはやや早い出発が必要だった。
京都駅20:17着。新幹線のある八条口を出れば、歩いてさほどかからない。京都タワー浴場が駅に 最も近い浴場だけど、一般の銭湯では正面口のペンシルビルの銭湯「東湯」と八条口の「九重湯」 が駅に最も近いと思う。
さて、九重湯。京都駅の南側は観光地が集中する北側と大きく趣きが異なる。住宅が密集している ものの、東京の住宅地よりかなり暗い。同湯も暗い自動車がやっと通ることができる古い生活道路 の奥にある。
明治時代の初期に建てられたという油井型の煙突を有する銭湯。道路と平行に脱衣所、浴室、釜場 を含む母屋が縦に並ぶ。釜場棟は木造ではない感じがする。また、建物とは独立した外便所がある のは中京銭湯的で、京都では遭遇したことがない。
ファッサードは、木製の手摺りが付く2階に簾が下がるという伝統的な京都銭湯の風情。今日は夏 と変わらない暑さのため入口、窓がフルオープン。出て来た女将さんに来意を告げたものの、どう いう訳か若い女性客も多く、カメラを扱うのに神経を使う。
暖簾を潜ればコンクリのたたき。下足は入口方の壁に鶴亀錠のもの。番台は、かつて4本足で、三 和土に独立して立っていたのだろう。土間を介して、番台の前と後ろの両方で男女湯が繋がるとい う、日の出湯や錦湯と同様の古い京都銭湯の造りになっている。
相方が2人分の京都銭湯の料金820円を払う。 脱衣所の広さは幅2間、奥行はたたき、緩衝地帯のそれぞれ1間を含め、都合4間ほど。
天井は、縦に茶色に塗られた凹型の桟が走り、その間にはごく薄い茶色のクロスが張り。高さは1 間と2/3くらい。壁は木目プリントの新建材張り。建物側面の外装に樹脂パネルが使われたり、実 用ならではの改変が行われているものの、それぞれが丁寧に行われているのがいい。建物のサイズ が小さいという理由だけではない気がする。
ロッカーは、外壁側に亀甲に折り鶴をあしらったもの。ロッカーに入れる使い方をしなかったので ロッカーの中に入るのか分からないけど、四角い脱衣籠も現役で使われている。
その他、最下段に冷やし飴が入った「富士飲料」の旧式の冷蔵庫、梁に2連で旧型の業務用扇風機 が並ぶ。
浴室の広さは、幅2間、奥行3間。天井は木板に淡いブルーのペンキ塗り。木板組みの四角錐型な のに緩やかな曲線で、天井全体に緩やかに膨らみを持たせるという技が光る。中央の大きな湯気抜 きの周りには雨樋を付け、滴が客に落ちるのを避けている。有りそうだけど、ここまで気配りがあ る構造は皆無に近い。
カランは、外壁側に7、奥壁2、男女境に2。さらに、カラン2つだけの島カランが中央にある。床 のタイルは更新された6センチ各で滑り止めの突起があるもの。
浴槽は、男女境に接した深槽と浅槽が連なっている。さらに脱衣所側の緩衝地帯に食い込むように 1人用の楕円型の「人間洗濯機」がある。浴槽の周りには小石型の古いタイルが残っている。
1穴ジェット4本で渦巻きを起こす人間洗濯機は同湯と宝湯くらいになってしまったようだ。東京 にはもっと大型のものがあるけど、「人間洗濯機」というように話題にはならない。
お湯は井戸水を重油で焚いている。柔らかさと清澄さを兼ね備えた京都銭湯ならではのもの。ただ、 同湯には水風呂がない。京都銭湯というと、清澄なお湯と水風呂を往復するのが醍醐味なんだけど、 それが出来ないのが少し残念だ。京都銭湯のお湯と水風呂の往復は、他でのそれと満足度が明らか に違う。何でなんだろう。
ビジュアルは特にない。強いて言えば、湯口が壺を抱えた女性像で、水風呂の吐水口が獅子になっ ていることくらい。
上がりは、冷蔵庫の最下段というローカルドリンクの定位置に並ぶ冷やし飴110円。若大将が、瓶 の底にショウガが沈んでいるので振って飲むようにと教えてくれる。
金曜日の20:40から21:40に滞在。明るく清潔で開放的。既に夏の暑さゆえ「夏の銭湯」だった。
同湯は女湯客の方が多いという。訪れていた時も若い客が多く入って行った。
※2014.7.19の営業を以て廃業。
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ナカムラ （Masayuki Nakamura）
URL: http://furoyanoentotsu.com（風呂屋の煙突）
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人間洗濯機。同湯が廃業すると藤ノ森の宝湯ともう1つくらいしかないらしい。
