差出人: Masayuki Nakamura <masa-nakamura@mpd.biglobe.ne.jp>
送信日時: 2012年7月4日水曜日 23:15
宛先: sento-freak@yahoogroups.jp
件名: 駒の湯(世田谷区三軒茶屋)

ナカムラです。

今日(6/23)は、「駒の湯(世田谷区三軒茶屋)」に行ってきました。 三軒茶屋駅(東急新玉川線他)から、0.5キロ、5分くらいです。

今日は、相方のお供で世田谷・桜の器屋まで陶器を見に行く。オークラランドの直ぐ近くだった。 オークラランドは、昭和10年に開設された映画の撮影所で、昭和41年に閉鎖されるまで東宝、新 東宝、大蔵映画などの撮影が行われた。小生のとの関わりとしては、アイススケートリンクやプー ルとして父親に連れて行ってもらった思い出がある。今はサミットストアになっているものの、体 育館のような建物は、当時からのもののようだ。

その後、サザエさんの町桜新町を通り、深沢の器屋へハシゴする。付近の豪邸と桜並木に目を奪わ れる。この当り(深沢7、8丁目、桜新町1丁目)は、日本における郊外開発のはしりで、東京信託 株式会社(現日本不動産株式会社)が農地を買収し、宅地開発を行い、大正2年に分譲した。桜木 は代替わりしているのかも知れないけど、今も縦横に桜並木が走っている。砂利電の玉川電鉄も協 力し、住民に無料パスが発行されたらしい。数々の豪邸。移築されたんだろう、茅葺きの民家など も建っている。田園調布や成城と並ぶ世田谷の高級住宅地だ。

そんな町歩き後、三軒茶屋の駒の湯へ。世田谷通り沿いに建つ9階建てのライオンズマンションの 1階に入るマンションの下駄履き銭湯。5本の生活道路が交差する複雑な一角に面して、屋号を赤で 記した紺地の小さな暖簾が下がっている。入口の左右と、小屋のような別棟を合せて3つのコイン ランドリーに囲まれている。それらの客がそれぞれに煙草をふかしている。少々、珍妙な光景が広 がっている。

中に入れば松竹錠アルミ板鍵の下足箱。運動靴を放り込む。ロビースペースは小さいものの驚くほ どの種類の飲料が詰まった冷蔵庫があって、同湯がかなりの繁盛銭湯であることが見てとれる。

下足札と引き替えにカウンターの女将さんから大小タオルなどが入った手提げバッグを渡される。 サウナ代はプラス300円。

脱衣所の広さは、幅2間半、奥行3間ほど。天井は2間はあるだろう。高くはないもののさりとて 新しいビル銭湯ほどに低くもない。壁は煤けた白クロス張り。天井も相応に煤け草臥れている。創 業は明治期に遡るという。バブル期以前の建物だと思うけど、いつ頃のものなのだろうか。

ロッカーは、シリンダー式のSakura-3錠。縦型の大きなロッカーは無いので、最下段にリュックを 押し込み、脱衣はその上、2個のロッカーを使わせてもらう。サウナバッグを見ると、大小のタオ ルだけでなく、小石鹸、シャンプーボトル、ひげ剃りまで入っている。これらは要らないので200 円だったらと思うが仕方ない。勿体ないので小窓をノックして女将さんに返却した。こんなことは 初めての経験かも知れない。

脱衣所では、クーラーがかかり、男女境のには大型テレビが載っている。騒々しさと活気がない交 ぜの空間だ。

浴室は、幅2間半、奥行5間ほど。天井は中央よりも高窓がある外壁側が高くなった構造で草臥れ たプラ板が張られている。やや細身で広い浴室ではない。土曜日の17:30。相客は10数人。サウ ナ客も多くサウナバッグを掛けるフックの空きも無いくらいだ。

島カランは1列で、カラン数はセンターから5・7・8・4。タイル類は昭和の終わり頃のものだろう か、基本的には白の大判タイルがややくすんでいる。

浴室は奥壁に接して1槽のみ。男女境側から3穴ジェット×3、バイブラ、電気という構成。入った 時には、ここに7人ほどの相客が入っていた。やや幅が狭く、ビルの柱の出っ張りもあったりする ので、互い違いに向き合って浸かっている。大昔は一般的な光景だったけど、最近の銭湯では全く 見られなくなった光景があって嬉しくなる。お湯も多少の入浴剤が入っているのか、あるいは井戸 水。塩素とは違った香りがする柔らかなものだ。

外壁側、脱衣所方に食い込む形で設置されたサウナは変則的な形で広くない。しかし、そこに数人 の相客が入り、思い思いに汗を流している。そして、噂に聞いていた極冷の水風呂。。。男女境に接 した2人用くらいの水風呂。温度計は18度を指している。入れば、かき氷を口一杯に頬張り、頭が キーンとする感覚だった。3週間振りのサウナだ。サウナ、水風呂。水風呂、浴槽と繰り返し繰り 返し入る。

ビジュアルは、白タイルの奥壁に黄緑色で入道雲と言えなくもない不細工なデザインが施されてい る。その他、田村隆一の銭湯の詩が入った入浴マナーのポスターと、丸山さんのペンキ絵のポスタ ーが3方向に貼られている。実物ではなく大きさも小さいけど、殺伐とした空間がこれによって幾 分も緩和されている。銭湯におけるペンキ絵の効果は凄いものがある。

上がりは小さなロビーでバヤリースのさらさらトマトで水分補給。

土曜日の夕方。最も混む時間帯。客は老いも若きも大勢。。。取り立てて特徴はないものの、水風呂 の冷たさが印象に残る銭湯だった。

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ナカムラ (Masayuki Nakamura)
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                   三軒茶屋中央劇場